【教皇モンゴル訪問】「”無私の愛”が原動力となるように」-4日、「慈しみの家」の開所式で

The Holy Father blesses a plaque commemorating his visit to the House

(2023.9.4  Vatican  News  By Francesca Merlo)

The Holy Father blesses a plaque commemorating his visit to the House

    モンゴル訪問最終日の4日朝、教皇フランシスコは、首都ウランバートルの「慈しみの家」行われた開所式に出席、祝福をされるとともに慈善活動関係者と集いを持たれた。

 教皇は挨拶の中で、まず、「あなたは、私が空腹な時に食べ物を、のどが渇いている時に水をくれました」という聖書のイエスの言葉を取り上げ、「この言葉で、主は、現生において主の臨在を認識する尺度と、最後の審判において神の王国の至高の喜びを得る条件を示してくださいました」と語られた。

 そのうえで、教会共同体による慈善活動の長年の伝統、特に初期キリスト教共同体の奉仕への取り組みが、「聖体祭儀、典礼、奉仕、証しを柱とする教会の構築に役立ったことを強調。慈善の精神がモンゴルの「小さいながらも活気に満ちた教会」に深く浸透していることを指摘され、「それが交わり、祈り、無私の奉仕、信仰という不朽の価値観の証しとなっています」と讃えられた。

 そうした教会共同体の他者への思いやりを具体的に表現する「慈しみの家」の目を向けられ、「教会共同体の発足当初から、隣人への心からの奉仕が、神の民の活気に満ちた側面を際立たせてきました。それにルーツもつモンゴルにおける数多くの慈善活動は、活動参加者たちの知識、経験、人的・物的資源、そして特に愛の奉仕に身を捧げる海外からやってきた宣教師の献身によって支えられ続けています」とされ、今回開所式を迎えた「慈しみの家」が、すべての人を歓迎する場所となるように、ボランティアたちの無私の奉仕の精神を大切にするように、関係者たちを促された。

 また教皇は、「ボランティア活動は裕福な人たちだけのものではない。他者への愛をもとに自分の時間と能力を捧げることを選択した『そこそこの財政的余裕』を持つ人たちものです」とされ、「裕福な人だけがボランティア活動に参加できるというのが通説ですが、現実はその逆です。時間と能力があり、他人を思いやる寛大さを持った人が参加するのです」と強調。

  そして、「キリスト教徒は貧しい人々の苦しみを軽減するためにできる限りのことをします。それは、貧しい人の中に人間としての尊厳、神の子イエスを見ているからです」と述べられ、「慈善活動は決してビジネスになってはなりません。慈善活動には専門的な知識、能力が求められますが、ビジネスになってはいけないのです。困っている人たちが、思いやりを持って話を聞いてくれる人を見つけることができるような活動として、その新鮮さを保つべきです」と説かれた。

 講話の最後に教皇は、病人の世話をすることで無私の愛を体現したカルカッタの聖テレジアに注意を向けられ、「聖人のような無私の愛が、『慈しみの家』の活動の原動力となること」に希望を表明された。そして、慈善事業に携わるすべての人々に感謝され、その活動を祝福された。また、彼らに教皇ご自身のために祈ってくださるように願い、モンゴルの人々に対して、ボランティア活動を受け入れ、共通の利益への思いやりの文化を育むように、と呼び掛けられた。そして、モンゴルでの最後の公式行事となった「慈しみの家」の開所式と慈善活動関係者との集いの記念に、教皇は「無私の愛こそ、個人と社会の成長への道」というメッセージを残された。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

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2023年9月4日