☩「人身売買は人類に対する重大な犯罪、終結させる決意を」教皇、8日の「世界人身取引に反対する祈りと啓発の日」を前に呼びかけ

File photo of Pope Leo XIVFile photo of Pope Leo XIV  (@Vatican Media)

Pope Leo XIV releases a message to mark the 12th World Day against Human Trafficking, and pledges the Catholic Church’s commitment to confront and bring an end to this “grave crime against humanity.”

(2026.2.6 Vatican News   Devin Watkins)

 2月8日のカトリック教会の「世界人身取引に反対する祈りと啓発の日」を前に、教皇レオ14世は6日、メッセージを発表、この「人類に対する重大な犯罪」に立ち向かい、終結させる決意を表明された。

 「世界人身取引に反対する祈りと啓発の日」は女子修道会の国際総長会議(UISG)が、聖バキータの祝日である2月8日と定めたのが始まり。人身取引についてよく知り、人身取引をなくすために、また被害者たちのために祈るのが狙いで、今回で12目を迎える。

 メッセージで、教皇は、「現代の奴隷制」が招いている惨状を非難、オンライン社会においてさらに不気味な形態を呈していることを指摘したうえで、「この重大な人類に対する犯罪に立ち向かい、終結させるための緊急の呼びかけ」をされた。

 そして、復活されたキリストの「平和があるように」という呼びかけを取り上げ、「この言葉は、新たな人類への道を示しています… 真の平和は、あらゆる人の神から与えられた尊厳を認め保護することから始まります」とされた。

 そのうえで、「しかし、暴力が増大するこの時代において、多くの人々は、自らの支配を確立する条件として、武器による平和を求める誘惑に駆られている… 人間は戦争において、政治的・経済的利益のために犠牲にされる単なる巻き添え被害者と見なされることが多くなっています… そして、同じ人命軽視の風潮が、人身売買を助長している… 武力紛争や地政学的な不安定が、避難中の人々を搾取する機会を人身売買業者に与えるからです」と指摘。

 教皇は、「この壊れたパラダイムの中で、女性と子どもが忌まわしい取引によって最も深刻な影響を受けています」とされ、さらに現在顕著になっている「サイバー奴隷制」の増加に言及。「これは人々が、オンライン詐欺や麻薬密輸、詐欺などの犯罪活動に誘い込まれる現象の一環。被害者は、加害者の役割を強制され、精神的な傷をさらに深めることになっています。こうした暴力は、個別に起きている事件ではなく、『キリストの愛を忘れた文化』がもたらす症状なのです」と語られた。

 そして、こうした苦痛と社会的課題に対して、「キリスト教徒は、『祈り』と『自覚』に向かわねばなりません。『祈り』は不正と無関心に抵抗する力を与える『小さな炎』であり、『自覚』は地域社会やデジタル空間における搾取システムを特定し、克服する助けとなります」と述べ、信者たちに『祈り』と『自覚』を促され、「人身取引の暴力は、あらゆる個人を神の愛する子として見る、新たな視点によってのみ克服することができるのです」と強調された。

 メッセージの最後に教皇は、人身売買の被害者を支援する、自身も被害者である人も含む多くの人々やネットワークに感謝の意を表された。そして8日の「世界人身取引に反対する祈りと啓発の日」を聖バキータの取り次ぎに委ね、「聖バキータの生涯は、最後まで彼女を愛した主への希望の力強い証し」とされたうえで、「平和は、単に戦争の不在ではなく、『武装せず、武装解除する』もの。すべての人の尊厳を完全に尊重することに根ざした世界に向かう旅へ参加しよう」と世界の信者たちに呼びかけられた。

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バチカン発表のメッセージ全文の「カトリック・あい」日本語訳は以下の通り。

教皇レオ14世のメッセージ  第12回「世界人身取引に反対する祈りと啓発の日」に当たって

 

尊厳から始まる平和:人身取引撲滅への世界的な呼びかけ

 親愛なる兄弟姉妹の皆さん

 第12回「世界人身取引に反対する祈りと啓発の日」に当たって、この重大な人道に対する犯罪に立ち向かい、終結させるよう、教会が緊急に呼びかけていることを改めて強く表明いたします。

 特に本年は、復活された主の挨拶「平安あれ」(ヨハネ福音書20章19節)を取り上げたいと思います。この言葉は単なる挨拶ではなく、新たな人類への道を示しています。真の平和は、すべての人に神から与えられた尊厳を認め、守ることに始まります。しかし、暴力が増大するこの時代において、多くの人々は「自らの支配を確立するための条件として武器によって」平和を求める誘惑に駆られています(聖座駐在外交団への演説、2026年1月9日)。さらに、紛争状況においては、人命の喪失が戦争推進者たちによって「付随的損害」として軽視され、政治的・経済的利益追求の犠牲となることがあまりにも頻繁に起こっています。

 悲しいことに、この支配欲と人命軽視の論理は、人身取引という惨劇をも助長しています。地政学的不安定と武力紛争は、人身取引業者が最も脆弱な立場にある人々、特に避難民、移民、難民を搾取するための肥沃な土壌を生み出しています。この壊れたパラダイムの中で、女性と子どもたちはこの凶悪な取引によって最も深刻な影響を受けています。さらに、富裕層と貧困層の格差の拡大は多くの人々を不安定な状況に追い込み、勧誘者の欺瞞的な約束に弱くさせます。

 この現象は、いわゆる「サイバー奴隷制」の台頭において特に憂慮すべきものです。これは、個人がオンライン詐欺や麻薬密輸などの詐欺的計画や犯罪活動に誘い込まれるものです。このような場合、被害者は加害者の役割を強要され、精神的傷がさらに深まります。こうした暴力は孤立した事件ではなく、キリストの愛を忘れた文化の症状なのです。

 こうした深刻な課題に直面する中、私たちは祈りと認識に向かいます。祈りは嵐の中で守らねばならない「小さな炎」であり、不正義への無関心に抵抗する力を与えてくれます。認識は、私たちの地域社会やデジタル空間に潜む搾取の仕組みを見抜く力を与えます。結局のところ、人身取引の暴力は、あらゆる個人を神様の愛する子として見つめる新たな視点によってのみ克服できるのです。

 国際的なネットワークや組織を含め、人身取引の被害者に手を差し伸べるキリストの手として奉仕してくださる全ての方々に、心より感謝申し上げます。また、他の被害者を支援する擁護者となられた生存者の皆様にも敬意を表します。彼らの勇気、忠実さ、そしてたゆまぬ献身に、主の祝福がありますように。

 このような思いをもって、本日を記念される皆様を、聖ヨゼフィーヌ・バキタの取り次ぎに託します。彼女の生涯は、最後まで彼女を愛された主(参照:ヨハネ13:1)への希望の力強い証しです。平和が単に戦争の不在ではなく、「武装せず、武装解除する」ものであり、すべての人々の尊厳への完全な尊重に根ざした世界へ向けた歩みを、私たち皆で共に歩みましょう。

 バチカンより 2026年1月29日 レオ14世

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

 

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2026年2月7日