・国連の人権関係の専門家たちが中国におけるウイグル族、チベット族その他の少数民族への強制労働に懸念表明

 (2026.1.28 カトリック・あい)

 国連人権高等弁務官事務所がホームページで明らかにしたところによると、 国連の人権などに関する専門家たちが22日付けで声明を発表。中国の新疆ウイグル自治区及びその他の地域におけるウイグル族、カザフ族、キルギス族の少数民族グループならびにチベット人に対する強制労働の持続的な申し立てについて深い懸念を表明した。同ホームページによる内容は次の通り。

 声明で専門家たちは「中国の複数省にわたり、少数民族を対象とした国家による強制労働の申し立てが、持続的なパターンとして存在する」とし、「多くの事例において、強制的な要素が極めて深刻であり、人道に対する罪としての強制移送及び/または奴隷状態に相当する可能性がある」と指摘した。

 専門家たちによれば、中国における強制労働は、国家が義務付けた「労働移転による貧困削減」プログラムを通じて可能、とされている。このプログラムは、ウイグル族及びその他の少数民族を新疆及びその他の地域での労働に強制的に従事させるものだ。彼らは体系的な監視・監視・搾取に晒され、処罰や恣意的拘禁への恐怖が蔓延しているため、仕事を拒否したり変更したりする選択肢がないとされる。新疆の5カ年計画(2021~2025年)では1375万件の労働移転を想定しているが、実際の数は過去最高に達している。

 専門家によれば、チベット人も「訓練・労働移転行動計画」といった類似の制度を通じて強制労働を強いられており、「農村余剰労働力」の体系的な訓練と移転が求められている。「これらの政策は軍事式職業訓練といった強制的手法を正当化するものである。2024年に労働移転の影響を受けるチベット人の数は約65万人に達すると推定される。

 チベット人はまた、「全村移転」プログラムを通じて強制的に移住させられている、と報告されている。このプログラムでは、繰り返し家庭訪問を行う、暗に処罰をほのめかす、批判を禁止する、あるいは生活に不可欠なサービスを停止すると脅すなど、同意を強制的に作り出す手段が用いられている。

 「2000年から2025年にかけて、”遊牧民の定住化”を目的とした家屋再建を義務付ける政府プログラムにより、約336万人のチベット人が影響を受けた。公式統計によれば、村単位移転または個別世帯移転を通じて約93万人の農村チベット人が移住させられている」と専門家たちは述べた。

 「労働移転は、貧困対策という名目でウイグル族やその他の少数民族、チベット人の文化的アイデンティティを強制的に再構築する政府政策の一環だ」と警告している。

 また声明は、「労働と土地の移転は、彼らを賃金労働を余儀なくされる場所へ強制移住させることで、農業や遊牧を基盤とする伝統的な生業を強制的に変えてしまう」とし、「結果として、彼らの言語、選択した共同体、生活様式、そして文化的・宗教的慣行が侵食され、取り返しのつかない損害と損失をもたらしている」と批判した。

 専門家たちはまた、強制労働によって生産された商品が第三国を経由して間接的にグローバルサプライチェーンに流入することに対し深刻な懸念を表明し、現在行われているサプライチェーン規制における対象を絞った中国に対する貿易制限や人権デューデリジェンス(企業が自社の事業やサプライチェーン―取引先・原材料調達先など―において、強制労働、児童労働、ハラスメントなどの人権侵害リスクを特定・評価し、その負の影響を防止・軽減、是正し、結果を外部に情報開示する一連の継続的プロセス)の全体的な有効性について広範な疑問を提起。

 そのうえで、専門家たちは、中国で事業を展開し調達を行っている投資家や企業に対し、国連ビジネスと人権に関する指導原則(2011年に国連人権理事会で全会一致で支持された企業活動における人権尊重の国際的規範。「人権を保護する国家の義務」「人権を尊重する企業の責任」「救済へのアクセス」の3つの柱から成る)に沿った人権デュー・ディリジェン実施し、サプライチェーン関連のリスクを考慮するよう要請。「企業は自らの事業活動とバリューチェーンが強制労働によって汚されていないことを保証しなければならない」とし、独立した国連人権メカニズムの中国への自由なアクセスを改めて求めている。

 今回の声明をまとめた専門家は小保方 智也(現代の奴隷制(その原因と結果を含む)に関する特別報告者)、アレクサンドラ・ザンサキ( 文化的権利分野の特別報告者)、アシュウィニ・K・P( 現代の人種差別、人種的差別、外国人嫌悪及び関連する不寛容に関する特別報告者)、シボーン・マラリー( 人身取引(特に女性及び児童)に関する特別報告者)、ビジネスと人権に関する作業部会のダミローラ・オラウィ議長、ロバート・マッコーコデール副議)、部会メンバーのフェルナンダ・ホーペンハイム、ライラ・ヤクレーヴィチェンエ、ピチャモン・ヨープアントン。

 特別報告者/独立専門家/作業部会は、国連人権理事会によって任命された独立した人権専門家。これらの専門家は総称して、人権理事会の特別手続の専門家と呼ばれる。特別手続の専門家はボランティアとして活動しており、国連職員ではなく、その活動に対して給与は支給されない。国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)が特別手続の事務局を務めるが、専門家は個人資格で活動し、OHCHRや国連を含むいかなる政府や組織からも独立している。表明される見解や意見は、あくまで発表者個人のものであり、必ずしも国連やOHCHRの見解を代表するものではない。

 特別手続、条約機関、普遍的定期的審査(UPR)を含む国連人権メカニズムによる国別観察・勧告は、ユニバーサル・ヒューマン・ライツ・インデックスで閲覧可能である。https://uhri.ohchr.org/en/

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2026年1月28日