・当局の弾圧強化の中でカトリック”地下教会”の司祭、一般信徒は新教皇の対応を不安と期待で見ているー温州教区の例(Bitter Winter)

(2025.7.11 Bitter Winter  Zeng Liqin)

 バチカンとの司教任命に関する暫定合意のもとで、中国政府・共産党の統制下にあるカトリックの組織、中国天主愛国協会への参加を拒否する司祭、修道女、一般信徒への弾圧を続け、強化している。Conscientious objector Bishop Shao Zhumin. From X.

(写真右は、”良心的兵役拒否者”の邵周民司教=Xより)

 教皇レオ14世は、2018年の司教任命に関するバチカン・中国暫定合意の今後の扱いについて検討していると伝えられている。

 その一方で、北京当局は暫定合意に反対する”カトリック”良心的兵役拒否者”への取り締まりを強化している。彼らは教皇のみに忠誠を誓う”地下教会”に属しており、2018年のバチカンとの暫定合意により、理論的には、党が統制する中国天主愛国協会に参加することで”消滅”するはずだった。

 中国南東部の浙江、特に温州教区では、地下教会に対する弾圧が憂慮すべき規模に達している。2025年春に始まった規制強化は聖職者と一般信徒を強制的に天主愛国協会に従属させることを目的とし、司祭、修道女、一般信徒の逮捕、礼拝所の閉鎖などが現地の当局の手で組織的に行われている。

 その直接的なきっかけは、2024年に地下教会の聖職者と一般信徒のグループが海外に巡礼に出かけたことだった。彼らの帰国後、当局は「不法移住」という根拠のない非難を開始し、彼らが「観光ビザを使って宗教活動を行った」と決めつけた。この告発は単なるでっち上げで、”良心的兵役拒否”の重要な提唱者である邵周民・司教に、天主愛国協会に従うよう強要するためのものだと思われる。

 ”地下教会”の現実は厳しい。邵・司教は悲惨な最後通牒に直面している。天主愛国協会に従えば、拘束された聖職者は解放されるが、抵抗すれば、正式な告発を受ける危険がある。St. Paul’s Catholic cathedral in Wenzhou. Credits.

(写真左は、温州の聖パウロ教会)

 2025年4月以来、宗教局や地元警察など6つの政府部門が画策した家宅捜索が温州の教会を恐怖に陥れている。多くの聖職者が強制退去させられ、聖堂は閉鎖され、信徒は、「愛する人に忠誠心を変えるよう説得しなければ職を失う」と脅されている。その結果は驚くべきものだ。これまでに”地下教会”の礼拝所の90%が閉鎖された。

 閉鎖を免れるために、やむなく天主愛国協会に属する司祭を受け入れている地域もあるが、かなりの数の地域が、そういった司祭からの聖体拝領を断固拒否している。信者たちはやる気を失い、混乱し、恐怖を感じている。邵・司教の度重なる逮捕に関するニュースをネットで共有するだけでも、取り調べを含む不穏な反響を招いている。

 このような混乱の中、中国の状況について教皇レオ14世がどのような対応をするのか、不安を持ち、あるいは期待する司祭もいる。

ある司祭はBitter Winterにこう語っている。 「沈黙は選択肢ではない。ローマと教会への揺るぎない忠誠と、教皇への忠誠よりも中国共産党への忠誠を優先する司教団への服従を拒否するために、私たちは苦しみに耐えているのです」。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

*Bitter Winter(https://jp.bitterwinter.org )は、中国における信教の自由 と人権 について報道するオンライン・メディアとして2018年5月に創刊。イタリアのトリノを拠点とする新興宗教研究センター(CESNUR)が、毎日4か国語でニュースを発信中。世界各国の研究者、ジャーナリスト、人権活動家が連携し、中国における、あらゆる宗教に対する迫害に関するニュース、公的文書、証言を公表し、弱者の声を伝えている。中国全土の数百人の記者ネットワークにより生の声を届け, 中国の現状や、宗教の状況を毎日報告しており、多くの場合、他では目にしないような写真や動画も送信している。中国で迫害を受けている宗教的マイノリティや宗教団体から直接報告を受けることもある。編集長のマッシモ・イントロヴィーニャ(Massimo Introvigne)は教皇庁立グレゴリアン大学で学んだ宗教研究で著名な学者。ー「カトリック・あい」はBitterWinterの承認を受けて記事を転載します。
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2025年7月13日