・「混迷を極める現代社会で、教会は福音を具体的に証しする存在であり続けたい」菊地大司教、年間第33主日に

2024年11月16日 (土) 週刊大司教第185回:年間第33主日B

 シノドス期間中にお休みをいただいておりました「週刊大司教」を、今週から再開いたします。

 このたび枢機卿に任命されたことで、このプログラムのタイトルも「週刊枢機卿」に変更となるのかとのお尋ねを複数いただいています。タイトルは変わりません。今後とも「週刊大司教」として続けます。と言いますのも、教会において助祭、司祭、司教は、叙階の秘跡によるものですが、「枢機卿」は秘跡的な叙階ではありません。

 「カトリック教会のカテキズム」によれば、「洗礼、堅信、叙階の三つの秘跡は、恵みのほかに、秘跡的な霊印つまり「しるし」を与え… 霊印はいつまでも残り、消えることはありません(1121)」と記されています。枢機卿というのは、特定の役割を果たす立場を教皇様から与えられることによって生じるので、枢機卿になったとしても、叙階の秘跡で私に霊印として刻み込まれた司教である、ということに変わりはありません。したがって、今後も、枢機卿であっても司教であることに変わりはありません。ですから「週刊大司教」で続けたいと思います。

 以下、本日午後6時配信の週刊大司教第185回、年間第33主日メッセージ原稿です。

 なお明日は東京教区にとってミャンマーデーであり、パートナーとして長年支援しているミャンマーの教会のために祈り、献金する日でもあります。今年はセルソ・バシュウェ司教様がミャンマーのロイコー教区から訪問してくださっています。17日の関口教会午前10時のミサは、私の司式です、セルソ司教様がご一緒してくださいます(ミサの配信を予定しています)。

【年間第33主日B 2024年11月17日】

 マルコ福音は、世の終わりを示唆する様々な困難を記しています。各地での戦争や紛争をはじめとして、政治や経済の混乱と国際関係の混乱が続き、さらには気候変動をはじめ災害の頻発する現代社会は、まさしくこの世の終わりの状況にあたると思わされるものがあります。しかし同時に、そういった苦難は歴史を通じてしばしば起こったことでもあり、その時の状況に一喜一憂するよりも、時のしるしを読み取ることの大切さを福音は説いています。

 「現代の人々の喜びと希望、苦悩と不安、特に貧しい人々とすべての苦しんでいる人々のものは、キリストの弟子たちの喜びと希望、苦悩と不安でもある」で始まる第二バチカン公会議の現代世界憲章は、全人類との対話のうちに神の福音を証しするために、「教会は、常に時のしるしについて吟味し、福音の光のもとに、それを解明する義務」がある、と指摘しています。起きている出来事に翻弄されるのではなく、福音的視点から、そこに示されるしるしを読み取ることは、教会の務めです。

 福音は、受難の時が迫る中でイエスが語った言葉を記しています。人類はさまざまな苦難に直面するものの、「天地は滅びるが、私の言葉は決して滅びない」と語ることで、愛に満ちあふれた神はご自分の民を決して見捨てることはない、と主イエスは断言されます。同時にイエスは、私たちが「時のしるし」を識別し、常に備える者であるように、と教えられます。

 私たち神の民にとって時のしるしを読み取るために歩むべき道は、今回のシノドス総会の中で示されています。シノドス総会は、神によって集められた私たち神の民が、互いに耳を傾けあい、支え合い、祈り合い、共に歩むことによって、共に聖霊の導きを識別することの重要性を説いています。まさしく時のしるしを読み取るのは、カリスマ的な予言者の務めではなく、共に識別する神の民の務めであり、その意味で、教会こそは現代にある預言者であります。

 教皇様は、今シノドス総会の最終日に採択された最終文書を受け取られ、「今の時代に『共に歩む教会』になるためにはどうしたらよいか、をよりよく理解するため、神の民の声に、努めて耳を傾けてきた少なくとも3年にわたる年月の実りです」と評価をされました。その上で、教皇様はこの最終文書をご自分の文書とされることを公表され、これまでの通例であったシノドス後の使徒的勧告を改めて書くことはしない、と宣言されました。

 教皇様はまた、「経験に基づく証しを伴わない文書は、価値を失ってしまう」と指摘され、「暴力、貧困、無関心などの特徴を持つ世界のあらゆる地域から訪れた私たちは、失望させることのない希望をもって、それぞれの心に授けられた神の愛のもとに一致し、平和をただ夢見るだけでなく、そのために全力を尽くさなければならない」と、シノドス参加者に求められました。

 混迷を極める現代社会に預言者として存在する教会は、時のしるしを共に識別し、福音を具体的に証しする存在であり続けたいと思います。

(編集「カトリック・あい」=10月の世界代表司教会議(シノドス)総会の最終文書全文は、「カトリック・あい」にイタリア語原文からの試訳の掲載を進めています。「シノドスの道」の項目から閲覧してください。)

 

このエントリーをはてなブックマークに追加
2024年11月16日