☩「教会が、全ての家族に寄り添う”善きサマリア人”であるように」教皇、世界家庭大会開会式で

(2022.6.22 バチカン放送)

 カトリック教会の「第10回世界家庭大会」が22日に開幕、バチカンで教皇フランシスコが参加された開会の集いが催された。

 イタリア現地時間22日の午後に始まった集いには、世界120か国から2,000人以上の家族が参加。ウクライナのキエフの小教区からの中継や、この大会の保護者である聖クアトロッキ夫妻の孫の挨拶などの後、5つのテーマに沿って5組の夫婦・家族の信仰の体験が発表された。

教皇はこれらの証言の一つひとつに耳を傾けた後、世界の家族に挨拶をおくられ、「それぞれがいる場所、それぞれの家庭が持つ具体的な状況の中で、すべての家族に寄り添います」とされるとともに、それぞれの家族が置かれた現実の中で、配偶者、家族、教会と共に歩む努力をしてください」と励まされた。

また教皇は、「教会は、『善きサマリア人』のように、すべての家族に寄り添い、どのように小さな歩みでも、『もう一歩』が踏み出せるように、助ける存在であって欲しい」と強い希望を述べられた。

そして「もう一歩」の目標として、先の5組の夫婦・家族の体験発表を受ける形で、「結婚へのもう一歩」、「十字架を抱くためのもう一歩」、「赦しへのもう一歩」、「受け入れへのもう一歩」、「兄弟愛へのもう一歩」の5つを挙げられ、「それぞれの家族は、世界において果たすべき使命、世界にもたらすべき証しを持っています」と説かれた。

そして、この集いの終わりに、参加者と世界中の家族に祝福をおくられた。

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 この集いでの5つのテーマに沿った夫婦・家族の体験発表では、まず「結婚への招き」で、若いカップルが「子宝に恵まれながらも、教会から離れ、秘跡としての結婚を諦めていた。だが、コロナ禍での育児の苦労を、キリスト教的価値観を持つある夫婦とソーシャルネットワーク上で分かち合う中で、神への信頼や、信仰に基づいた家庭生活のあり方に目覚め、教会での結婚を望むようになった」と体験を語った。

「聖性への招き」では、2018年に列福調査が始まったキアラ・コルベッラ(1984-2012)の両親が証言。娘のキアラは、妊娠中に発病したが、胎児に影響を与える治療を出産まで行わないことに決め、出産。だが、本人の病は出産後の治療のかいもなく、約1年後に天に召された。そのキアラの信仰と愛を振り返った。

「赦しへの招き」では、結婚して27年、3人の子をもつコンゴ人の夫妻が、結婚生活の起伏を語った。妻は、夫の不誠実を理由に離婚を決意し別居したが、家庭の大切さに気付いた夫の懇請を受けて、教会の家庭司牧のグループのカウンセリングやケアを夫婦で受け、夫を赦し、結婚生活を立て直した体験を話した。

「受容への招き」では、ロシアの軍事侵略で家を追われ、避難して来たウクライナ人母子を受け入れたローマ在住の夫婦が経験を語った。夫婦は6人の子持ちだが、家族で話し合った結果、「いつも教会や周囲から支えられ、受け入れられている、と感謝しており、今度は自分たちが、困っている人を受け入れることを決めた」とし、多くの人と連帯する喜びを説明。

 また、彼らに受け入れたもらったウクライナの母子は、突然始まったロシアの軍事侵攻の恐怖、父や夫との離別の悲しみ、生活の不安を語るとともに、信仰の大切さ、受け入れてくれた家族の温かさ、出会いによる救いに感謝を述べた。

 最後のテーマ、「兄弟愛への招き」では、コンゴ民主共和国駐在のイタリア大使だったルカ・アタナシオ氏の妻、ザキア氏が体験を語った。アタナシオ大使は昨年、同国で武装集団の銃撃により殺害された。モロッコ出身でイスラム教徒であるザキア氏は、イタリア人でカトリック教徒の夫との国籍や宗教を超えた、互いへの尊敬と調和に満ちた家庭生活を振り返った。

 そして、世界食糧計画(WFP)のプロジェクトのために移動中に殺害された夫の人道援助活動を紹介し、「天国の夫に支えられながら、残された娘たちと共に、愛と平和と正義のために努力し、夫が遺したプロジェクトを受け継いでいきたい」と抱負を語った。

(編集「カトリック・あい」)

 

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2022年6月23日