・教皇、バチカンの”人事統括”責任者に一般信徒の法務・人事専門家を指名

(2022.9.7 カトリック・あい)

 教皇フランシスコが5日付けで、教皇庁改革の一環として財務事務局に新たに教皇庁の全職員を統括する人事部門を設置、初代部門にスペイン人弁護士で一般信徒のルイス・ヘレラ・テヘドール氏を任命した。

 教皇は先に発出したバチカン改革の使徒憲章「Praedicate Evangelium」で教皇庁の主要ポストにも一般信徒の民間人を進んで登用する方針を明示しており、今回の人事はそれを実行に移したものだ。これまで、従来聖職者が占めていた教皇庁の部門のトップに一般信徒が就いた例は、広報省の長官があるが、今回の人事は、教皇庁内部における重さにおいてそれをはるかに凌駕するものであり、今回の人事を端緒として、さらに主要ポストへの一般信徒登用が進む、との見方も出ているようだ。

 教皇庁には現在、約3000人の職員が勤務し、うち半数は一般信徒。バチカン財政は、新型コロナの世界的感染が続く中で、歳入のかなりの部分を占めてきたバチカン美術館の入館料収入の激減などから、赤字を拡大させ、歳出の多くを占める人件費の節減が大きな課題となっている。

 テヘドール氏はスペイン生まれの62歳。MBAプログラムの世界ランキングでトップクラスに入るIE ビジネススクール(本部・マドリード)を卒業後、欧州の有力企業から中小企業まで幅広い分野で法律顧問などを務め、メディア企業などでの人事管理部門の経験も豊富といわれる。教皇の「一人の解雇者も出さない」方針を守り、どのようにしてバチカンの財政再建につながる人事管理政策を企画、実行に移せるか注目される。

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2022年9月7日