(2026.1.5 Bitter Winter editor )
米議会上下両院合同の行政中国委員会(CECC)がこのほど、2025年年次報告書を発表。中国における人権侵害と宗教弾圧が広範、多岐にわたり、深刻であることを確認した。
報告書には、Bitter Winterが『信頼できる情報源」として、随所の引用され、宗教迫害に関する報道だけでなく、一人っ子政策の長期的な人口動態的影響を含む広範な社会問題に関する報道においても、その高い信頼を得ている。報告書は中国における人権と統治に関して17の章に分けて詳述しているが、以下では、特に第3章「信教の自由」に焦点を当てて要約する。
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報告書は、結論として、中国共産党・政府が、個人や集団が自由に宗教的信念を形成し実践する能力を制限し続け、党と国家への忠誠を軸に宗教生活を構築している、と指摘。具体例として、共産党統一戦線工作部主導による全国的な組織的キャンペーンを記述している。
これは「宗教の厳格な統治」と称される概念に基づく”聖職者訓練”であり、根底には習近平主席が2015年に提唱した宗教の「中国化」があり、公式に認められた全ての宗教組織における”宗教教育”が、将来の宗教指導者の政治的信頼性を確保するため再構築されている。
2025年4月に施行された新規制は、中国国内における外国人の宗教活動をこれまで以上に厳しく規制し、礼拝場所、儀式主宰者、中国人信者との交流方法を制限している。国際カトリックメディアが取材した聖職者たちによると、これらの規則が非国家管理コミュニティにとって危険な環境を生み出し、中国人信者と外部世界とのつながりを事実上断絶させている、という。
報告書は、仏教、道教、民間信仰を、「愛国教育ツアー、政治学習会、宗教的アイデンティティと党イデオロギーの融合を図る文化イベント」を通じて取り込もうとする継続的な努力を記述。その一方で、当局が、雲南省の回族ムスリムを含むイスラム教徒コミュニティへの弾圧を強化し、モスクの”整理”、クルアーン講座の閉鎖、人気イマーム・馬友偉の拘束がなされいる、としている。中国イスラム教協会はロゴからイスラム教の象徴を削除した。これはイスラム教のアイデンティティを示す目に見える印を消し去る広範な運動の一環だ、と指摘している。
【カトリック教会-バチカンとの暫定合意を無視し、地方政府が二人の司教を”選出”、地下教会の司教たちを拘束
カトリックに関しては、バチカンとの司教任命に関する暫定合意が更新されているにもかかわらず、中国共産党がカトリック教会に対する「最終的な権威」を主張し続けていると指摘。具体的に、フランシスコ なくなり教皇職が空位となり、司教任命に関する教皇の承認を得ることが不可能となった期間に、地方政府が二人の司教の”選出”を工作した。
また、(中国政府・共産党の支配を拒む)”地下教会”の聖職者に対する圧力も続いており、例えば浙江省・温州のショウ・ジュミン司教は、2025年3月に違法とみなされた聖年ミサを執り行った後、拘束された。司教は以前にも、当局から罰金を科され、建物の取り壊しを命られたが、これを拒否したため、拘束されている。
国家公認のカトリック団体、中国天主愛国協会に属する聖職者でさえ当局の干渉を免れず、温州では、金孟秀神父がミサを捧げるのを阻止され、強制捜査を受けた。福建省では郭希進・司教が自宅軟禁状態に置かれ、礼拝堂は封鎖された。
【プロテスタント教会-牧師や説教者、長老が各地で拘束、オンライン検閲も強化】
プロテスタント共同体も同様に広範な強制措置に直面した。報告書によると、2024年から2025年にかけて北京シオン教会への繰り返し行われた強制捜査では、ジン・ミンリ牧師、周思瑞伝道師、蔡静・呉瓊両長老、秦国良長老を含む約30名の牧師・協力者が拘束された。四川省の省都・成都の早雨契約教会では、複数の長老と説教者が「団体の名において違法な活動を行った」として拘束された。安徽省では、登録済みの信義村教会の牧師と信徒3名が、地方当局の指示に従わなかったことを理由に刑事拘留された。裁判所は「詐欺」や「違法営業」の罪状を適用し、教会付属学校の運営や献金収集を含む通常の宗教活動を刑事事件として扱った。
安徽省の蕪湖ではカルメル山教会の信徒3名が付属学校運営で実刑判決を受け、臨汾では黄金燭台教会の信徒10名が最長9年2ヶ月の刑を宣告された。臨汾契約教会の李傑牧師と韓暁東牧師は3年8ヶ月の刑を宣告された。牧師への嫌がらせとして出国禁止令が出される例もある。オンライン検閲も強化され、キリスト教アプリ開発者の拘束、賛美歌動画の強制削除、市民にオンライン宗教活動を通報するよう促す報奨金告知の発行などが行われた。
【法輪功などへの弾圧、外国人も拘束】
共産党は、法輪功運動への弾圧に多大な資源を投入し続けている。河北省の左洪涛を含む拘禁中の死亡事例や、食品検査官の高暁英がネット活動で科された7年の長期刑などを、報告書は挙げている。健康状態が深刻なにもかかわらず3年半の刑を宣告された80代の女性、趙英の事例は、弾圧の厳しさを示す例として強調されている。
報告書は「邪教」と分類された団体について詳細に論じている。
この用語はしばしば「カルト」と訳されるが、実際には「異端の教えを広める集団」を意味する。報告書は、中国共産党が22の宗教団体を「邪教」と指定し、迫害を継続している、と指摘。中でも全能神教会(CAG)は主要な標的であり続けている。
報告書は、2024年に中国政府・共産党によって開始された3年間の「厳しい戦い」キャンペーンを含む、長期かつ全国的な弾圧を記述している。このキャンペーンは、以前の「総力戦」に続くものだ。キャンペーン初年度における逮捕件数は50%以上増加した。調査結果は、全能神教会への弾圧が中央で調整され、持続的かつエスカレートしていることを裏付けている。
報告書は外国人が関与した事例も挙げている。広東省では警察が一元道集会を急襲し、台湾人3名を含む複数の参加者を拘束した。厦門では、統一教会のルー・ジアチェンとその夫チャン・ピシアンが自宅で礼拝を行っていたところを当局に拘束された。夫婦は「邪教を組織・利用して法執行を妨害した」容疑で刑事拘留され、厦門公安局拘置所に収容された。チャンは2025年2月に保釈されたが、ルーは依然として拘束中である。これらの事例は、中国の反邪教政策が国境を越えて及ぼす影響と、外国人信者に対するリスクを浮き彫りにしている。
【新疆ウイグル自治区での”ジェノサイド”も続いている】
報告書の15章、「新疆ウイグル自治区」では、ジェノサイド及び人道に対する罪を構成する全ての政策が継続中だ、と結論付けている。
報告書は、50万人以上のトルコ系ムスリムが依然として、正式または司法外の手続きで拘束されている可能性が高いこと、文化伝承を断絶することを明確な目的として寄宿学校が拡大を続けていることを示す研究を引用。
強制不妊手術や強制的な人口管理措置は継続されいるが、公式データはますます不透明になっている。強制労働プログラムは2024年と2025年にかけて拡大し、土地の強制譲渡も伴っている。ラマダン期間中の制限の実施や、断食時間中の強制労働や、断食していないことを証明するために住民が食事の様子を撮影するよう要求される事例が含まれている。
独立したハッジ巡礼(イスラム教の聖地旬ライ)は依然として禁止されている。禁を破った歴史家トゥルスンジャン・ヘジムへの終身刑や実業家エリジャン・イスマイルへの18年の刑期など、長期刑の事例が多数示され、また、カンボジアからのアブドゥレキップ・ラフマンの強制送還や海外活動家の親族への判決など、継続的な越境弾圧についても記述されている。
【チベット自治区-チベット仏教の僧侶と尼僧の集団追放、信徒の逮捕、チベット文化の抹殺の動き】
チベット自治区では、(チベット仏教ゲルク派の最高指導者である)ダライ・ラマとの交渉に向けた進展がなく、転生プロセスに対する国家統制が続いていると報告している。国家宗教事務局は寺院に対する政治的要件を強化する改正措置を発表した。
(チベット仏教の聖地の一つ)ラルン・ガルでは集団追放が続き、2024年末には約1000人の僧侶と尼僧が強制退去させられた。チベット人はダライ・ラマの教えを所持・共有したとして拘束された。僧侶ジャンパ・チョーペルは、微信(WeChat)で法王の演説を共有した罪で1年6か月の判決を受けた。(チベット仏教の高僧)フンカル・ドルジェ・リンポチェのベトナムでの不審な失踪と死亡が発生したが、その後この事件に関する公的な議論が制限された。
チベット語教育は深刻な後退を余儀なくされている。数百人の見習い僧が僧院学校から排除され、国営寄宿学校へ移送された。青海省のラギャ・ガンジョン・シェリグ・ノルブリン学校は30年の運営を経て閉鎖された。
学校閉鎖に関する情報共有、チベット語コンテンツのライブ配信、言語権利団体への参加を理由にチベット人が拘束された事例。これには拷問による死亡が疑われるチベット族自治州ポンコー村のゴンポ・ナムギャル村長の事例も含まれる。チベット自治区へのアクセスは依然として厳しく制限され、米国政府関係者は入域を拒否され、自治区外のチベット族が住む地域でも、外国人訪問者が監視対象となっている。2025年1月のディンリ地震後、当局は移動を制限し、救援物資を没収し、死傷者情報を共有した個人を処罰した。砂採掘による被害を暴露した環境告発者ツォンゴン・ツェリンの投獄と判決についても詳述されている。
*年次報告書の全文は→https://www.cecc.gov/publications/annual-reports/2025-annual-report
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
*Bitter Winter(https://jp.bitterwinter.org )は、中国における信教の自由 と人権 について報道するオンライン・メディアとして2018年5月に創刊。イタリアのトリノを拠点とする新興宗教研究センター(CESNUR)が、毎日4か国語でニュースを発信中。世界各国の研究者、ジャーナリスト、人権活動家が連携し、中国における、あらゆる宗教に対する迫害に関するニュース、公的文書、証言を公表し、弱者の声を伝えている。中国全土の数百人の記者ネットワークにより生の声を届け, 中国の現状や、宗教の状況を毎日報告しており、多くの場合、他では目にしないような写真や動画も送信している。中国で迫害を受けている宗教的マイノリティや宗教団体から直接報告を受けることもある。編集長のマッシモ・イントロヴィーニャ(Massimo Introvigne)は教皇庁立グレゴリアン大学で学んだ宗教研究で著名な学者。ー「カトリック・あい」はBitterWinterの承認を受けて記事を転載しています。



ミュニティを標的とした大規模な警察作戦が行われた。

チベット仏教僧侶で教育者、同自治州ミンタンのオセル・テチョク・リン寺とミンタン民族職業学校の責任者であるチョグル・ドルジェ・テンジン師。












