(2021.3.19 カトリック・あい)
軍部のクーデター、民主指導者たちの拘束に抗議する国民に多くの死傷者が出るなど深刻な事態となっているミャンマーには、国際社会から強い懸念が示され、教皇フランシスコも暴力の停止、対話による民主政治の回復を重ねて訴えられているが、韓国の司教団がこのほど開いた定例総会での協議を経て、現状に深い懸念を示すとともに、軍の支配終結と民主政治回復を切望するミャンマー国民に強い連帯を伝える声明を発表した。
だが、いつもはミャンマーの教会への気配りを言っている日本の司教団は、沈黙を続けている。韓国の司教団と同じように、今月初めに定例総会を開いたはずだが、総会の結果はもとより、この問題が取り上げられたかどうかも、今に至るまで定かでない。もちろん、”声明”も出ていない。
司教協議会の高見会長 は12日にカテケージス「いのちを守る聖ヨセフ」を中央協議会のホームページに載せているが、現実の世界で起きている問題には全く触れていない。会長が教区長を務める長崎教区では、昨年、司祭による信徒女性への性的虐待、教区資金の不明朗な運用による多額の損失発生という問題が相次いで表面化、その処理さえうまく進んでいるとは言い難い状況で、とても海外に目を向ける余裕がない、ということだろうか。
世界では、香港、新疆ウイグル自治区、チベット自治区などで信教の自由を含む人権が危機に瀕し、さらに、ミャンマーでも民主主義の回復を求める人々が多数の死傷者を出すなど、苦境にある。「いのち」を口だけで叫び、自分の国政府には、信徒の間では異論のある、特定の政党と連帯するような政治的な意思表明を繰り返しているにもかかわらず、目の前で「命」が危険に追いやられている人々に、なぜ、声を上げることができないのだろうか。
韓国の司教団の声明には、昨年10月に教皇が出された回勅「Fratelli tutti(兄弟の皆さん)」(「カトリック・あい」ではすでに昨年11月中に日本語訳を完成させ、掲載済みだ)も引用されているが、日本の司教団=中央協議会=はこれまで出したメッセージや文書に引用はもちろん、この回勅が出たことさえも、日本の信徒に伝えていない。回勅には、現在の世界、社会の問題が的確にとらえ、教会として、聖職者として、信徒として対応すべき指針が盛り込まれているにもかかわらずだ。
日本の司教団は、コロナ禍であいかわらず、連帯して対応する体制ができていないようだが、コロナ禍の中でアジアで起きているこのような危機的な状況に、いつまで目をつぶっているのだろうか。このような姿勢を続けていては、日本の教会は、日本社会から浮き上がるばかりか、まともな信徒たちを失うことにさえなりかねない。そうした現状を理解し、努力されている司教もいるが、まだ限られている。日本全体の司教たちに、口だけでない、誠実な対応を期待する。
(2021.3.18 Vatican News Robin Gomes)
韓国のカトリック司教協議会は8日から12日までソウルで開いた春の定期総会で、ミャンマー問題について対応を協議し、同国の軍部が起こしたクーデター以後、これに抗議する人々に多くの死傷者が出ていることに深い懸念を表明するとともに、軍による支配の終結と民主主義の回復を願うミャンマー国民との連帯を誓う声明をまとめ、18日までに発表した。
声明は、「ミャンマーで、多くの人々が、自由、民主主義、平和、そして誰も奪ったり踏みつけたりすることのできない尊厳のある暮らしを求めて声を上げたという理由だけで、血を流し、命を奪われている」ことに深い悲しみと同情を示すとともに、「この四旬節に十字架の神秘と主の復活について深く瞑想する中で、韓国のカトリック教会は、十字架の道を歩いておられるミャンマーの兄弟姉妹と、言葉では言い表せない嘆きを分かち合いながら、友愛の連帯を表明します」と言明した。
*シスターの勇気に感銘、1980年代の韓国を想起
また声明は、先月28日にカチン州のミッチーナで一人、治安部隊の前で跪き、祈り、彼らを退散させた聖フランシスコ・ザビエル宣教会のシスター、ローズ・ラサン・ヌ・ソーンの勇気に感銘を受けた、と述べ、教皇フランシスコの回勅「Fratelli tutti(兄弟の皆さん)」を引用して、すべての暴力が「私たちの世界を、これまでよりももっと悪化させている」と訴えた。
そして、韓国の人々も1980年代に、全斗煥の軍事独裁政権に対して、現在のミャンマーと同様の経験をしたことを思い起こし、「ミャンマー国民すべてがが切望する民主主義に基づく国家が、心を開いた対話を通じて確立されること」を祈った。
*ソウル大司教もボー枢機卿に激励の書簡と緊急援助
また、司教協議会の声明とは別に、ソウル大司教区長のアンドリュー・ヨム・スジョン枢機卿も、同大司教区の信徒たちがミャンマーの教会を強く思っていることを強調し、「軍が暴力を使って人々を抑圧することは、決して受け入れられない」と語り、ミャンマー教会の指導者、チャールズ・ボー枢機卿に宛てた書簡で、「民主主義を切望するミャンマーの人々を強く支持し、皆さんがそれを手に入れることを望んでいます… ソウル大司教区のすべての聖職者、修道者、信徒たちが、お国で真の民主主義が回復することを心から祈っています」と励ました。また、ソウル大司教区の親密さの証として、5万ドルを緊急援助することとし、ミャンマーのバチカン大使を通じて、ボー枢機卿に届けることを明らかにした。