(2025.12.4 Bitter Winter

(写真右:中華人民共和国憲法。Xより)
中国における「信仰の自由」の二面性:憲法上の約束と現実の迫害
中国では、宗教の自由はしばしば調和のとれた理想として描かれる。中国憲法第36条は明示的に「国民は宗教信仰の自由を有する」と規定している。
しかしこの条項の直後に「国家は正常な宗教活動を保護する」との但し書きが続く。「正常」という言葉は政府が振るう両刃の剣となり、何が合法で何が違法かを恣意的に定義する手段となっている。
近年では、家庭教会から「邪教」とレッテルを貼られた集団に至るまで、純粋な信仰を追求する無数の信者が監視、逮捕、投獄に直面している。これは単なる信仰の違いの問題ではなく、権力による魂の操作である。
歴史を振り返ると、中国の宗教情勢は1949年以降劇的な変化を遂げた。海外の宣教団体や現地のキリスト教組織によって設立されたキリスト教団体は、従来これらの団体や現地信者によって自律的に運営されていた。
しかしこれらは国際的つながりを強制的に断ち切られ、国が設立した中国キリスト教協会と中国キリスト教愛国運動委員会の統一管理下に置かれた。この「三自」運動に属さない教会は違法とされ、文化大革命期には完全に禁止された。教会は破壊または転用され、信徒は地下に潜ることを余儀なくされた。
改革開放後、宗教活動は徐々に許可されるようになったが、家庭教会は法的なグレーゾーンに留まり、頻繁に弾圧に直面した。プロテスタント、仏教、道教、イスラム教、カトリックの公式に認められた五つの宗教は、それぞれ対応する国家管理の協会に加盟し、国家の監督下に置かれなければならない。
登録されていない集会、例えば賃貸アパートでの礼拝や祈り・聖書勉強会は、最悪の場合、解散させられるだけでなく、罰金、拘留、さらには投獄のリスクがある。
2018年の「宗教事務条例」改正により規制はさらに強化され、全ての宗教活動は当局が認可した場所に限定され、学校・地域・オンラインプラットフォームでの
普及が禁止された。多くの家庭教会のウェイボーアカウント、WeChatグループ、SNSアカウントが閉鎖され、街頭伝道や公園での説教も禁止されている。より政治的な意味合いを持つのが「宗教の中国化」政策だ。これは信仰を社会主義的価値観に結びつけるもので、教会は国旗を掲揚し、革命歌を歌い、指導者の肖像を掲示し、牧師には説教で公式演説を引用することさえ要求される。
(写真下:北京にある三自教会系の広済キリスト教会)
山東省、浙江省、安徽省などでは数百の教会の十字架が撤去された。当局はこれを「違法建築物の是正」と呼んだが、信者たちは信仰の強制的な再教育と認識している。
特に懸念されるのは、政府が「邪教」を定義している点だ。これは「邪悪なカルト」と訳されることが多いが、実際には「異端の教えを広める組織」を意味する。
中国刑法第300条によれば、組織化や「邪教を利用して法執行を妨害する」行為は刑事罰の対象となる。しかし「邪教」の基準は公安・宗教管理当局の裁量で曖昧に解釈され、「法執行妨害」とは「邪教」活動へのあらゆる関与を指す。
典型的には、未登録団体、「歪曲された」教義、緊密な組織構造、あるいは「公共秩序の撹乱」の疑いが該当する。2025年現在、公安部門は活動中の邪教団体を公にリスト化しており、法輪功、全能神教会、叫びの教会(地方教会)などが含まれる。
これらの団体は海外では合法的に登録されている場合が多い。例えば地方教会は北米と台湾に公式の支部を持つが、中国国内では「脅威」と見なされる。信者は聖書を読む集まりに参加しただけで、取り調べ、自白の強要、逮捕、判決に直面する可能性がある。全能神教会は米国や欧州で自由に資料や映像を出版しているが、中国の信者は頻繁に逮捕されている。
最近の出来事は迫害の組織性をさらに浮き彫りにしている。2025年10月9日、当局は北京シオン教会を標的とした一斉摘発を実施し、北京・上海・山東など各地で信者を逮捕した。シオン教会創設者の金明里牧師と協力者は広西チワン族自治区北海市で拘束され、教会設備は没収された。本稿執筆時点で約23名の信徒が拘束されたままである。
2007年に設立されたシオン教会は、政治的干渉を受けずに信者が自由に神を礼拝できる環境づくりに尽力してきた。2018年、北京当局は突然シオン教会を閉鎖し、財産を没収、数百人の信者を脅迫と迫害に晒した。金牧師も7年間中国出国を禁止され、米国にいる家族と引き離された。
それにもかかわらず、同教会は2018年の1,500人の会員から、現在では10,000人以上に成長し、40都市に100以上の集会場所を持つまでになった。この作戦は、China Aid協会の創設者であるボブ・フー牧師によって、「40年間における、中国の都市部の独立家庭教会に対する最大の計画的迫害」と評されている。
国際社会はこうした行動を強く非難している。マルコ・ルビオ米国務長官は指導者の釈放と宗教の自由の保証を求め、マイク・ペンス前副大統領も公に支持を表明した。対照的に、米国憲法は宗教の自由を保護しており、信者は監視や逮捕を恐れる必要がない。しかし、中国では信仰がリスクとなっている。党に従わないと自由を奪われる可能性があるのだ。
我々は、こうした沈黙の犠牲者たちに世界が注目するよう強く求める。宗教の自由は、紙の上の空虚な約束ではなく、信者が安全に行使できる権利でなければならない。こうした迫害を止めるには、継続的な情報公開によってのみ可能となる。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
