☩「全ての人に救いをもたらす神の愛を受け取ろう」-降誕祭の深夜ミサで

(2019.12.24 Vatican News)

 2019年の降誕祭を迎え、教皇フランシスコは24日夜(日本時間12月25日朝)から、バチカンの聖ペトロ大聖堂で、深夜ミサを捧げられた。

 教皇はミサの中の説教で、神の恵み-すべての人に救いをもたらし、この夜、私たちの世界に輝くーについて語られた。

 この恵みを「神の愛、人生を変え、歴史を更新し、悪から解放し、心を平和と喜びで満たす愛」とされ、「この愛はイエスとして私たちに明らかにされました。イエスにおいて、いと高き方がご自身を小さくされました。私たちがその方を愛せるようにです」と語られた。そして、「すべてが得るために与えているように見える世界に、神はご自身の意思で降りてこられます。神の愛は取引をするようなものではありません」と言明。

 さらに、「クリスマスは、神が私たちすべて、私たちの中で最も悪い者さえも、愛し続けておられることを思い起こさせてくれます… それは、私たちが神の目にはかけがえのない者だからです。神の愛は無条件です。私たちに左右されません… 私たちが善良であれば神は喜ばれ、悪いなら私たちを罰されると、どれほど頻繁に私たちは考えるでしょうか」と問いかけられ、「でも、それは神のなさり方ではありません… 神の愛は変わることがない。気まぐれではありません。それは忠実であり、忍耐強いのです」と強調された。

 そして「『神に恵み』は『素晴らしさ』と同じ意味を持ちます」とされ、神の愛の素晴らしさの中で「私たちも自分の素晴らしさに気づきます。私たちは神に愛されているからです… 神の目には、「私たちがすることではなく、私たちの存在が、素晴らしいのです」と語られた。

 また教皇は、「幼子イエスを深く思い、私たちが、神の優しい愛に包まれるように」と促され、クリスマスに当たって、次のような問いかけをされたー「自分自身を、神に愛されるようにしますか?私たちを救いに来られる神の愛のために自分自身を捧げますか?」。

 神の恵みという贈り物を受け取ることは、「感謝する用意ができている、ということを意味します… 今日は、聖櫃、飼い葉おけの中の幼いキリスト、飼い葉おけ、に近づき、ありがとうございます、と言うのにふさわしい日です。イエスという贈り物を受け取りましょう。私たちが、イエスのような贈り物となるために。贈り物となるということは、人生に意味を与えることです。そして、それが、世界を変える最良の方法なのです」と強調された。

 教皇は続けて、「イエスは言葉の洪水で歴史を変えたのではなく、ご自身の命という贈り物によって変えられました。イエスは私たちを愛する前に、私たちが善い者となるまでお待ちになりませんでした… 同じように、私たちが隣人に善いことをするのに、彼らが善い人になるのを待つべきではありません。私たちが教会を愛するのに、教会が完全なものとなるのを、私たちが他の人々に奉仕するのに、彼らが私たちに敬意を払うのを、待つべきではありません」と訴えられた。「私たちから始めましょう… それが、恵みの贈り物を私たちの意思で受け取ることを意味します」と。

 最後に教皇は「イエスがお生まれになった時、羊飼いたちは、さまざまな贈り物を持って馬小屋に急いだ」という福音書の場面を取り上げられた。

 ー彼らの中には、とても貧しくて、贈る物が無い羊飼いもいた。彼は、皆が競って贈り物を捧げる中で、離れた所に立ち、恥ずかしい思いをしていた。一方で、聖ヨセフと聖母マリアは、沢山の贈り物を受け取るのに苦労していた… とくにマリアは、生まれたばかりの幼子の世話で忙しかった。それで、ヨセフは、その手の空いている羊飼いを知って、飼い葉おけの側に来て、イエスを抱いてくれるように頼んだ。

 「羊飼いは喜んでその頼みを受け、そして、自分には値しないものを受け取ったこと、自分の腕に最も素晴らしい贈り物を手にしたことを知りました。彼は自分の手を見つめました」と語られた。

 そして「兄弟姉妹の皆さん、もしも、あなたの手が空いているように思われたら、あなたの心に愛が足りないことが分かるでしょう。今夜はあなたのためのものです。神の恵みが、あなたの命を輝かすために現れました。それを受け取りなさい。クリスマスの光があなたの中に輝きます」と呼びかけられた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2019年12月25日