・「タイに教えを初めて伝えた宣教師に倣い、喜びを皆と分かち合うように」-教皇、初ミサで

   タイ訪問中の教皇フランシスコは、21日夕、バンコクの国立競技場に多くの信徒を迎えて最初のミサを捧げた。

 教皇はミサ中の説教で、この国に初めてキリスト教を伝えた宣教師たちに倣い、イエスの宣教師の弟子となるよう強く促し、そのことが、「主が食卓に招くことを希望する全ての父母、兄弟、姉妹たちと、喜びをもって出会い、見つけ、認める助けとなります」と語られた。

 そして、この日に朗読されたマタイ福音書の箇所をもとに、母国​​語のスペイン語で「私の天の父の御心を行う人は、誰もが私の兄弟、姉妹、母なのです」と言われ、「福音は、私たちと私たちの共同体の暮らしを至上の喜びをもって、新たにする可能性に満ちています」と指摘。1574339664498.jpg

 さらに、「主の言葉に応えて、タイの地に初めてやって来た宣教師たちは、ここで、自分たちが、特定の血統、文化、地域、あるいは民族に属する家族よりもはるかに大きな家族の一員であることを認識しました… 福音によってもたらされる希望に満ちた御霊の力に促され、未知の家族を探し始めました。彼らとの出会いがなければ、キリスト教はタイの顔、歌、踊り、そして笑顔を欠いていたでしょう」と述べられた。

 教皇の今回のタイ訪問の目的の一つが、カトリック教会が当時のシャムと呼ばれたこの国に1669年に使徒座代理区を設けて350周年を祝うこと。訪問に当たって、教皇が選ばれたモットーは「キリストの弟子、宣教師の弟子」だ。教皇によると、宣教師の弟子は信仰を持った”傭兵“でも、改宗者の”生産者”でもない、イエスがすべての人々に与える和解という取り消すことのできない贈り物を分かち合う兄弟、姉妹、そして母親たちがいない、と感じる、つつましい”托鉢僧”である。そして、教会のすべての福音宣教の努力の源と霊感は、福音書の婚宴のたとえ話にあるー主人は僕たちに、表の通りに出て、出来るだけ多くの人を婚宴の席に招き入れるように命じました、と教皇は言われた。

 そして、このタイでの350周年の祝いは、、私たちが希望の火をもって、福音から生まれた新たな人生を、私たちがまだ知らない家族全員と喜んで分かち合うのに役立つ、と指摘された。

 教皇はまた、「主イエスの宣教師の弟子として、私たちは主のように他の人と分かち合うことによって、主の家族の生きた一部になることを選びます。主は罪人と一緒に食事をし、彼らも父の食卓とこの世の食卓に居場所があることを保証しました。穢れているとみなされた人々に触れ、彼らに彼ら自身に触れさせることによって、彼らが神の近さを悟り、祝福されていることを理解するのを助けました」と強調された。

 教皇の念頭にあったのは、売春や人身売買の被害者である子どもや女性、麻薬中毒に陥った若者、そして失望し、夢を壊された人々、移民・難民、住むところを奪われた家族、孤児、見捨てられたと感じている他の多くの人々、搾取された漁師、無視される物乞いの人々など。「これらすべての人が、私たちの家族の一員です… 彼らは私たちの母親、私たちの兄弟姉妹です」と付け加えた。

 そして、自分の顔、傷、笑顔、そして人生を見て、傷と痛みを癒す神の愛の慈悲の香油を経験させるように、教会共同体を促し、「宣教師の弟子は、父なる神の慈悲深い癒しの抱擁を経験し、分かち合うために扉を開く人であり、私たちを一つの家族にする人です」と説いた。

 最後に教皇は、タイの教会共同体に結論として、「主が食卓に招くことを希望する全ての父母、兄弟、姉妹たちと、喜びをもって出会い、見つけ、認める助けとなる」ために、この国に初めて足を踏み入れた宣教師たちに倣うように、タイの教会共同体の人々に強く促した。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

タイ訪問:バンコクで教皇ミサ、サイアム代牧区設立350年記念して

タイ・バンコクの競技場で行われた教皇ミサ 2019年11月21日  (ANSA)

教皇フランシスコは、タイ訪問2日目の21日夕、バンコクの国立競技場でミサを捧げられた。

21日夕方、アンポーン宮殿を訪問しワチラロンコン国王(ラーマ10世)と王妃に会見された教皇は、続いて、ミサ会場の国立競技場に向かわれた。ローマ教皇のタイ訪問は、1984年5月の聖ヨハネ・パウロ2世の訪問以来、2度目、35年ぶり。ミサには、タイ全土から大勢の信者たちが集まった。

ミサは、タイ特有の装飾を施した会場や荘厳なコーラスに彩られたものとなった。ミサ終了後には、伝統音楽、民族衣装の人々による舞踏が披露された。

タイのカトリック教会は、1669年、サイアム(シャム)代牧区が設立されてから、今年で350周年を迎えた。教皇はミサの説教で、この地に福音の種を蒔いた二人の宣教師の勇気を称えられ、「昔、遠い地に蒔かれたその種は成長し、国民生活に貢献する様々な使徒的活動に取り組むまでになりました」と話された。

さらに、この記念は、過去を懐かしむものではなく、今日の希望の火となるべき、と述べた教皇は「私たちも決意と力と信頼をもって、福音宣教への招きに応えなくてはならない」と強調。「この喜ばしい記憶が、まだ福音を知らないすべての人たちとそれを分かち合おうと、私たちを喜びと共に外に駆り立ててくれるように」と祈られた。

 2017年の統計では、タイのカトリック信者数は約38万9千人。仏教徒が多数を占めるこの国の全人口の約0.59%にあたる。

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2019年11月22日