クリスマスと言えば、ヴィクトリア朝時代を代表するイギリスの小説家、チャールズ・ディケンズの「クリスマス・キャロル」(村岡花子訳、新潮文庫など)があまりにも有名。映画では、本作品を忠実に映画化した、ディズニーの「クリスマス・キャロル」も有名で、まだ見たことのない人は是非、この冬の鑑賞をお勧めする。
小説では、クリスマス・イブの夜、ケチケチの守銭奴スクルージのもとに、亡くなったスクルージの同僚、鎖を引きずったマーレイの亡霊が現れ、「このままでは地獄に落ちるぞ」と脅す。「おまえのもとに、3日3晩3人の亡霊が現れ、過去、現在、未来のおまえの姿を案内する」と告げる。
マーレイの亡霊が現れる最初の出だしの言葉が面白い。Old Marley was as dead as a door-nail(老人マーレイはドア釘のように死んでいた)。Be as dead as a door-nailは、有名な英語の言い回しで「完全に死んでいる」を表している。つまり、スクルージの前に現れたマーレイは、生きてはいない、亡霊であることを、ディケンズは有名な英語の言い回しで語ったのである。
この小説は、ディケンズが困窮している時期に起死回生を狙って執筆したもので、執筆中度々興奮しては、野外に出て散歩し、泣いたり笑ったりした、という。出版されるや大評判となり、増刷に次ぐ増刷で、ディケンズは困窮から抜け出すことができた。同じような例では、同じ英国の作家、J・K・ローリングが、子連れのシングルマザーとなり、生活保護を受けながら執筆した「ハリー・ポッター」シリーズがある。
「クリスマス・キャロル」は、英国発の産業革命のただ中、貧富の差が大きくなり、追い詰められた労働者の生活実態を活写している。特に涙を誘うのは、身体が不自由な子供の実態である。寄付をしたくなる、クリスマス必読、必見の小説、映画である。
(横浜教区信徒 森川海守=もりかわうみまもる)(HP:https://mori27.com X:https://x.com/UMImamoruken)