☩「争いで狂った世の中、それでも主の愛の力を信じる」教皇、主の降誕夜半ミサで

(2023.12.24 バチカン放送)

 教皇フランシスコは24日、バチカンの聖ペトロ大聖堂で、主の降誕の夜半ミサを捧げられ、説教で、ベツレヘムでの主の降誕の場面を思い起こしつつ、今日の聖地の情勢を思い、平和の君、イエスへの祈りを新たにされた。Christmas Mass during the Night in Saint Peter's Basilica

 説教の中で教皇は、まず、福音書にイエスの降誕がローマ皇帝アウグストゥスの勅令による「全領土の住民の登録」(ルカ2章1節参照)という出来事を背景に記されていることに注意を向けられ、「福音書は、この住民登録について軽く触れるだけで済ませず、詳しく記述することで、『皇帝が世界の住民を数えている間に、神が目立たずに、この世に入って来られた』という対比を浮かび上がらせています」と指摘。

 「『この世の王』が歴史に名をはせようとしている時、『歴史の王』は小さき者の道を選びました… 権力者たちが誰も幼子イエスの存在に気づかず、気づいたのは社会の片隅に生きる数人の羊飼いたちだけだったのです」説かれた。

 そして、「今夜、私たちの心はベツレヘムにあります。そこでは、平和の君が戦争の論理によって拒絶され続け、今日もまた飛び交う武器の轟音が、御子に、この世で宿をとることを妨げています」( ルカ2章7節参照)と、聖地の現状に目を注がれ、「遠く離れた、厳格で力ある神、ご自分の民を優先する神、という世俗的なイメージが私たちの中に根付いていますが、主はそういう方ではありません。全地の住民登録が行われる中で、すべての人のためにお生まれになったのです」と強調された。

 教皇はさらに、「神が私たち人間の状態の中に深く入り込まれたのは、私たちを何よりも大切に思うほど愛されるからです。住民登録が行われている間に歴史を変えた神にとって、『あなたは数字で表される存在ではない、一つの顔を持った存在である。あなたの名前は神の御心に刻まれている』のです」とされた。

 そして、「キリストが私たちを見つめられるのは”数字”ではなく”顔”。それなのに、多くの物事に囲まれ、常に忙しく、他者に無関心な世界の、この狂った競争の中で、誰が神を見つめるでしょう。人々が住民登録に夢中になって、行ったり来たりし、宿をいっぱいにしていた時、イエスの近くにいたのは、マリアとヨセフ 、羊飼いや東方の博士たちの数人でした。私たちも彼らから学び、イエスに心を向け、眼差しを注ぎましょう。彼らは”語る”のではなく、”礼拝”していたのです」と説かれた。

 最後に、「この夜、愛が歴史を変えます。主よ、この世の力とはあまりにも異なる、あなたの愛の力を信じます」と語られた教皇は、「マリアとヨセフ、羊飼いや東方三博士たちと、あなたを囲み、拝みます。あなたによって、あなたと似たものとなり、あなたの御顔の美しさを世に証しできますように」との祈りで説教を締めくくられた。

(編集「カトリック・あい」)

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2023年12月25日