☩「欧州よ、希望の光を灯せ・『世界青年の日』大会が未来へ漕ぎ出す機会となるように」リスボンで各界代表、外交団に

 ポルトガル訪問初日の2日昼、教皇フランシスコは首都リスボンのベレン文化センターで、ポルトガルの各界代表、外交団と会見された。

 教皇はあいさつで、多様な民族と文化を擁する出会いの都市リスボンを訪れた喜びを表された教皇は、世界青年の日(WYD)大会が開かれるこの週、「リスボンはいっそう世界的な都市、ある意味で世界の首都になりました」と語られた。

 また、「ポルトガルの多民族・多文化な性格、国際性は、より新しく広い水平線に向かって探索、航海しながら『世界に対し自らを開きたい』という情熱に、その根源を持っています」とされたうえで、「ヨーロッパ」という名称の語源に諸説ある中で、まさに「西方」を表す言葉にそれが由来している、という説を取り上げ、「その西方、ヨーロッパの中で。さらに最も西にあるリスボンは、ポルトガルが共通の言語を通じて、他の大陸ともつながっているように、いっそう大きな出会いに導く道を切り開いていくよう呼びかけているのです」と強調された。

 教皇はさらに、「ヨーロッパが、東方と地中海地域、中東とアフリカとの橋を架ける者、調停者としての役割を果たすことを、世界は求めています」とされ、「今開かれている世界青年の日(WYD)リスボン大会が、この”古い大陸”にとって、改めて、世界へと大きく開く動力となること」を願われた。

 そして、「歴史の大海の中で、今、嵐の中を航海している私たちは、平和に向かう勇気ある針路が欠如していることに、気が付いています。ヨーロッパよ、ウクライナにおける戦争と世界各地の流血の紛争を終結させるための平和のプロセスを、創造的な道のりを、示さないで、いったい、どこに行こうとしているのですか」と問いかけられ、「西洋の中心であるヨーロッパが創意を生かし、戦争の火種を消し、希望の光を灯すことを、私は夢見ています」と語られた。

 また教皇は、現在の発展したはずの世界が、「人の命を守る」という最優先課題とは裏腹の、利益至上主義による「命の使い捨て」の危険を冒している現実を指摘、「ヨーロッパよ、西洋よ、高齢者を排除し、鉄条網を張り、海での悲劇や、空の揺りかごと共に、どこに向かって航海するのですか。生きづらさを感じる人々に対して、死への安易な方法や、甘いように見えて実際は海の水より苦い、安易な解決法など、性急で誤った手段を差し出しながら、どこに行こうとしているのですか」と再び問いかけられた。

 「WYD大会に参加するために世界中から集まった若者たちは、一致と平和と兄弟愛への情熱を育みつつ、彼らの夢である善を実現するように、私たちを招いています。怒りを叫ぶ道ではなく、福音の希望を分かち合う道です」とされ、世界各地に蔓延する抗議と不満の空気、大衆迎合主義や陰謀論の土壌を感じる今日、WYD大会を、「共に構築する」ための機会、新しい創造の熱意を取り戻し、岸辺を離れ、「未来に漕ぎ出すための機会」となることを強く期待された。

(編集「カトリック・あい」)

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2023年8月3日