☩「私たちも、喜びに満ちて福音を宣言する者となりますように」復活の月曜日、Regina coeliの祈りで

(2023.4.10 Vatican News   Thaddeus Jones)

 「復活の月曜日」の10日、教皇フランシスコは聖ペトロ広場で、Regina coeli(天の元后、喜びたまえ)の祈りを唱えられ、イエスに付き従ってきた女性たちが「主が復活された」という知らせを伝えに急いだ福音書の場面を思い起こされ、このことが、私たちもイエスを証しすることで、お会いできることを教えている、と語られた。

(バチカン放送)

この集いにおける、教皇の説教は次のとおり。

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 親愛なる兄弟姉妹の皆さん

 今日の福音は、復活されたキリストと墓に行った婦人たちとの出会いを、生き生きと思い起こさせるものです。このように、復活のキリストと最初に出会ったのは、女性の弟子たちだったことが分かります。

 なぜ、この婦人たちがキリストの復活の最初の証人となったのでしょうか。その理由はとても簡単です。イエスの墓に最初に行ったのが彼女たちだったからです。この婦人たちも、すべての弟子と同じように、イエスをめぐるすべてはもう終わってしまったかのように思われ、そのために苦しんでいたのです。

 ただ、婦人たちが他の使徒たちと異なっていたのは、悲しみと恐れにしばられ家に閉じこもることなく、朝早く、日の出と共に、香料を携えてイエスの墓を訪れたことでした。墓は封印されていたために、婦人たちは「誰が墓の入り口からあの石を転がしてくれるでしょうか」と話し合っていました ( マルコ福音書16章1-3節参照)。しかし、彼女たちの愛の業を行おうとの意思は、何にも勝っていました。婦人たちは恐れと苦悩に打ち勝ち、決して落ち込むことはありませんでした。まさに、これこそが復活された方に出会う方法なのです。

 福音書の記述を追っていきましょう。女性たちは墓に到着し、墓が空になっているのを見ます。福音書は言います。婦人たちは「恐れながらも大いに喜び」(マタイ福音書28章8節)、弟子たちに事の次第を告げに走ります。まさしく、この知らせを告げに行く途中で、イエスは婦人たちと出会うのです。大事なのはここです。婦人たちがイエスについて告げに行くその最中に、イエスが会いに来られた、ということです。素晴らしいことではないでしょうか。

 主を告げに行く時、主は私たちに会いに来られるのです。私たちはしばしば、「主のそばにいるためには、主を自分にしっかりと引き寄せていなければ」と考えがちです。また、主について語ろうとする時、批判されたり、悪く言われたり、時には答えに窮するような質問や挑発を受け、「それならば話さないほうがましだ」と考えるのです。これに対し、主は、主について告げる時に会いに来られるのです。「イエスを証しすることによってイエスと出会うことができる」と今日の福音の女性たちは教えています。

 一つの例を挙げましょう。たとえば私たちが、子どもの誕生のような何か素晴らしい知らせを受けたとします。私たちが最初にすることは、この喜ばしいニュースを友人たちと分かち合うことではないでしょうか。そして、繰り返し語ることによって、私たち自身もまたこの喜びを深めるのです。

 このようなことが一つの良いニュースのために起きるなら、イエスの場合には無限の喜びが起こるのです。なぜなら、それは一つの良い知らせ、命の素晴らしい知らせであるだけでなく、「命そのもの」だからです。イエスは「復活であり、命」(ヨハネ福音書11章25節)なのです。この知らせを告げるごとに、宣伝でも改宗主義でもなく、尊重と愛をもって、分かち合うべき最も素晴らしい賜物、喜びの神秘として、それを告げるごとに、イエスは、ますます私たちの中に深くお住まいになるのです。

 福音書の婦人たちに思いをはせましょう。墓は石で封印されていました。しかし、それにも関わらず、彼女たちは墓に行きます。すでに街全体が十字架にかかったイエスを見ています。それにも関わらず、婦人たちはイエスは生きていると告げに街に走ります。イエスと出会った時、それを告げ知らせるための妨げは、もう何もありません。もし私たちがその喜びを自分のために留めて置くなら、復活されたイエスと本当に出会ったとは言えないでしょう。

 兄弟姉妹の皆さん、この福音書の婦人たちの体験の前で、私たちも自問しましょう。最後にイエスを証ししたのは、いつだったでしょうか。今日、私が出会う人々がその知らせの喜びを受け取るために、私に何ができるでしょうか。私のことを考える人が、「この人はイエスと出会ったために、穏やかで、幸福で、善良だ」と言うことができるでしょうか。私たちも、福音の喜ばしい使者となれるよう、聖母の助けを願いましょう。

(編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2023年4月11日