・「自分の量る秤で量り返される」ことを肝に銘じる―菊地・東京大司教の年間第7日

2025年2月22日 (土)週刊大司教198回:年間第7主日

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 年間第7主日です。

 ご存じのように、教皇フランシスコは肺炎のため、ローマのジェメリ病院に2月14日に入院され、治療を受けておられます。12月の枢機卿親任式でお会いしたときにも多少風邪気味で、無原罪の聖母の主日ミサの時には、消え入るような声でミサをされていましたが、それでも外面的にはお元気そうでした。しかしその後、いろいろと行事があり、特に聖年が始まって通常以上の行事が予定されていたことから、完全に回復することのないままにお仕事を続けておられたのだ、と推測します。

 広報省からの発表によれば、複雑な状況である者の治療が効いているとのことです。ともに教皇様の回復のために祈りましょう。

 2月17日午後から20日夕方まで、司教総会が行われました。今年から会計年度が12月締めから3月締めに変わりましたので、この司教総会は2024年度の臨時司教総会となります。決定事項の詳細については中央協議会から公表されるますので、そちらをご覧ください。

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 日本の司教協議会の事務局であるカトリック中央協議会が、現在の江東区潮見に移転したのは1992年でした。そのときに新築された建物、日本カトリック会館も今年で建築から33年が経過しました。建物自体は堅牢で、海に面していることから海風や塩の影響はあるものの、まだまだ活用していくことができます。しかし、躯体の中身である配管や内装など諸々の設備については更新が不可欠です。そのため、今年の4月から始めて、通常の業務を行いながら順番にリニューアルをしていくことになりました。

 そのタイミングに合わせて、これまで長年にわたって検討を重ねてきた事務局体制の更新も行うことに致しました。以前からの様々な議論に基づいて、検討チームが具体案をまとめ、今回の総会で、事務局の組織機構を変更することを決定しました。同時に司教協議会の委員会体制についても、これを機会に変更することにし、これについては6月の司教総会で新しい司教様方の委員会体制の任命を行う予定です。

 新しい体制の詳細については、中央協議会から公表されますので、お待ちください。また実際に運営してみて不都合があるときには、フレキシブルに改善することにもしています。

 以下、本日午後6時配信、週刊大司教第198回、年間第7主日のメッセージ原稿です。

【年間第7主日C 2025年2月23日】

 希望の巡礼者として聖年を歩んでいる私たちに、ルカ福音は、「あなた方の父が憐れみ深いように、あなた方も憐れみ深い者となりなさい」と呼びかけています。

 教皇様は大勅書「希望は欺かない」に、「希望をもって将来を見ること、それは、伝える熱意にあふれた人生観をもつことでもあります(9)」と記し、その上で、「聖年の間に私たちは、苦しい境遇のもとで生きる大勢の兄弟姉妹にとっての、確かな希望のしるしとなるよう求められます(10)」と呼びかけておられます。私たちは、豊かに愛してくださる神の愛とあわれみを具体的に生きる者となるように招かれています。

 いくつかの具体的な困難の事例を挙げられる教皇様は、その中に、「難民や移住者」の現状を挙げ、そういった方々にとっての「希望のしるし」となるようにと、教会に呼びかけます。

 「偏見や排斥によって、彼らの期待がくじかれることがありませんように。一人ひとりをその尊厳ゆえに喜んで迎えることには、誰もが望ましい未来を築く権利を奪われないようにする、責任が伴います。国際的な緊張状態によって、戦争、暴力、差別を避けるには逃げるしかない多くの亡命者、強制移住者、難民には、安全、就労、教育の機会を保障すべきです。それらは、新しい社会環境に溶け込むために必要な手立てなのです(13)」

 その上で教皇様は、「キリスト者の共同体には常に、最も弱い立場の人々の権利を守る用意がなければなりません。よりよい生活への希望をだれ一人奪われることのないよう、広い心で歓待の扉を開け放ってください」と、私たちに呼びかけておられます。

 ルカ福音は、人の生きる姿勢について、この世の常識とは真っ向から異なる選択肢を掲げた後に、「人にしてもらいたいと思うことを、人にもしなさい」と記します。

 私たち自身は、自分が何をして欲しいのかを、どうして知っているのでしょう。私たちは自分自身を大切に思い、自らの身体と心の声に真摯に耳を傾けるからこそ、自分自身にとって何が必要なのかを識別することができています。

「人にしてもらいたいと思うことを、人にもしなさい」という言葉は、私たちに隣人への思いやりの心を求めます。隣人の声に耳を傾ける姿勢を求めます。隣人の命の尊厳を尊重し、その命を守り、共に生きていくことを求めています。

 さらに福音は「人を裁くな」と言われたイエスの言葉を記します。私たちはそもそも、簡単に他者を裁く存在です。あたかも自分により正義がある、と思い込み、様々な手段を通じて幾たび人を裁いてきたことでしょう。正義はどこにあるのでしょうか。命に対する暴力がはびこるこの現実の中で、私たちは不安のあまり寛容さを失い、安易に他者を裁いては安心を得ようとしています。そのような私たちに対して、ルカ福音は主イエスの言葉として、「あなたがたは自分の量る秤で量り返される」と伝えます。この言葉こそは、私たちひとり一人の心に深く記しておきたい言葉です。

(編集「カトリック・あい」=聖書の訳は日本語の翻訳として優れている「聖書協会・共同訳」を使用して改めました)

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2025年2月22日