(2017.2.17 バチカン放送) 教皇フランシスコは17日、ローマ市内の大学「ローマ・トレ」を訪問された。ローマ・トレは、名前(トレ=3の意)が示すとおり、ローマで3番目に創立された国立大学。オスティエンセ地区のキャンパスを訪れた教皇は、マリオ・パニッツァ総長をはじめとする大学関係者と多くの学生たちに迎えられ、構内の広場で出会いを持たれ、学生たちの問に答える形で対話された。
「世界で広がる暴力を止めるにはどうしたらよいのか」という質問に対し、教皇は、暴力が「ささいなことを発端に、社会や、家庭や、わたしたちの言葉遣いの中にも」広がっていく過程を指摘し、「暴力は、私たちや他人を名前の無い存在にし、私たちの関係もまた名の無いものに変えてしまう」「目の前の人が一人の人間ではなく、物同然になる。こうしたことがどんどん大きくなって世界的な暴力になっていく」と話すと同時に、政治レベルの低下が、社会構築や共存の意味を失わせている現状をも見つめられた。
そして、教皇は「あらゆる暴力に対する一番の薬は『受容力のある心』と『対話力』です」と強調され、「対話のあるところに、暴力はありません」と、忍耐強い対話の必要を説かれたうえで、「戦争はここや、あそこで始まるものではなく、私たちの心の中から始まる。私たちが他人を受け入れられない、尊重できない、対話できない時、そこから戦争が始まるのです」と語られた。
また、「国際化、グローバル化の時代、また大きく変化するコミュニケーションの時代にどう対応すべきでしょうか」との質問には、「世界が一つになることは、世界の『同一化』ではありません」と注意されたうえで、「グローバリゼーションにおいて、『多様化の中の一致』を追求することが大切」と述べられた。さらに、「スピードのあるコミュニケーションは、その軽さゆえに、実質の無い流動的なものになる恐れがあり、社会もまた、G・バウマンの唱える『液状化』の危険があります」と警告し、「液状化しようとするものを、確かなものに変容させることが私たちが取り組むべき課題なのです」と話された。
さらに、シリア難民の学生から「ヨーロッパの人々は難民を『自分たちの文化を脅かすもの』と捉えているのでしょうか」と問われて、教皇は、難民問題の解決のために、戦争や飢餓をなくし、平和を構築し、その土地で人々が働いて生活の糧が得られる経済的環境を作ることを理想として示しながら、一方で「実際に避難してくる人々が犯罪組織などに搾取され、地中海が墓場となることを防ぐ努力」が各国政府当局者にとって必要、と指摘するとともに、これらの兄弟姉妹を「私たちと同じ人間」として受け入れる姿勢、各国の可能な限りの努力を呼びかけられた。また、難民を「受け入れ国の社会に統合」することの重要性に言及。「難民がもたらす文化は私たちの豊かさとなる一方で、難民もまた私たちの文化を受け入れなければなりません」と述べ、文化の対話と尊重が「怖れ」を取り除いていくことになる、と話された。