「神の言葉は”防虫剤”で保存しておくことができない」カテキズム発刊25周年記念で

(2017.10.18 Crux Author  Junno Arocho Esteves)

 現在使われている「カトリック教会のカテキズム」が発刊されて今年で25周年を迎えた。教皇フランシスコは11日に開かれた記念式典で講演し、「カテキズムは信徒たちがカトリックの信仰を理解する重要な道具であるだけでなく、新たな諸課題に対して具体的な答えを提供します」と述べ、「人々が直面する課題の変化に応じて、キリスト教徒の対応も変わっていく、なぜなら「神の言葉は、害虫から身を守る古い毛布のように防虫剤で保存しておくことはできないからです」と強調した。

【ローマ】創刊25周年を迎えた「カトリック教会のカテキズム」は、今もカトリック教会にとって、信仰についての真理を教える手段として今も課題であり優先すべきものであり続けている。

 1992年の創刊以来、「カトリック教会のカテキズム」は、スワヒリ語、日本語、ゲール語を含む50カ国語に翻訳され、点字、ビデオ、電子書籍でも入手できるようになっている。だが、マウスをクリックし、アプリケーションソフトをスワイプして自由に情報を得られる現在のデジタル時代では、様々な言説、そして”フェイクニュース”でさえもが流され、信仰の原理原則に関する情報が、信徒に誤って伝えられる可能性もある。

  「社会は極めて大きく変化しているので、人々に伝えることは、はさらに困難になっています。特に現在のデジタル時代には」と、ミュンスター大学で司牧神学と宗教教育を担当するカタリナ・カール教授はCNSに語っている。

    目下の課題は、何が、信徒のためのガイドブックとして教会の教えと務めについてまとめた頼りになる参考書を作るよう、四半世紀前に、カトリック教会を駆り立てたのか、だ。新しいカトリック教理の概要を作ろうというアイデアは、第二バチカン公会議の終結20周年を記念した1985年のシノドス(世界代表司教会議)の成果の一つだった。

 このシノドスの参加者たちから「各地域で準備されているカテキズムあるいは概論の基準を示してもらいたい」と求められた当時の教皇、聖ヨハネ・パウロ二世は「普遍教会と地域教会の実際の必要性に十分に応えるものとして、基準となるものを検討する」と要請を受け入れられた。「教理の提示は、聖書的、典礼的でなくてはなりません。キリスト教徒の現在の生活にふさわしい、健全なものであるべきです」と彼は1992年10月11日に発表した使徒憲章「Fidei Depositum(信仰の遺産)で語り、同憲章をもとに、「カトリック教会のカテキズム」を、彼の後継教皇となるヨセフ・ラッツィンガー枢機卿を長とする12人の枢機卿、司教を選任して編纂させ、発刊した。

 この「カトリック教会のカテキズム」に対しては、「教会の教えを明確に説明した本として、かねて求められていたもの」と歓迎する声がある一方、「あまりにも硬直的、教条主義的で、第二バチカン公会議の精神に沿った内容になっていない」との批判もあった。

 これに対し、発刊10周年を記念する2002年10月9日の会合での講話で、ラッツィンガー枢機卿は「カテキズムは20世紀の神学の発展、とくに聖書解釈学の発展のの成果を取り入れ損なっている、と言われている。つまり、エキュメニカルでも対話的でもない」ことは、議論の余地なく既定のこととして確認されている、と述べていた。

 彼は、批判に対して、カテキズムの目的と教義上の妥当性とともに「カテキズムとは何か、その特定の言葉で示される分野とは何か」を説明することで応じた。カテキズムは、信仰の教えに対する証し人の「信仰の宣言」であり、「我々を導く真理」を示しているが、その教えは教会内で形作られ、発展していく」と語った。教皇に就任した後、「信仰の真理と教会の教えの知識をより深く再発見するため」のハンドブックとして「カトリック教会のカテキズム」を利用するように信徒に求め続けた。教皇を退任する直前の2012年にも「『カトリック教会のカテキズム』を読みなさい。そうすれば、キリスト者であること、教会であること、世界に宣教するためにイエスが彼の周りに形成した素晴らしい『私たち』の生活のそれぞれの美しさを再発見するでしょう」と語っていた。

 だが、教皇フランシスコは、「カトリック教会のカテキズム」発刊25周年を記念する10月11日の講演で、「この本は、信徒が信仰を理解する重要な道具であるばかりでなく、新しい諸課題に具体的な答えを提供してくれます」としたうえで、人々が直面する課題の変化に応じて、キリスト者の対応も変わっていく。だから「害虫から身を守る古い毛布のように防虫剤で神の言葉を保存しておくことはできません」と断言した。そして「神の言葉は常に生きている、発展し成長する、変化し続ける実在です。人間が止めることのできない完成に向かって伸びていくものだからです」と変化を強調した。

 「カトリック教会のカテキズム」の編纂に携わったウイーン大司教のクリストフ・シェーンボルン枢機卿は10月12日のバチカン放送で「教会の教えの発展は時とともに進化していくが、教会と福音は変わることがありません」としたうえで、「私たちは変わらなければならない。トレント公会議から生れた以前のカテキズムは400年使われ続けましたが、『カトリック教会のカテキズム』は公表からまだ25年。教会にとっての仕事の始まりの段階だと思う」と語った。

 「カテキズム」は容易に読むことができ、進化を続けているが、「すべきことはまだ沢山ある」とカール教授はCNSに語っている。彼女は、カトリック教徒が身についた良心―「カテキズム」の教えを基本に置いた―を持つ必要性を強調する。それが「神との対話」を可能にするだろう、と。「カテキスタはまず第一に、人々が対話できるような場を作る必要があります。そして、最終的には、それが神との対話になるような教え方が必要になります」。

 さらに彼女は「現在のデジタル社会では、教会は、問答式で教える前に『人々と共に、旅をする準備』をし、彼らに手を差し伸べる必要があります。人々はもはや、顔と顔を合わせることで社会に適合することも、‶自動的に要理講座に出向くこともありません」と言い、共に祈るためにソーシャルネットワークを使う世界中のカトリック教徒のグループがあるが、そのようなツイッターの利用は、教会が彼らとつながりカテキズムを教える手段としてソーシャルメディアを活用できる沢山の方法の一つだ、と指摘する。「時のしるしは創造的であること。教会はすでにそのような方向に向かって歩んでいますが、それはデジタルの世界を、私たちにとって異質なものではなく、時代にあった自然なものとして受け入れるチャンスだと思う」。

(翻訳・「カトリック・あい」田中典子)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも昨年、全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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2017年10月19日