【教皇ポルトガル訪問初日】☩「数々のスキャンダルで傷ついた教会は、新たな歩みを求められている」教会指導者、司祭、信徒たちに

*使徒的熱意が冷め、単なる「聖なる者の管理者」になってはならない

 そして、「私たちが落胆を感じ、使徒的熱意を冷ましてしまうと、単なる『聖なものの管理者』になってしまう危険があります」と注意され、「自分の人生を神に捧げた人が、”役人”―物事の単なる管理者になってしまうのは、とても悲しいことです… 気落ちすることがあっても、イエスの繰り返しの呼びかけを受ける場を作る『ある種の仕事』として、使命を果たすように訴えられた。

 さらに、「私たちは確かに困難な時代に生きていますが、主は、教会に問いかけおられます-『あなたは船を降りて、幻滅に浸りたいですか、それとも私を中に入れ、新しさを受け入れてくれますか』 『私の言葉がもう一度、舵を取るようにしますか?』『 自分の過去を守りたいだけですか、それとも、もう一度、魚を捕る熱意を持って網を下ろしたいですか?』と。主は、福音を伝える『休むことのない』熱意を再び取り戻すように、私たちに求めておられるのです」と福音宣教への新たな熱意の必要性を繰り返され、「親愛なるポルトガルの友人たち」に海に漕ぎ出すことを求められた。

 「それは、世界を征服するためではなく、福音の慰めに世界を歓喜させるためです。今は、立ち止まって諦めたり、舟を岸に引き上げたり、振り返ったりする時ではない。恐れから、現在から逃げ出したり、過去の形式や慣習に逃げ込んだり、してはなりません。 今こそ、福音宣教の海に果敢に乗り出す、神が与えた恵みの時なのです」と訴えられた。

福音宣教の海に果敢に乗り出そう―聖職者主義は、教会の最も深刻な悪の一つ

 そして、教皇は、「新たな漁のために福音宣教の海に果敢に乗り出す際の三つの要点」を示された。

 「まず、網を深く下ろすこと。網を再び下ろそうとするときには、『失望と惰性』を捨て、敗北主義から信仰へ移行する必要があります」。

  そして二つ目に「司牧的ケアの提供に力を合わせること」。

 「教会は交わりであり、助け合い、共に歩む存在です。 それが、『シノドス(共働的)教会』をテーマに10月に1期目が開かれる世界代表司教会議(シノドス)総会の目的でもあります」と指摘。「教会という船には、すべての人のためのスペースがなければなりません。洗礼を受けた人は全員、網を降ろすように船上に呼び出され、福音の説教に個人的に参加すること。これは”大きな挑戦”です。世俗性を抜きにしても、世界を抜きにしては、できません」と強調。「シノドス的教会」となるために、「聖職者主義は教会に起こり得る最も深刻な悪の一つ。イデオロギーや世俗性なしに、このリスクを克服するように」と参加者たちに促された。

 三つめは、「人間を獲る漁師になること」。

 

 教皇は、「今日の社会には、闇があまりにも多い。疑念と経済的不確実性、社会的友情の衰退、そして希望の欠如の中で航海するようなものかも知れません。そうした中で、私たちは熱意、夢を見る勇気、課題に立ち向かう強さ、そして将来に自信を持つ感覚を失っているようです」と現実を認めたうえで、「教会として、私たちはこの海の中に福音の網を投げ、新しい命、イエスの命を現代の男女に提供する使命を託されているのです。今日の多様な文化の社会に開かれた福音をもたらすよう求められているのです」と指摘。

 「 特に、若者の間で高まっている不確実性への不安と貧困のある所に、 家庭が崩壊し、人間関係が傷ついている所に、キリストの愛をもたらすこと。 落胆と運命論が支配する所に、聖霊の喜びを伝えることが必要です」と強調された。

 

 講話の最後に教皇は、以上のような招きが一般信徒、司祭、修道者、司教、すべての人々に向けられていることを確認されたうえで、次のように締めくくられた。「恐れることはありません。網を投げなさい…   他の人を非難するのではなく、イエスの招きを感じてください… 裕福な人、幸せな結婚生活を送っている人、その他のすべての人、教会はすべての人で成り立っている。義人も罪人も、善人も悪人も、皆で、です。主が、問題を解決できるように、私たちを助けてくださいますように!」

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2023年8月3日