今回紹介したいのは「イエス・キリストの履歴」(岩島忠彦著、オリエンス宗教研究所、2011年4月15日初版)だ。
カトリック誌「福音宣教」の2009年から2年間、「イエスが父と読んだ神」との題で連載された原稿に加筆修正されたものが本書で、著者によれば「信仰者として、修道者として、司祭として、そして長年神学に携わってきた者として、自分の信仰と知識を総動員して、今だから語れることを、精一杯語ろうと心に決めて」執筆された。著者は、「カトリック、プロテスタントを問わず、できるだけ多くの信仰者が本書を読んでくださることを願っている」
本書は、教会の歩みにおける神学と教理、とくにキリストと彼の父である神についての教理確定の道筋について扱っており、自分が信じているカトリックの信仰について、あやふやな知識を、確かな信仰へと導いてくれる。それぞれの章が興味深いが、特に、三位一体については、既にキリスト復活後から論議され、その論議の歴史が、掘り下げて詳しく記述されている。
イエス・キリストが、復活後にどのようにして神となっていったのか。既にキリストの復活を契機としてイエスが神の子であるという信仰が確定し、神の子キリストが、唯一の神と並んで神的礼拝の対象とされていった歴史が記述されている。325年に開催されたニカイア公会議では、「神の子キリストは『造られずして生まれ、父と同一本質』のものであるとされ、「子は父である神とその神的本質を共有する存在である」ということが宣言された。
「キリストは、私たち人間に向けられた神の御顔なのだ」という一文には、身震いする程である。「父と子と聖霊」の関係が良く理解できた。本書では、神の人類に対する壮大な計画が、十分納得いくように説明されており、死後の世界の天国と煉獄、地獄についての説明も十分納得がいく。信仰者が読むべき必読の書と言えよう。