♰「新型ウイルスは私たちが『一つの人類共同体』だと教えている」-イタリアの日刊紙に

(2020.3.20 VaticanNews)

  教皇フランシスコは20日付けのイタリアの日刊紙La Stampaに掲載されたインタビューで、新型コロナウイルスによってあらゆる人が体験している嘆き、苦しみについて語られ、このような状況を生き抜く唯一の道は、皆が結束すること、と強調された。

 そして、今この瞬間を「悔い改め、思いやり、希望をもって」生きることを勧め、「私たちには謙​​虚さが必要です。なぜなら、私たちは人生には暗い時期もあるということを、しょっちゅう忘れてしまうからです… 私たちは、辛いことが他の人にだけ起きる、と考えがちですが、誰にでも、そういう時はあるのです」と付け加えられた。そして、現在の四旬節は「他の人々と、特に苦しんでいる人々と連帯を実践するように、鍛える」時期だ、と説かれた。

*祈ること

 また、教皇は、祈りの重要性を強調された。福音書のガリラヤ湖をイエスと渡ろうとした弟子たちが、激しい突風で舟が沈みそうになり、眠っておられた彼に助けを求める場面(マルコ4章35-38節)を思い起こされ、「祈りは、私たちが自分の弱さを理解する助けとなります… 祈りは、溺れそうになっている人たち、危険にさらされ、孤立していると感じている人たちの叫びなのです」と語られた。そして、「困難で絶望的な状況の中で、主が、私たちをしっかりとつかんでくださる為にそこにおられることを知るのが重要なのです」と強調された。

*皆が苦しんでいる

 教皇は「信仰を持っている人と持っていない人」を区別しない。「人々が涙を流しているのは、苦しんでいるからです… ”あらゆる人”が苦しんでいます」とされ、「私たちは神の前で、皆、子供たちなのです」と述べられた。

*愛する人無しに亡くなる人

 また教皇は、「孤独で、家族の慰めも受けられずに、亡くなっていく人々」について語り、その一方で「看護師の1人が持っていた携帯電話を借りて、(注:側にいることのできない)愛する人に最後の別れを告げた、年配の女性」の話に心を打たれた、と話され、 「『さよなら』を言わずに亡くなった人々の痛みは、後に残された人々の心の傷になります」とされた。

 そのうえで、「(注:患者の世話をしている)全ての看護師、医師、そしてボランティアの方々に感謝します….. 疲労困憊の中で、その場にいることのできない患者の家族の為に、忍耐と思いやりをもって、彼らの代わりを務めてくれているのです」と医療関係者たちに感謝された。

 さらに、教皇は、新型コロナウイルスの世界的大感染(パンデミック)が私たちの将来にもたらすものについて触れられ、現在起きている危機が、「最終的には、人類は単一の共同体である」ということを、私たちに思い起こさせる助けとなり、「universal kinship(普遍的な親族関係=人類は皆、兄弟姉妹の関係にあること)」”が決定的に重要であることを教えてくれる、と指摘された。

 「私たちは、それを”(注:敵と味方に分かれての)戦いが終わった後”の現象と考えるべきです。もはや、”彼ら”ではなく、”私たち”なのです。なぜなら、私たちは共に協力することでしか、現在の状況から抜け出すことができないから」と強調され、次のように結ばれた。「私たちは、自分のルーツー祖父母、お年寄りーをもっと傍で見る必要があります… 私たちの中に、本当の親族関係を作る必要があります」。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

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2020年3月21日