・前東京大司教が、バチカン改革で”大胆批判”の公開状(ucanews)

(2019.9.25 カトリック・あい)

 岡田武夫・前東京大司教が、バチカン改革に関する私見を述べた公開状をバチカンあてに出した。

 アジアに拠点を置くカトリック系インターネットメディアの ucanews.comが24日付けで明らかにしたところによると、前大司教は ucanews.comに対して、自分は思い切って、以前、教皇フランシスコにお送りしたメッセージを若干改定した内容を思い切って公けにすることにした、と語った、という。

 公開状は先月23日に発出したもので、強調したポイントは、文化受容、非中央集権化、精神的浄化の三つ。典礼に絞った文化受容について、「新規版は日本の司教協議会に対して認められていたローマ典礼を使用しないケースを破棄することになる」と不満を述べ、日本の司教団は何年か前に、バチカンの典礼秘跡省に新たな選択肢の案を送ったが、「現在に至るまで回答をもらっていない」と語った。

 さらに、教皇庁の”中央集権化”は、教会から世界中の人々の才能を奪っている、と指摘し、「私は、聖座が各国の司教協議会に権限の分散化を試みるように提案する。普遍教会がその責任を現地の諸教会に分けることは、極めて望ましいこと」と強調している。その理由として「世界の人口の半分がアジアにあり、聖座は、アジア諸国の人的資源を活用するべきです」と説明。

 さらに、日本社会には「純粋は霊的なキリスト教的価値観、ローマの普遍教会の核心にあると期待する価値観」が不足しているが、教皇庁は、「貧しく、謙遜で、信仰深く、聖なる、主キリストの僕たちを通して、私たちに合図」を送る代わりに、「権力闘争かゲームの場であるかのような悪い印象」を与えている、と批判したうえで、教皇フランシスコが主導することで、聖座が「その名が示すように聖なるものとなる」ことに希望を示している。そして、この公開状に対する”反応”を期待している、とucanews.comに語った。

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(カトリック・あい解説)

 どうして今になって、この様なことをされたのか、若干理解に苦しむ。これだけ問題意識をお持ちであれば、現職にある時に、なぜ、日本の司教団の意見をまとめ上げ、強い働きかけを、バチカンになさらなかったのだろうか。

 日本の教会がここ20年以上にわたって、活力を失い、まとまりを司教団を含めて無くしてしまったことへの反省の言葉をまず聞かせてもらいたい、そのうえでの今回の発言であれば理解できるだろう。今求められるのは、バチカン改革に苦闘を続けられている教皇フランシスコを前向きに支えることではないか。(南條俊二)

 

 

 

 

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2019年9月25日