Pope Francis writing
(22024.11.14 Vatican News Deborah Castellano Lubov)
教皇フランシスコは14日、同日バチカンで開かれた生命科学アカデミー主催「共通善に関する対話:理論と実践」シンポジウムの参加者たちにメッセージを送られ、 共通善は「カトリック教会の社会教説」の礎であり、生命の問題を考える際に常に心に留めておかなければならない、と強調された。
メッセージで教皇は、共通善というテーマに関する幅広い考察の中で、「今回の会合は、少なくとも2つの理由から特に意義深いものだと考えています」とされた。
一つ目の理由として、教皇は、この会合が教皇庁生命科学アカデミーの主催によることを挙げ、「あらゆる状況や文脈の中で人間の生命を守ることを真に願うのであれば、生命に関するテーマを、社会的・文化的文脈の中に位置づけることを無視することはできません」と指摘された。
そのうえで、「特定の側面や瞬間だけに限定し、すべての実存的、社会的、文化的側面を統合的に考慮せずに生命を守ろうとしても、効果がない。現実の人間よりも抽象的な原則を守ろうとする”イデオロギー的アプローチ”の誘惑に陥る危険性があります」と警告。
そして、「すべての人間の生命、特に”私たちが生活している生態系全体に関する共通善と正義の追求は、最も壊れやすく無防備な人間の生命を守るための核であり、不可欠です」と強調された。
理由の二つ目は、「このイベントに異なる責任と経歴を持つ2人の女性が参加していること」とされた教皇は、「私たちは、社会においても教会においても、女性の声に耳を傾ける必要があります」と語られた。
続けて教皇は「私たちは、人類の未来について広く賢明な考察を深めるために、さまざまな形の知識をもった人々が協力する必要があります… 世界のすべての文化の真の貢献が必要です」と語られ、回勅『Fratelli tutti(兄弟の皆さん)』の第3章「開かれた世界を描き、生み出す」を引用する形で、「必要を満たし、”資源”を活用することによってのみ、私たちは 『開かれた世界』を考え、生み出す”ことができるのです」と訴えられた。
さらに、教皇は、普遍的な友愛とは、ある意味で、共通善を理解するための”個人的”な温かい方法であり、「単なる思想、政治的、社会的プロジェクト」ではなく、むしろ「顔、物語、人々の交わり」であることを強調され、「共通善とは、何よりも、友愛の受容と、真理と正義の探求の共有からなる実践です」と語られた。
教皇はまた、「この世界において見られる多くの対立や分裂は、しばしば、個人の利益を超えた見方ができないことから起きています」と指摘されたうえで、「教会の社会教説の礎石の一つである共通善を思い起こすことは、非常に重要です」と念を押された。
さらに、教皇は「政治的な意思決定における効果的な指針となるように、共通善を具体的なテーマとして採用し、発展させる確かな経済理論が必要です」と提案。「これを頻繁に口にされるだけで、実際には無視される”分類項目”にとどめおいてはなりません」と訴えられた。
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なお、このシンポジウムでは、生命科学アカデミー会長のヴィンチェンツォ・パリア大司教が教皇のメッセージを読み上げた後、同アカデミー会員のロンドン大学ユニバーシティ・カレッジのマリアナ・マズカート教授とバルバドスのミア・モットリー首相との対談が行われた。
対談では、共通善の新しい経済学が、健康、生物多様性、気候、水などの環境、人工知能の未来に関連する、私たちの経済的・社会的問題に対して、早急にうまく設計された行動を生み出すのにどのように役立つかについて、意見が交わされた。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)