・「祖父母と高齢者のための世界祈願日」にあたってー菊地大司教年間第16主日メッセージ

2023年7月22日 (土)週刊大司教第134回:年間第16主日A

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 年間第16主日です。暑い毎日が続いています。大雨の被害を受けられた多くの方々、特に新潟教区の秋田県の皆様には、心からお見舞い申し上げます。

 教会は7月の第四日曜日を「祖父母と高齢者のための世界祈願日」と定めており、今年は23日になります。日本では9月に敬老の日があるので、その前日(敬老の日が必ず月曜日ですから、その前日の主日)にこの世界祈願日を移動することにし、すでに教皇庁の許可を得ています。カレンダーの印刷などの都合もあるため、実施は、来年から、となります。この今年の世界祈願日のために教皇様のメッセージが発表されています。

 司教総会は予定通り終了しました。議決された内容については、後日カトリック新聞などをご覧ください。司教たちのためにお祈りくださった皆様に、心から感謝申し上げます。

 まもなくワールド・ユース・デーがリスボンで開催されます。それに先だって、事前の様々な行事のため、すでに日本を出発したグループもあるようですし、日本の司教協議会が主催するグループも、7月26日あたりから現地に向けて出発することになります。日本からは100名を遙かに超える青年たちが参加されます。司教団主催のグループも、帰国は8月10日頃です。暑い中の長旅です。健康が守られ、現地で良い祝福された出会いがあるように、ポルトガルのリスボンで開催されるワールド・ユース・デーのためにお祈りください。

 以下、本日午後6時配信、週刊大司教第134回、年間第16主日メッセージ原稿です。

【年間第16主日A 2023年7月23日】

 マタイ福音は、創造主である神が、良い麦も後で蒔かれた毒麦も、共に育つことを容認するけれども、最終的には刈り入れの時に二つを峻別すると語るイエスの言葉が記されていました。このたとえでの刈り入れの時とは、一般的に世の終わりの最後の審判の時であります。

 私たちが生きている今の世界は、まさしく神が創造された良い麦と、人間の欲望が生み出した悪い麦が、混じり合って共に育っているような状況です。暴力が支配し、賜物である命が危機にさらされるような現実を目の当たりにする時、神が悪の存在を容認しおられるのか、と考えてしまいます。しかし。福音は、それは「刈り入れの時まで待っておられるのだ」とし、良い麦と悪い麦を見分けられる、その時を待っておられるのだ、と記して良います。

 すなわち、創造主である御父は「悪がこの世界を支配するような状況を容認しているわけではない」ということを心に留め、毒麦をしのぐほど、良い麦が世界を支配するように、私たちはただ、傍観するのではなく、良い麦をさらに広くまき続ける努力をしなければなりません。私たちに与えられている使命は、「畑に入って毒麦を抜き取る」ことではなく、「良い麦の種をさらに広くまき続ける」ことに、他なりません。

 教会は7月の第四日曜日を「祖父母と高齢者のための世界祈願日」と定めています。日本では来年以降は、聖座の許可を受けて、敬老の日のある9月にこの祈願日を移行することを決めていますが、今年はまだ7月に行われます。

 少子高齢化が多くの国で激しく進み、伝統的な家庭のあり方が崩壊する中で、かつては知恵に満ちた長老として社会の中に重要な立場を持っていた高齢者が、周辺部に追いやられ、忘れ去られていく状況が出現しました。高齢者にはそれまでに豊かに蓄えた知識を持って、次の世代につなぐ大切な努めがあることを教皇は強調し、若い世代と高齢の世代の交わりを勧めておられます。

 今年のメッセージで教皇は、今年の夏に開催されるワールド・ユースデーに近いことから、若い世代と高齢の世代の交わりに重要性を強調されて、こう述べておられます。

 「主は、若者たちに、年を重ねた人たちと関わることで彼らの記憶を大事に守りなさい、との呼びかけを受け入れるよう、そして高齢者のお陰で自分は大きな歴史の流れに属する恵みを与えられているのだ、ということに気づくよう期待しておられます」

 その上で、教皇は、「『即座に』ということばかりに、つまり『直ちに多くをもらおう、すべてを今すぐに』ということばかりに神経を使う人は、神の働きが見えなくなってしまいます。それに対して神の愛の計画は、過去、現在、未来を貫き、各世代へと及んで、それらを結び合わせます。それは私たちを超越した計画ですが、そこにおいては私たち一人ひとりが重要であり、何よりも自分を超えていくことが求められます」と語られ、「互いの存在に目を向け、すべての人を福音宣教に招かれる主の呼びかけに耳を傾け、支え合いながら共に歩みを続けるように」と招いておられるのです。

(編集「カトリック・あい」)

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2023年7月22日