☩「紛争で苦しむ世界に、生命と健康を増進させ、共通善を深める努力を」教皇、生命科学アカデミー総会参加者に

Pope Leo XIV meets with members of the Pontifical Academy for LifePope Leo XIV meets with members of the Pontifical Academy for Life  (@Vatican Media)

(2026.2.16 Vaticaqn news   Isabella H. de Carvalho)

 教皇レオ14世は16日、教皇庁生命アカデミーの総会参加者に向けて講話をされ、「紛争に苦しむ世界において、私たちは時間と資源を割いて生命と健康を増進するとともに、共通善への理解を深めることで不平等に対処しなければなりません」と説かれた。

 講話で教皇はまず、「今日、私たちは病院を含む民間施設を標的とする戦争にさらされています。これは人間の手による、生命と公衆衛生に対する最も深刻な打撃です」とされ、「紛争に傷つけられた世界で、武器やその他の軍事装備の生産に膨大な経済的・技術的・組織的資源が費やされています。このような状況の中で、生命と健康を守るために時間と人材と専門知識を捧げることが、これまで以上に重要となっています」と強調された。

 教皇庁生命アカデミーの総会は「すべての人々のための医療:持続可能性と公平性」をテーマに、16日から17日にかけてローマで開かれている。教皇はこのテーマに賛意を示され、「生命と健康は万人のために等しく基本的な価値、と言われることが多い。しかし、不平等を決定づける構造的原因や政策を無視するなら、この主張は偽善的です…反対の宣言や声明があるにもかかわらず、すべての命が等しく尊重されているわけではなく、健康もまた、すべての人に対して同じように保護され、促進されているわけではない」と指摘された。

 そして、「健康と生活の質に関して、コミュニティが置かれている状況は、所得、教育、居住地域といった変数に影響を与える社会的・環境的政策がもたらす結果としてある… 世界のそれぞれの国や社会集団における平均寿命と健康の質を比較すると、甚大な不平等が明らかになります」と語られた。

 教皇はこの点において、「すべての人の健康と個人の健康が結びついていることを認識する重要性」を強調され、新型コロナの世界的大感染がこの現実をいかに示したかを指摘されたうえで、「私たちの責任は、疾病の治療や医療への公平なアクセスを確保するための措置を講じるだけでなく、健康が複合的な要因によって影響を受け促進されることを認識し、その複雑性を検証し対処することにあります」と言明。

 これをモザイクに例え、「医学、政治、倫理、経営など様々な分野が一体となって包括的な課題に立ち向かい、解決策を見出すことが必要」とされ、「目先の利益ではなく、すべての人にとって最善となるもの」に焦点を当てるべき、と語られた。

 さらに、教皇は「ワン・ヘルス」という概念の推進の重要性を強調され、「これは、環境的側面と、様々な生命形態と生態学的要因の相互依存性を重視し、それらの均衡ある発展を可能にするもの。『ワンヘルス』は、健康問題に対する世界的・学際的・統合的アプローチの基盤となり得る。それは、人間の生命が他の生き物なしには理解不能、かつ持続不可能であることを、私たちに思い起こさせるものです」と説かれた。

 また、公衆衛生の観点から、「この概念は、あらゆる政策(交通、住宅、農業、雇用、教育など)への健康配慮の統合を求めるものでもあります」とされた。

 続けて教皇は、「したがって、この概念を推進するためには「共通善への理解と促進を強化する必要がある。そうすることで、特定の個人や国家の利益に屈することがなくなります… 共通善は、カトリック教会の社会教説の基本原則の一つであり、人々の間の緊密な関係や社会成員間の絆の育成に根ざしていることを認識しなければ、抽象的で無関係な概念に留まる危険性があります」と注意された。

 そして、「これが効率性、連帯、正義を統合する『民主的な文化』が育まれる基盤です」と指摘され、すべての人々に向かって、「支援と他者への親密さとしてのケアという根本的な姿勢を再発見するように」と呼びかけられ、「それは、誰かが困窮しているから、あるいは病気だから、という理由だけではなく、すべての人間に共通する脆弱性を経験しているからです」と付け加えられた。

 さらに、「この方法によってのみ、資源が限られている世界において、あらゆる医療ニーズを満たし、科学に対する誤った情報や懐疑論にもかかわらず、医療と医療専門家への信頼を回復できる、より効果的で持続可能な医療制度を発展させることができるのです」と強調された。

 そして、この点に関し、紛争を予防し、いかなる主体も「力による思考」で他者を圧倒することがないよう、国際的・多国間関係の強化を改めて呼びかけられ、「この視点は、健康の保護と促進に取り組む超国家的組織による協力と調整にも適用されます」と結論づけられた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2026年2月17日