・中国の1200万人のカトリック信者は教皇レオ14世の対応を注視(La Croix)

(2025.5.14 La Croix   Dorian Malovic)

 

 

*「新教皇のことはよく知らない…」

 

 今、中国の1200万人のカトリック信者は、新教皇レオ14世が北京との関係をどのように扱うかを注視している。

 「新しい教皇、レオ14世の選出に感激し、喜んでいます」-中国の微信(WeChat)アカウントで教皇選出のライブ中継を見た中国のある司祭は、「しかし、正直言って、私は彼のことをよく知らないんです。1990年代にオハイオ州で神学を学んだ時、彼の名前を聞いたことはあるはずなんですが…」と語った。

 そして、「自分にとって新教皇が米国人かどうかは関心がない。読んだり聞いたりしたところでは、彼は謙虚で、オープンで、深い精神性を持っているようです。それは普遍的な教会にとっても、中国のカトリック教徒にとっても良いことだと思います」と語ったが、80年近く国交を断絶している北京との今後の関係について、早々に結論を出さないように新教皇に希望した。

*中国外務省公式発表は「建設的な対話」希望だが…

 

 例によって、中国政府が何らかの公式発表をするまでに約1日を要した。「新教皇の指導の下、バチカンが中国と建設的な対話を続け、相互の関心事である国際問題について綿密な意思疎通を行うことを望む」と、外交部の林建報道官は5月9日に述べた。これは中国外務省の標準的で慎重な声明だが、外務省はバチカン問題を扱っていない。(「カトリック・あい」注・中国国内の宗教活動は共産党統一戦線工作部が統括しており、バチカンとの関係も実権はそこにある)。バチカン問題に関する”機密ファイル”は、習近平・国家主席が直接、監督している。

 中国全土のいくつかの教区で暗号化されたメッセージ・アプリを介して連絡を取ったところ、あるカトリック信者は、個人的な経歴や教区の経験によって期待は異なるものの、新教皇レオ14世についてほとんど知らなかったことを認めた。北京に住む女性のカトリック信徒は、新教皇決定について 「とてもうれしいし、満足している」というだけで、詳しい言及を避けた。

 中国共産党の圧力とバチカンの姿勢の両方をうまく操ることに長けた ”進歩的 ”な教区で30年間奉仕してきた、リ神父(仮名)にとって、重要なのはレオ14世の開放性だ。「教皇がオープンマインドであり続ける限り、ローマと北京の関係は改善されると信じている」。

*中国共産党の圧力に妥協しないよう望む声も

 

 また、新教皇に、より確固とした姿勢を示すよう期待する声もある。上海の著名なカトリック家系の信徒で、5世代にわたって信仰を持ち続ける知識人のシー・ウー(仮名)は、新教皇に「ヨハネ・パウロ2世のように、十字架と神への揺るぎない忠誠を守ってもらいたい」と熱く語った。

 現在70代のシー・ウーは、「政治的弾圧を恐れず、自分の考えを自由に話すことができる」と感じており、「教皇が北京からの圧力に屈したり、共産党に対して譲歩や妥協をしないことを望んでいる」と述べ、司教任命に関するバチカンと中国当局の暫定合意については、「さまざまな教会筋によると、教皇は中国における司教指名の最終的な権限を保持している」との確信を強調した。

 この暫定合意は、党に服従せず、教皇のみに忠誠を誓う”地下教会”の司教に関わるいくつかのケースなどの解決に役立っているようにみえるが、中国の1200万人のカトリック信者の間では依然として不安が続いている。「日常生活では多少の柔軟性が認められていても、私たちは常に、共産党と当局の統制と監視下に置かれて続けている」と、中国北部の教区の修道女で海外留学経験もあるシスター・マリー(仮名)は語った。

*対中政策のキーパーソンの人事を新教皇はどうする?

 

 中国共産党の管理・統制下にある中国天主愛国協会と司教協議会は、教皇レオ14世に対して非常に慎重な祝賀メッセージを発表した。だが、少なくないカトリック信者たちは、新教皇が引き続き自分たちの不安定な状況を真剣に受け止め、政治的に微妙な環境の中で信仰深く生きる方法について明確な指針を示してくれることを望んでいる。

 チャン(仮名)によれば、自分たち中国のカトリック信者の課題は「キリストとバチカンに忠実でありながら、共産党の要求に屈することなく、善良な中国市民であり続けること」だという。それは、中国のカトリック信者が何十年にもわたり続けてきた”バランス感覚”の所作である。

 教皇レオ14世のもとで、バチカンと中国の関係がどのように進んでていくかを判断するのは、まだ時期尚早だ。チャンは、「レオ14世は中国の専門家ではない。レオ14世はバチカンの司教省長官だったが、実際に中国での司教任命を担当したのは国務長官のパロリン枢機卿だった。つまり、バチカンの対中国政策のキーパーソンだったのだ」と指摘する。

 パロリン枢機卿が国務長官に留任するか否かが、バチカンと中国の関係の次のステップを決めるかもしれない。2023年に故教皇フランシスコによって枢機卿に任命されたイエズス会士のステファン・チョウ枢機卿が、ローマと北京の仲介役として今後重要な役割を果たす可能性がある、と多くの香港の関係者は考えている。「対中政策について、レオ14世がどのような方向に進みたいのか、これからの動きを見なければならない。新教皇は教会法の専門家だが、教会法は、いかなる国家主権も司教任命に干渉すべきではない、と明確に規定しているということもある」とチャンは述べた。

 もしレオ14世が、中国における司教任命などについて教会法を厳格に適用するつもりなら、中国との緊張関係は、すぐそこまで来ているのかもしれない。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

(注:LA CROIX internationalは、1883年に創刊された世界的に権威のある独立系のカトリック日刊紙LA CROIXのオンライン版。急激に変化する世界と教会の動きを適切な報道と解説で追い続けていることに定評があります。「カトリック・あい」は翻訳・転載の許可を得て、逐次、掲載していきます。原文はhttps://international.la-croix.comでご覧になれます。
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2025年5月15日