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(2017.2.16 Cruxローマ ユノ・アロホ・エステバス)
「罪のない紛争犠牲者の殺戮、貪欲と違法武器取引で流される血について、人類は神に答えねばなりません」。教皇フランシスコはお住いの聖マルタ寮の聖堂での16日早朝ミサで、このように説教を始められた。
「神はこの世に平和をお与えになりましたが、すべての人間の内にある『争いの種、原罪、そして妬み、嫉妬、強欲、支配欲を生むカインの魂が、紛争をもたらしています」。「世界では今も、血が流されています。戦争の状態にあります。たくさんの兄弟姉妹が、罪のない子供たちさえも、命を落としている。大きな、力を持った者たちが、支配する場所を広げようと、少しでも大きな権力を、武器取引で少しでも多くのものを得ようとしているからです。
教皇は、ミサ中の説教でこの日読まれた第一朗読を取り上げた。第一朗読では、創世記のノアの洪水のあと、神がノアと後に続く子孫と契約を立て、「お前たちの命の血の値を要求する」と警告している。この契約は、虹とオリーブの葉を口にくわえた鳩を伴い、「洪水の後に神が望まれたもの、すなわち平和、男女すべてが平和の裡にあること」のしるしだ、と教皇は説明された。
虹と鳩は平和の象徴。それは、美しいだけでなく、はかないから。「嵐の後で虹は美しい。だが、雲がかかると、消えてしまいます」。そして鳩も、たやすく食肉獣の餌食になる・・。
ここで教皇は、1月26日に正午の祈りの際に説教を終えた後に起きた不幸な出来事を想起された。教皇と二人の子供たちが平和のしるしとして、二匹の鳩を放したところ、鴎と烏が降りてきて、二匹を襲ったのだった。「神がなさった契約は確固としたものですが、私たちはどのようにそれを受け取るのか、どのように弱さをもって受け取るのか」と教皇は問い、「神は私たちと平和を創られました。でも平和を保つのは容易ではありません」。
続けて、「人の心の中に妬み、嫉妬、強欲を創り出す争いの種は、木に育っていきます」とし、それは「病院に落とされ、学校に落とされ、子供たちを殺す爆弾になるのです」と述べた。
さらに「キリストの血は平和をもたらすもので、私によって、武器取引業者によって、大きな戦争を起こす地上の権力者によって、流される私の兄弟の血ではありません」と語り、「すべての男女は、平和を守るだけでなく、それをまず、各々の心の中から、家庭から、日々、〝手作り″するように求められているのです」と力を込めた。
そして、子供の時の記憶―自宅の周りでサイレンと鐘が鳴り響いた後で、隣の人が感動で震え、涙声で母に「戦いが終わった!」と叫んだ-を取り戻して語った。「主が私たちにこのように言うことのできる恵みをくださいますように。『戦いは終わった』そして涙。『戦いは私の家庭の中で終わり、戦いは近隣の人々の中で終わり、戦いは私の職場で終わって」、鳩、虹、そして神と人の契約は、より確固としたものになるでしょう」と教皇は締めくくられた。(翻訳・「カトリック・あい」南條俊二)
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