☩「死の迫害の中で神に人々の赦しを願った殉教者、聖ステファノに学ぼう」

(2018.12.27 バチカン放送)

 カトリック教会の典礼暦では、主の降誕の翌日12月26日に、教会の最初の殉教者、聖ステファノ助祭を記念して祝う。教皇フランシスコはこの日、バチカンで正午の祈りを巡礼者と共に唱えられた。

 祈りに先立つ説教で、教皇は、殉教者となった助祭・聖ステファノの信仰の証しを思い起こされた。

 「クリスマスのすぐ翌日に聖ステファノを記念することは、ベツレヘムでのイエスの降誕の喜びと、エルサレムで石打ちされたステファノの殉教の悲劇を対比することで、違和感を与えるかもしれません」としたうえで、「しかし、幼子イエスは、人となられた神の御子であり、十字架上の死を通して人類を救う方です。私たちが今、観想している、馬小屋の中の布にくるまれた幼子は、十字架から降ろされた後、再び埋葬のために布に包まれることになるのです」と語られた。

 そして、「聖ステファノは、神なる師イエスに殉教をもって最初に従った人」「イエスとステファノの死に共通するのは、自らの命を神にゆだねたこと、迫害者たちを赦しながら死んだこと、の二つです」とされ、彼は、人々から石を投げつけられている間、「主イエスよ、私の霊をお受けください」(使徒言行録7章59節)と言ったが、それはイエスが十字架上で「父よ、わたしの霊を御手に委ねます」(ルカ23章 46節)と叫んだことと同様でした」と指摘。

 イエスの態度に忠実に倣ったステファノの姿は「私たち一人ひとりに、神の手から自分のために用意された命を信仰をもって受け取るよう促しているのです」と教皇は語り、「神への信頼は、困難な時も、信仰の成長の機会、兄弟たちとの新しい関係構築のチャンスとして、それを受け入れ、生きることを助けてくれます」と話された。

 また、教皇は、「主よ、この罪を彼らに負わせないでください」(使徒言行録7章60節)とひざまずき、大声で叫んだステファノの人を赦す態度に注目し、「私たちもステファノから赦すことを学ばなければなりません」と諭され、「赦しは心を押し広げ、分かち合いを生み、穏やかさと平和をもたらします」、ステファノは「家庭や、学校、職場、小教区、様々な共同体内の人間関係において、とるべき道を私たちに示してくれるのです」と話された。

 最後に、「赦しと慈しみは、常に希望の地平を開きますが、その赦しの心は、イエスに眼差しをしっかりと向け、祈ることで、育む必要があります」と説かれ、「私たちが怖れや弱さや小ささから立ち上がり、赦しに心を開く力を、聖霊に忍耐強く祈り求める」ように促された。

(編集「カトリック・あい」・・・聖書の日本語訳は今月出版された「聖書 聖書協会共同訳」を使用しています)

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2018年12月27日