・「神の言」の導きに身を委ね、変化を恐れず挑戦を続ける存在でありたい

 一年の始まりに能登半島を中心とした地震が起こり、また航空機の事故もありました。この事態に巻き込まれた多くの方々にお見舞い申し上げます。また亡くなられた方々の永遠の安息をお祈りいたします。

教皇様からは、国務長官名でお見舞いの電報が届きまた水曜日の謁見でも、教皇様ご自身からのお見舞いの言葉と祈りの呼びかけがありました。教皇様に感謝いたします。

能登半島は名古屋教区に属しています。時間とともに、全体の被害状況が明らかになりつつありますが、教会の施設も被害を受けていると報告されています。名古屋教区を中心に、司教団の緊急支援チーム、そしてカリタスジャパンが連携して、今後の救援事業にあたっていくことになります。具体的な対応については、今後、中央協議会のホームページやカリタスジャパンのホームページから報告があることと思います。

以下、本日午後6時配信、週刊大司教第150回目のメッセージ原稿です。

【主の公現の主日 2024年1月7日】

新しい年が始まりました。この一年が「神の平和が支配する時」となりますように祈ります。

教皇フランシスコが「ラウダーテ・デウム」に記すように、一人でも多くの人が「私たちの住まいである世界との和解のこの旅路に加わり、それぞれ固有の貢献で世界をより美しく」する務めに目覚める年となりますように。

占星術の学者たちの言葉を耳にしたとき、ヘロデ王の心は乱れ、不安に駆られたと福音は記しています。救い主の誕生の告知とは、本来であれば喜びを持って迎えられたことでしょう。しかしこの世の王として人々を支配しているヘロデにとっては、「自らの立場を危うくする脅威」でしかありません。

神の支配が実現することで、自分は権力を失うことになるのです。この世界で権勢を誇り権力の行使を謳歌する者は、真の世界の王である神の支配の実現の可能性を耳にして、喜びではなく、不安しか感じることができません。真理の前では、自らの不遜さが明らかになってしまうからに他なりません。

「ラウダーテ・デウム」の終わりに、教皇フランシスコは、「人間は、神に代わる存在になろうとするとき、自分自身の最悪の敵になる」と記しています。この世の権力に溺れ、神の存在を忘れたとき、その自分自身の選択が、結局のところ、自らの命を危機にさらすような状況を招くのだと、教皇フランシスコは、共通の家を守るための環境問題への取り組みを先送りしようとする人類の怠慢を、指摘してやみません。

教皇は、「本物の信仰は、人間の心を強めるばかりでなく、生き方を変え、私たちの目標を変え、他者への関わりや全被造界との関わりを照らし導いてくれることを、私たちは知っている」と記します(61 項)。

占星術の学者たちは、旅路の困難を乗り越え、光に導かれて、救い主のもとにたどり着き、宝物を捧げました。闇の中にあって、「輝く光こそが、希望を示している」と確信した学者たちは、すべてを神に捧げて神の支配に従うことを表明し、その後も神の導きに従って行動していきます。

神の光に、すなわち本物の信仰に導かれたとき、占星術の学者たちは生き方を変え、導きに従うことで、真理の光へと到達しました。

教会は、暗闇に光として輝く人となられた「神の言」の導きに身を委ね、常に変化を恐れることなく挑戦を続ける、光を証しする存在であり続けたいと思います。

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2024年1月6日