(読者投稿)消極的な日本の教会の取り組みにめげず、”シノドスの道”を歩み続けるために・Q&A

 昨年10月に閉会した世界代表司教会議(シノドス)第十六回通常総会の最終文書(XVI Ordinary Assembly of the Synod of Bishops   2-27 October 2024  「 Final Document for a sinodal church  communioin, participation, mission」) の日本語版が日本の司教団―カトリック中央協議会から6月30日付けで出されました。公式文書の表題にも、本文にもない「シノドス流の教会」というタイトルを勝手につけ、これ自体が誤解を与えかねないおかしな表現ですが。

 そうした遅れを見越した「カトリック・あい」は昨年10月末の最終文書発表から半月後に全文試訳を完了し、無償で掲載していますが、この”公式訳”は、約3年にわたる”シノドスの道”の歩みの成果であるはずの、この文書を発表から半年以上も経って、しかも”シノドスの道”を始められた教皇フランシスコがお亡くなりになったあとになってようやく”公式訳”を出したわけです。

 「カトリック・あい」では昨年11月当初から無料で配信され、すでに閲覧件数は650件に達していますが、半年以上遅れのこの”公式訳”は、何と一冊「800円+税」払わないと入手できません。880円の”入場料”を払わないなら、”シノドスの道”の歩みに参加するな、ということでしょうか。教皇フランシスコが世界のすべての信者の参加を目指して始められた”シノドスの道”なのにおかしな話です。

 無料配布が無駄使いというなら、信徒の献金をもっとほかのことで無駄使いしているのではありませんか。しかも、”公式訳”が今頃になって出されたことも、多くの信徒は知らず、私たちの教区報で紹介されることもありません。日本の多くの教区、高位聖職者の方々が、この3年以上、ほとんど何もしてこなかったことからすれば、当然かもしれません。

 教皇フランシスコは生前に、この最終文書をもとにさらに”シノドスの道”の歩みを進め、2028年秋までに女性の助祭叙階の是非など懸案とした残された課題をさらに煮詰め、世界教会会議を開いて結論を出す方針を示され、教皇レオ14世もこれを引き継がれています。しかし、日本の教会の現状を見ると、司教団は9月に、司教や各教区のシノドス担当者などで、”最終文書を学ぶ会”を約1年遅れで開く予定、というような状態。シノドスやシノダリティに関心を持つ司祭・信徒は、どの教区にもほとんどおらず、「シノドスとは何?」「シノドスは終わったのでは」というのが一般的反応なのではないでしょうか。

 それでも、そうした事態にもめげることなく、”シノドスの道”の重要性を認識して、信徒として教会のあるべき姿や、教会の刷新・改革について分かち合っていくことが、日本の、世界の教会に求められていることには変わりがありません。”シノドスの道”の歩みも、今後も進めていくために、参考として、筆者が考えたQ&Aです。

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Q1 今回のシノドスの目的・特徴は何ですか。

A・従来のシノドスは、「世界代表司教会議」の名称が表すように司教だけが参加する会議でした。しかし、今回は司教だけでなく男女の信徒、奉献生活者、司祭と助祭も参加し、教皇フランシスコが2021年10月にお始めになった”シノドスの道”の歩みの”中間決算”とも言えるものです

・そこには、第二バチカン公会議の司教職の理解があります。司教は神の民とともに、神の民の中にあって奉仕を生きるということです。(本書P161~162参照)神の民の教会は聖職者中心ではないということです。

Q2 「最終文書」の構成はどうなっていますか。

A.最初に「教皇フランシスコの付記」があります。次に「はじめに」があり、その後「シノダリティの神髄、第二部 舟で一緒に、第三部 網を打ちなさい、第四部 豊漁、第五部 わたしたちもあなたを遣わす」、最後に「結び」があります。難しいと感じるかもしれません。しかし、具体的事例を想定して読み進めればわかりやすいと感じてきます。チャレンジしましょう。

Q3 「 シノダリティ」とは何ですか。
・通常は「協働性」と訳されます。
・最終文書第一部の表題は「シノダリティ(共働性)の神髄」です。

・「シノドス」と「シノダリティ」に共通な点は対話・識別・集まること。(最終文書28)
・シノダリティとは、教会をより参加型で宣教的にするため、すべての人とともに歩みキリストの光を輝かせることのできる教会にするための、霊的刷新と構造改革の道です。(最終文書28)
・シノダリティと宣教は緊密に結びついています。(最終文書32)

Q4 「霊における会話」とは何ですか。

A・”シノドスの道”の霊性は聖霊の働きから生まれます。私たちの務めは聖霊の声を聞き取ることです。(最終文書43)
・「霊における会話」は、(”シノドスの道”を歩むための)「一つの手段」であり、限界はあるにせよ、多くの実りをもたらします。(最終文書45)

Q5 教会におけるシノダリティは、社会と関係がありますか。

A・シノダリティは、教会を現代世界における預言の声とすることができます。(最終文書47)

 ・貧しい人の声に耳を傾ける姿勢は、権力の集中によって切り捨てる世界に、真向からの勝負を挑んでいます。(最終文書48)

Q6 今回の最終文書を教区の信者はどのように活用すればよいですか。

A・2021年に今回の”シノドス道”の第一段階である「教区ステージ」が始まりました。その時、各小教区から「意見書」を提出し、それを基に、教区の意見書が作成されました。今回の「最終文書」と照らし合わせる作業が必要です。これは、教区のシノドス担当者の責任です。
・信者としては、教区の現状と課題について識別した上で、そこで浮かび上がった問題について、「最終文書」がどのように捉えているかを見つけて、それについて信者同士で分かち合うことが必要です。

Q7 教区の財政が厳しいと言われています。この問題について、今回のシノドスを踏まえてどのように取り組めばよいでしょうか。

A.現段階で教区財政の情報はほとんど伝わっていません。また教区本部からは何の説明もなされていません。財政問題については「最終文書」が直接触れているわけではありません。
しかし、この問題が生じる背景について最終文書95~102(透明性、説明責任、評価)の中に手がかりがあります。

・透明性とは、聖書に根ざした基本姿勢です。(最終文書96)

・秘密保持の姿勢が、福音に反する行為を正当化したり、不正を隠蔽する口実になることは決して許されません。(最終文書96)
・透明性のある姿勢は教会に欠かせない信頼のとりでです。(最終文書97)・透明性や説明責任が求められるのは、性虐待・財務上の不正行為に限ったことではありません。(最終文書98)
・教会が居心地のよい教会であろうとするなら、説明責任が、あらゆるレベルにおいて当然の慣行とならなければなりません。(最終文書99)

Q8 女性信徒は、教会において大きな役割を果たしているにもかかわらず、軽視されています。女性の地位と役割について「最終文書」はどのように述べていますか。

A.その前に、日本の司教協議会がバチカンのシノドス事務局に提出した日本の回答書では、女性の問題について、ほとんど触れていません。このこと自体が問題です。アジア諸国と比べても女性の役割について問題意識がないことが残念です。

・男も女も、神の民において等しい尊厳を享受しています。(最終文書60)
・聖書は、救いの歴史における、多くの女性の秀でた役割を証言しています。(最終文書60)
・女性が教会の中で指導的役割を担うことを妨げる理由はありません。聖霊によってもたらされるものを、阻止してよいはずはありません。(最終文書60)

・助祭職が女性に開かれるかという問題も未決着のままであり、この件に関しての識別を続けなければなりません。(最終文書60)

Q9 司教は、教区の最高指導者です。司教の役務について、「最終文書」はどのように述べていますか。

A.・司教の役割は、霊のたまものを一致のうちにまとめ上げること

・司教は、特権や、自分一人で果たすべき責任を背負わされるのではありません。(最終文書69)
・司教の選出において神の民がより大きな発言力をもつことです。(最終文書70)
・司教は、司牧訪問の際に、信者たちとともに過ごす時間をもつようにし、彼らの声に耳を傾け、自身の識別につなげることが大切です。(最終文書70)

・透明性や説明責任が求められるのは、司牧者のライフスタイル、司牧計画、宣教方法にも及びます。(最終文書98)

Q10 今回のシノドスは、亡くなられた教皇フランシスコの最後の奉仕となりました。私たちは、何を引き継ぐことになるのでしょうか。

「全体会議 閉会あいさつ」(2024年10月26日)の一部を紹介します。(本書165頁以下参照)
・「主は私たちに、ご自分の福音を、言葉よりまず生き方をもって、証しする者となるよう呼び掛けておられます。」
・「慈しみ深い神の手を縛って宝を独占する『恵みの分配者』のように振る舞うことは許されません。」
・「この戦争の時代において私たちは、平和の証人でなければならず、また異なるものの和合を実際に目に見える形にすることを覚えなければなりません。」
・「シノドス流の教会では、一致を見た言葉に行動が伴わなければなりません」

 主の祝福が皆さんにありますように。互いに祈り合いましょう!

(南の信徒より)

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2025年8月22日