
(2025.11.4 Vatican News Joseph Tulloch)
教皇レオ14世は4日、休養先のカステル・ガンドルフォからバチカンにお帰りになる前に、記者団の質問に答え、米国における移民の扱いを「深く反省する」よう求めるとともに、米国とベネズエラ間の「対話」を促された。
また。イスラエルとハマス間の和平合意は「非常に脆弱」だ批判。性的虐待で訴えられている元イエズス会士、マルコ・ルプニクの裁判が「関係者全員に明確さと正義をもたらすことを望む」と述べられた。
米国での移民問題について、教皇は「長年米国で生活し、一度も問題を起こしたことのない多くの人々」が政府の大規模な強制送還政策によって「深く傷ついている」とされ、多くの移民収容者は「家族と長期間引き離され」、そして「何が起きているのか誰も知らない」と現状を憂慮された。
*移民収容者の「霊的権利」は守られるべきだ
関連して教皇は、シカゴで拘束されているカトリック移民が聖体拝領を拒否されている事実について、記者の質問に、「教会の役割は福音を宣べ伝えることだ」と答え、福音書記者マタイによる最後の審判の記述を引用し、「イエスは明確にこう言われています—世の終わりに、私たちは問われる。あなたは異邦人をどう迎えたのか? 彼を受け入れ、歓迎したのか、それともしなかったのか?」と語られた。
さらに、収容されている移民の「霊的権利」を保護することの重要性を指摘。「当局に対して、収容されている移民のニーズに応えるために司牧活動者が立ち会うことを許可するよう強く要請したい。多くの場合、彼らは長い間家族から引き離されている。何が起きているのか誰も知らない… だが、彼ら自身の精神的ニーズには応えるべきです」と言明された。
*米・ベネズエラ間の緊張-暴力は勝利をもたらさない
教皇は、米国とベネズエラ間の緊張の高まりについても懸念を表明。「戦闘艦がベネズエラ沿岸に接近しているとの報道を耳にしたばかりですが… 暴力は決して勝利をもたらしません。重要なのは対話。国内に存在するかもしれない問題を公正な方法で解決することです」と強調された。
米海兵隊はベネズエラ海域近くに展開しており、米国はこれを麻薬対策作戦と説明している。これに対しベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領は、ベネズエラの石油を奪うための「政権交代を強要する」口実だ、と反論している。
*イスラエル・ハマス停戦合意の第一段階は維持されているが、非常に脆弱
また教皇、中東情勢に関する質問にも答えられた。中東では、10月10日のイスラエル・ハマス停戦合意が、新たなイスラエルの攻撃や、ヨルダン川西岸地区の村々に対する入植者による襲撃によって脅かされている。
教皇は「少なくとも和平合意の第一段階は依然として維持されている」が、停戦は「非常に脆弱」であることを認められたうえで、「第二段階へ移行し、統治体制の確立と全ての民族の権利保障に取り組む必要性」を強調。
国際法上違法とされるヨルダン川西岸地区のイスラエル入植地問題については、「実に複雑です… イスラエルは口で言うことと、実際の行動が違う場合があります」と批判。「全ての民族のための正義を実現すべく協力すること」の必要性を訴えられた。
*「労働界の聖年」を労働者の尊厳を守る努力をまとめる機会に
「労働界の聖年」を前に、労働者の権利問題にも言及した。3日には、ローマ中心部で中世の塔の修復工事中に崩落事故があり、66歳の労働者が作業場の崩壊事故で死亡している。教皇は「家族を養えるような尊厳ある仕事を持つことは人権です」とされる一方、「教会の力には限界がありますが、この聖年を、問題についてコメントするだけでなく、希望を与え、解決策を見出すために努力を一つにまとめる機会としたい」と述べられた。
*多数の女性を性的虐待した容疑のルプニク裁判が正義をもたらすように
最後に教皇は、「マルコ・ルプニク」に関する質問に答えた。元イエズス会司祭で芸術家であるこの男は、多数の女性への性的虐待で告発され、現在、教理省が調査中だ。
ルプニクの作品は世界中の多くの教会に今も展示されているが、教皇は「多くの場所で…作品は覆い隠され、ウェブサイトからも削除されている。この問題は確かに私たちも認識しています」とされ、バチカンでの裁判が最近始まったことを確認されたうえで、「司法手続きには時間がかかります… 被害者たちに忍耐を求めるのは非常に難しいことは承知していますが、教会は全ての個人の権利を尊重せねばなりません。有罪が証明されるまでは、(ルプニクには)『推定無罪』が適用されます。裁判が、すべての関係者にとって、明確さと正義をもたらすことを願っています」と語られた。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)