A Rohingya refugee walks at a refugee camp in Cox’s Bazar
(2024.2.10 Vatican News Francesca Merlo)
ミャンマーで少数民族への弾圧が始まって7年が経ち、バングラデシュの国境、コックスバザールでの暮らしを余儀なくされ続けるロヒンギャ難民たちは、一段と悲惨な状況に置かれている。故郷へ帰る見通しはいまだ立っていない。
コックスバザールの世界最大級の難民キャンプには、約100万人のロヒンギャ難民が住んでいる。
*武装勢力が入り込み、治安も悪化を続けている
国際援助組織Save the Childrenのアジア地域担当、スルタナ・ベガム氏は「残念ながら、ロヒンギャ難民について語る人はもう誰もいない状態になっている。キャンプ内外の状況はますます悪化しているにもかかわらず、です。 生活環境は、まったく劣悪。 治安は最悪で、武装勢力が多数入り込んでおり、暴力行為が増加えています」とVatican Newsに語った。
このような説明でも分かる通り、この難民キャンプが 子供を育てる場所ではないことは明らかだ。だが、 コックスバザールの難民の半数以上は子供であり、ロヒンギャ危機は、まさに「子どもの危機」なのだ。
ロヒンギャ は、主にミャンマーのラカイン州に住むイスラム教徒の少数民族だ。2017年の「ロヒンギャ虐殺」以前は、推定140万人が同州に住んでいた が、その半数強、74万人以上がバングラデシュ側に避難を余儀なくされている。
教皇フランシスコは、先週7日の水曜恒例一般謁見で、ロヒンギャのために祈りを捧げ、「世界がロヒンギャ難民を忘れないように」と訴えられた。 しかし、現実は「ロヒンギャ危機は『忘れられた危機』になっている」とベガム氏は言う。「 7年が経ちましたが、移り気なメディアの関心は 他のテーマに移ってしまった」。
*キャンプの難民の半数が子どもたち
現在、コックスバザールのキャンプには約50万人のロヒンギャの子どもたちが住んでおり、ベガム氏によると、その多くは「うつ病や不安症の兆候を示している」という。
「キャンプに長い間、閉じ込められ、ほとんど移動することができないのです。特に年長の子供たちは、仕事にも学校にも行けないことで、将来への希望を失いつつあります」。 「私たちは、遊んだり、子どもらしくなったりするのを助ける場を持ち、心理社会的なサポートプログラムもありますが、それだけで十分ではありません」。
*劣悪な環境に、災害が重なっている
こうしたことに加えて、バングラデシュが世界で最も災害の起こりやすい地域の一つであることを、ベガム氏は指摘する。 キャンプはかつて森だった場所に作らているため、 「雨が降ると、丘の上に竹などで建てられた小屋は、流される可能性があります。 洪水が起きます。そして、 すでに悲惨な衛生状態をさらに悪化させます。大勢が住む キャンプでは、病気が大きな問題で、子供たちや家族はデング熱などの多くの病気に非常に敏感です」。 加えて、多くの子供たちは極度の栄養失調に陥っている。
彼らは故郷に戻ることもできず、長期にとどまっているコックスバザールでの生活は絶望的だ。 難民たちは無国籍であり、「パスポートを持っておらず、ほとんどの政府が認めていない地域で避難生活を送っていますが、このことは、 難民には支援を提供する法的義務が関係国にないことを意味します」。
*暴力、児童労働、人身売買、児童婚のリスクにさらされている
実際、彼らはとても弱い立場にある。「暴力、児童労働、人身売買、児童婚のリスクにさらされている。おまけに、 移民として扱われ、移民法違反で拘留されたり、国外追放されたりすることもあります」とベガム氏は言う。
難民たちは、ほぼ完全に人道援助に依存して生活せざるを得ないのだが、 昨年、食糧援助が削減された後、「絶望したロヒンギャ難民は、『生き残るため』という理由だけで、大量の少女を結婚させたり、少年を働かせたりすることに頼ろうとしている。 特にバングラデシュからインドネシアやマレーシアなどの国へ、危険な船旅に出る者も増えている。 より良い人生を導き、働くことを望み、場合によっては家族と再会することを望み、命を危険にさらすのです」。
昨年だけで、そうした人々約600人が死亡している。 「船に乗るということは、人身売買業者の言いなりになり、虐待や搾取の危険にさらされることを意味します。 船に詰め込まれていることが多く、密航業者の手によって身体的虐待を受けることもよくあります」と言う。
ベガム氏が生き残った14歳の少年から聞いた話によると、「 何百人もの難民を乗せた船が上陸地点に着く数日前に食料と水が尽きそうになって ていたにもかかわらず、航行を続け、現地の当局が 水と食料の補給のために一時的に上陸を許可された際、難民たちは接岸前に下船させられ、海岸まで歩かされた。
周辺国は、これらの人々を救い、支援し、思いやりを示さなければならない。しかし、 国際社会 は、ロヒンギャ難民の状況について、もはや理解しようとしていない。 危機の解決のカギはミャンマー軍事政権が握っているが、周辺国など国際社会はさまざまな分野で重要な役割を果たすことができるはずだ。 バングラデシュはロヒンギャ難民を受け入れているが、バングラデシュそのものが貧しい国であり、支援には限界がある。他の国々も責任を分け合い、人道支援を通じてバングラデシュを助ける必要がある。
*「故郷に戻りたい」にどう応えるのか
難民キャンプにいる人々は故郷に戻ることを希望しているが、そのためには、安全に暮らすための基本的な権利、市民権が保障され、生き残るためのサービスなどを利用できることが必要だ。だが、今の ミャンマーの政治・社会状況は、とてもそのような条件を満たせない。「条件が整うまで、 弱い立場にある彼らを支えるか役割は、国際社会にかかっている。国籍もなく、ビザもなく、難民として認められなければ、彼らは非常に困難な状況に置かれ続けるしかないのです」とベガム氏は訴える。
*教皇フランシスコの祈りが届くか
教皇フランシスコは、これまで何度もロヒンギャのために祈っており、7日の水曜恒例一般謁見でも祈られた。「教皇の ような方がロヒンギャ難民の声を代弁してくださるのは、非常に重要。国際社会がロヒンギャを忘れていないことを、難民たちに知ってもらうだけでなく、何よりも、ロヒンギャの状況に、国際的な関心を再び引き付ける必要があるからです。 世界で最も弱い立場にある集団の一つである彼らには、声を上げる権利があり、それを受けて、世界の人々は世界の指導者たちに援助を与え、政治的解決策を見つけるよう圧力をかける必要がある。