☩「暴力の連鎖、憎悪の糸を断ち切る”平和の宣教師”となれ」コンゴ・キンシャサでのミサで

 アフリカ二か国歴訪中の教皇フランシスコは1日午前、コンゴ民主共和国の首都キンシャサの国際空港で約3000人の司祭とともに、全国から集まった約100万人の信徒たちとミサを捧げられた。ミサには大勢の信徒たちに対応するため、約9000人のボランティア、2500人の医療スタッフ、7500人の警官が配置された。ミサの意向は「平和と正義」で、フランス語とリンガラ語で捧げられ、信徒の祈りは、スワヒリ語、コンゴ語、ルバ語でも行われた。

 教皇はミサ中の「喜び」「平和」をテーマにした説教で、「復活されたイエスを見た弟子たちの喜び」( ヨハネ福音書20章20節参照)、「イエスが弟子たちに語られた『あなたがたに平和があるように』という言葉」(20章19節)を観想された。

 復活した主を見て驚き、喜ぶ弟子たちに、イエスが告げた「あなたがたに平和があるように」という言葉は、「単なる挨拶ではなく、一つの『委託』なのです」と教皇は強調。「ベツレヘムでの降誕の夜に天使たちが告げた平和」(ルカ福音書2章14節参照)「イエスが弟子たちに約束された平和」(ヨハネ福音書14章27節参照)は、「この時、初めて弟子たちに荘厳に託され、そしてこのイエスの平和は、ミサを通して毎回、私たちにも託され続けています」と語られた。

 復活されたイエスが弟子たちの前に現れた時、弟子たちは、イエスの十字架上の死を見て挫折し師を置いて逃げた罪の意識に苦しみ、イエスと同じ運命をたどることを恐れ、おびえていた。イエスが平和を告げた時、弟子たちの心は瓦礫のようであり、イエスが伝える命に対し、弟子たちの心は、死に満ちていた。

 だが、「すべてが終わってしまった、と思われ、平和がもはや不可能に見えたその時に、イエスは、弟子たちに平和を宣言されました。暴力や戦争で希望を失った世界で、今もイエスは、キリスト者たちに『あなたがたに平和があるように』と告げ、世界にその平和を伝えることを、私たちに託されているのです」と説かれた。

 教皇は、イエスの平和を育て守る力をくみ取る3つの源泉として、「赦し」「共同体」「福音宣教」を挙げられ、特に「赦し」の重要性を強調されて、「キリストは平和をもたらすために、ご自身の赦しによって、私たちに塗油され、他者を赦す勇気、『心の大赦』を行う勇気を与えてくださいます」と言明。「怒りや良心の呵責、あらゆる怨恨やねたみから、心を清められることは、何と素晴らしいことでしょう。今こそ、イエスの赦しを受け入れ、体験する恵みの時なのです」と訴えられた。

 また、「心と家の扉を開き、平和を迎えることは、何と美しいことでしょう。自分の部屋に、家の外に、『あなたがたに平和があるように』と記し、それを祖国のための預言、神の祝福として示しましょう」と呼びかけられた。

 そして、「私たちは”平和の宣教師”となるように召されています」と語られた教皇は、「民族や、地域、社会、宗教、文化の違いを乗り越え、他者を兄弟姉妹として受け入れ、暴力の連鎖、憎悪の糸を断ち切るように」とコンゴ民主共和国の人々に求められた。

(編集「カトリック・あい」)

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2023年2月2日