・国連の人権関係の専門家たちが中国におけるウイグル族、チベット族その他の少数民族への強制労働に懸念表明

 (2026.1.28 カトリック・あい)

 国連人権高等弁務官事務所がホームページで明らかにしたところによると、 国連の人権などに関する専門家たちが22日付けで声明を発表。中国の新疆ウイグル自治区及びその他の地域におけるウイグル族、カザフ族、キルギス族の少数民族グループならびにチベット人に対する強制労働の持続的な申し立てについて深い懸念を表明した。同ホームページによる内容は次の通り。

 声明で専門家たちは「中国の複数省にわたり、少数民族を対象とした国家による強制労働の申し立てが、持続的なパターンとして存在する」とし、「多くの事例において、強制的な要素が極めて深刻であり、人道に対する罪としての強制移送及び/または奴隷状態に相当する可能性がある」と指摘した。

 専門家たちによれば、中国における強制労働は、国家が義務付けた「労働移転による貧困削減」プログラムを通じて可能、とされている。このプログラムは、ウイグル族及びその他の少数民族を新疆及びその他の地域での労働に強制的に従事させるものだ。彼らは体系的な監視・監視・搾取に晒され、処罰や恣意的拘禁への恐怖が蔓延しているため、仕事を拒否したり変更したりする選択肢がないとされる。新疆の5カ年計画(2021~2025年)では1375万件の労働移転を想定しているが、実際の数は過去最高に達している。

 専門家によれば、チベット人も「訓練・労働移転行動計画」といった類似の制度を通じて強制労働を強いられており、「農村余剰労働力」の体系的な訓練と移転が求められている。「これらの政策は軍事式職業訓練といった強制的手法を正当化するものである。2024年に労働移転の影響を受けるチベット人の数は約65万人に達すると推定される。

 チベット人はまた、「全村移転」プログラムを通じて強制的に移住させられている、と報告されている。このプログラムでは、繰り返し家庭訪問を行う、暗に処罰をほのめかす、批判を禁止する、あるいは生活に不可欠なサービスを停止すると脅すなど、同意を強制的に作り出す手段が用いられている。

 「2000年から2025年にかけて、”遊牧民の定住化”を目的とした家屋再建を義務付ける政府プログラムにより、約336万人のチベット人が影響を受けた。公式統計によれば、村単位移転または個別世帯移転を通じて約93万人の農村チベット人が移住させられている」と専門家たちは述べた。

 「労働移転は、貧困対策という名目でウイグル族やその他の少数民族、チベット人の文化的アイデンティティを強制的に再構築する政府政策の一環だ」と警告している。

 また声明は、「労働と土地の移転は、彼らを賃金労働を余儀なくされる場所へ強制移住させることで、農業や遊牧を基盤とする伝統的な生業を強制的に変えてしまう」とし、「結果として、彼らの言語、選択した共同体、生活様式、そして文化的・宗教的慣行が侵食され、取り返しのつかない損害と損失をもたらしている」と批判した。

 専門家たちはまた、強制労働によって生産された商品が第三国を経由して間接的にグローバルサプライチェーンに流入することに対し深刻な懸念を表明し、現在行われているサプライチェーン規制における対象を絞った中国に対する貿易制限や人権デューデリジェンス(企業が自社の事業やサプライチェーン―取引先・原材料調達先など―において、強制労働、児童労働、ハラスメントなどの人権侵害リスクを特定・評価し、その負の影響を防止・軽減、是正し、結果を外部に情報開示する一連の継続的プロセス)の全体的な有効性について広範な疑問を提起。

 そのうえで、専門家たちは、中国で事業を展開し調達を行っている投資家や企業に対し、国連ビジネスと人権に関する指導原則(2011年に国連人権理事会で全会一致で支持された企業活動における人権尊重の国際的規範。「人権を保護する国家の義務」「人権を尊重する企業の責任」「救済へのアクセス」の3つの柱から成る)に沿った人権デュー・ディリジェン実施し、サプライチェーン関連のリスクを考慮するよう要請。「企業は自らの事業活動とバリューチェーンが強制労働によって汚されていないことを保証しなければならない」とし、独立した国連人権メカニズムの中国への自由なアクセスを改めて求めている。

 今回の声明をまとめた専門家は小保方 智也(現代の奴隷制(その原因と結果を含む)に関する特別報告者)、アレクサンドラ・ザンサキ( 文化的権利分野の特別報告者)、アシュウィニ・K・P( 現代の人種差別、人種的差別、外国人嫌悪及び関連する不寛容に関する特別報告者)、シボーン・マラリー( 人身取引(特に女性及び児童)に関する特別報告者)、ビジネスと人権に関する作業部会のダミローラ・オラウィ議長、ロバート・マッコーコデール副議)、部会メンバーのフェルナンダ・ホーペンハイム、ライラ・ヤクレーヴィチェンエ、ピチャモン・ヨープアントン。

 特別報告者/独立専門家/作業部会は、国連人権理事会によって任命された独立した人権専門家。これらの専門家は総称して、人権理事会の特別手続の専門家と呼ばれる。特別手続の専門家はボランティアとして活動しており、国連職員ではなく、その活動に対して給与は支給されない。国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)が特別手続の事務局を務めるが、専門家は個人資格で活動し、OHCHRや国連を含むいかなる政府や組織からも独立している。表明される見解や意見は、あくまで発表者個人のものであり、必ずしも国連やOHCHRの見解を代表するものではない。

 特別手続、条約機関、普遍的定期的審査(UPR)を含む国連人権メカニズムによる国別観察・勧告は、ユニバーサル・ヒューマン・ライツ・インデックスで閲覧可能である。https://uhri.ohchr.org/en/

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2026年1月28日

・世界で迫害されているキリスト教徒は前年比800万人増の3億8800万人で過去最高にーOpen Doorsが2026年版「世界監視リスト」を発表

2026年1月16日

・新年早々、中国で影響力のあるプロテスタント教会が弾圧を受け、牧師や長老が逮捕

(2026.1.10  カトリック・あい) 英国の国営放送BBCが8日付けで伝えたところによると、  中国で共産党・政府による支配を拒む地下教会運動に対する弾圧が強化されていると見られる中、影響力のあるプロテスタント教会が声明を出し、牧師や長老など有力指導者が逮捕されたことを明らかにした。

 

*BBCの報道は以下の通り。

 「早雨契約教会」によると、火曜日に警察が中国四川省の省都、成都にある自宅と教会事務所を家宅捜索し、9人が拘束された。水曜日までに5人が釈放された。

宗教迫害を監視する非営利団体China Aidが入手した映像によると、1000マイル以上離れた温州では、当局が屹陽教会の建物の解体を開始した。

(右の写真は、雅陽教会の一部が撤去される様子と思われる映像)

  キリスト教団体によれば、昨年にも同様の逮捕が相次いだが、今回の新たな逮捕の波は、共産党が自らのイデオロギーに合致しない教会を根絶しようとする決意を示している、という。

 BBCは中国大使館にコメントを求めたが、当局は逮捕や温州での建物取り壊しについて何の声明も出していない。

 中国は無神論を推進し、宗教を統制している。政府は2018年、国内に4400万人のキリスト教徒がいると発表したが、この数字に多くの地下教会に通う信徒が含まれているかは不明だ。

 共産党は長年、キリスト教徒に対し、政府が認可した牧師が率いる国家公認の教会のみに加入するよう圧力をかけてきた。

 しかしキリスト教団体によれば、取り締まりは明らかに強化され、逮捕がより頻繁かつ迅速に行われるようになっているという。

 中国国内の教会指導者少なくとも2名がBBCに対し、当局が認可されていない教会指導者を迅速に逮捕していると伝えた。過去には、こうした個人にはまず警告が与えられ、次に罰金が科され、それでも命令に従わない場合にようやく拘束されるという手順が取られていた。

 

 

*習近平政権下で、中国は宗教の自由に対する締め付けを強化している

 

 つい数週間前、早雨契約教会の現指導者である李英強は「嵐が迫っているのを感じる」と述べ、「間もなく…またも大規模な弾圧が行われる見通しだ」と指摘していた。「どうか私たちの家族が二度とこのような嵐に遭わずに済みますように」と彼は11月に教会メンバー宛ての手紙に記した。「しかし主によってあなたがたの中に立つように任命された長老として… 嵐が再び訪れる前に備えるよう皆に呼びかけるのが私の責務だ」とも。

 李氏と妻の張新悦氏は、現在も拘束されている4名のうちの一人だ。同教会は今回の逮捕を「組織的な作戦」と表現したが、逮捕の根拠や被拘束者への起訴の有無は依然不明だと述べた。さらに他の2名の信徒と連絡が取れなくなったと付け加えたが、拘束されたとは明言しなかった。「状況は進行中であり、具体的な詳細はまだ完全に確認されていない」と、早雨契約教会(ERCC)は会員と支援者への声明で述べた。また、会員の安全とキリスト教信仰における忍耐のための祈りを求めた。

 温州市では、今週初め、地元当局がブルドーザー、クレーン、重機を動員し、動画で見られるように、雅陽教会建物の一部解体を開始した。ChinaAidによれば、複数の情報源から、数百人の武装警察と特殊警察が建物の外で警戒に当たっていると伝えられた。

 「中国のエルサレム」とも呼ばれる温州は、国内で最も多くのキリスト教徒を抱える都市だ。ChinaAidによれば、雅陽教会の近隣住民は「追い出され」、同地域で働く者には写真や動画の撮影を禁じる指示が出されている。

 中国援助協会創設者のボブ・フー氏は「二大独立教会ネットワークに対する大規模な動員は、教会が党のイデオロギーに完全に同化しない限り、中央政府がキリスト教教会を根絶しようとしていることを示している」と述べた。

 

 

地方当局は屹陽教会建物の一部解体を開始した

 

 昨年12月、温州の屹陽教会の信徒約100名が5日間にわたり当局に拘束された。ヒューマン・ライツ・ウォッチによれば、少なくとも24名が現在も勾留中である。

 また昨年10月には、中国最大級の地下教会であるシオン教会の指導者30名が7都市で一斉に拘束された。創設者のエズラ・ジンは現在も勾留中だ。

 中国政府は2008年に設立された「早雨契約教会」も長年標的にしてきた。2018年には当局が教会を急襲し、創設牧師の王毅と妻の江蓉を逮捕した。少なくとも100人の信徒がその後数日間で拘束され、これは過去10年間で中国最大規模の教会弾圧の一つとなった。

 中国共産党の宗教政策を公然と批判してきた王牧師は「国家権力転覆扇動罪」と「不法営業罪」で有罪判決を受け、2027年の釈放予定となっている。

 同教会はオンラインでの集会を継続し、時折王牧師の説教録音を信徒に流している。ヒューマン・ライツ・ウォッチの中国調査員ヤルクン・ウルヨルは、中国の首相を指して「習近平政権はイデオロギー統制を強化し、中国共産党以外の忠誠心に対する不寛容さを強めている」と述べた。「世界中の関係各国政府と宗教指導者は、中国政府に対し、拘束された信者を解放し、中国における宗教の自由を尊重するよう圧力をかけるべきだ」

 習近平政権下で、中国は宗教の自由に対する統制を強化している。2015年以降、彼は「宗教の中国化」を呼びかけており、これは宗教の教義や実践が中国の文化や価値観に適合することを要求するものである。

 昨年、当局は政府が承認したプラットフォーム上で行われる場合を除き、あらゆる宗教の聖職者がソーシャルメディアで生配信による説教を行うこと、子供向けのオンライン活動を組織すること、オンラインで資金調達を行うことを禁止した。

 

2026年1月11日

・「中国で人権侵害と宗教弾圧が広範、多岐にわたり進んでいる」-米議会上下両院合同委員会が年次報告書発表

(2026.1.5  Bitter Winter   editor   )

 米議会上下両院合同の行政中国委員会(CECC)がこのほど、2025年年次報告書を発表。中国における人権侵害と宗教弾圧が広範、多岐にわたり、深刻であることを確認した。

 報告書には、Bitter Winterが『信頼できる情報源」として、随所の引用され、宗教迫害に関する報道だけでなく、一人っ子政策の長期的な人口動態的影響を含む広範な社会問題に関する報道においても、その高い信頼を得ている。報告書は中国における人権と統治に関して17の章に分けて詳述しているが、以下では、特に第3章「信教の自由」に焦点を当てて要約する。

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 報告書は、結論として、中国共産党・政府が、個人や集団が自由に宗教的信念を形成し実践する能力を制限し続け、党と国家への忠誠を軸に宗教生活を構築している、と指摘。具体例として、共産党統一戦線工作部主導による全国的な組織的キャンペーンを記述している。

 これは「宗教の厳格な統治」と称される概念に基づく”聖職者訓練”であり、根底には習近平主席が2015年に提唱した宗教の「中国化」があり、公式に認められた全ての宗教組織における”宗教教育”が、将来の宗教指導者の政治的信頼性を確保するため再構築されている。

 2025年4月に施行された新規制は、中国国内における外国人の宗教活動をこれまで以上に厳しく規制し、礼拝場所、儀式主宰者、中国人信者との交流方法を制限している。国際カトリックメディアが取材した聖職者たちによると、これらの規則が非国家管理コミュニティにとって危険な環境を生み出し、中国人信者と外部世界とのつながりを事実上断絶させている、という。

 報告書は、仏教、道教、民間信仰を、「愛国教育ツアー、政治学習会、宗教的アイデンティティと党イデオロギーの融合を図る文化イベント」を通じて取り込もうとする継続的な努力を記述。その一方で、当局が、雲南省の回族ムスリムを含むイスラム教徒コミュニティへの弾圧を強化し、モスクの”整理”、クルアーン講座の閉鎖、人気イマーム・馬友偉の拘束がなされいる、としている。中国イスラム教協会はロゴからイスラム教の象徴を削除した。これはイスラム教のアイデンティティを示す目に見える印を消し去る広範な運動の一環だ、と指摘している。

 

 

【カトリック教会-バチカンとの暫定合意を無視し、地方政府が二人の司教を”選出”、地下教会の司教たちを拘束

 

 カトリックに関しては、バチカンとの司教任命に関する暫定合意が更新されているにもかかわらず、中国共産党がカトリック教会に対する「最終的な権威」を主張し続けていると指摘。具体的に、フランシスコ なくなり教皇職が空位となり、司教任命に関する教皇の承認を得ることが不可能となった期間に、地方政府が二人の司教の”選出”を工作した。

 また、(中国政府・共産党の支配を拒む)”地下教会”の聖職者に対する圧力も続いており、例えば浙江省・温州のショウ・ジュミン司教は、2025年3月に違法とみなされた聖年ミサを執り行った後、拘束された。司教は以前にも、当局から罰金を科され、建物の取り壊しを命られたが、これを拒否したため、拘束されている。

国家公認のカトリック団体、中国天主愛国協会に属する聖職者でさえ当局の干渉を免れず、温州では、金孟秀神父がミサを捧げるのを阻止され、強制捜査を受けた。福建省では郭希進・司教が自宅軟禁状態に置かれ、礼拝堂は封鎖された。

 

 

【プロテスタント教会-牧師や説教者、長老が各地で拘束、オンライン検閲も強化】

 

 プロテスタント共同体も同様に広範な強制措置に直面した。報告書によると、2024年から2025年にかけて北京シオン教会への繰り返し行われた強制捜査では、ジン・ミンリ牧師、周思瑞伝道師、蔡静・呉瓊両長老、秦国良長老を含む約30名の牧師・協力者が拘束された。四川省の省都・成都の早雨契約教会では、複数の長老と説教者が「団体の名において違法な活動を行った」として拘束された。安徽省では、登録済みの信義教会の牧師と信徒3名が、地方当局の指示に従わなかったことを理由に刑事拘留された。裁判所は「詐欺」や「違法営業」の罪状を適用し、教会付属学校の運営や献金収集を含む通常の宗教活動を刑事事件として扱った。

 安徽省の蕪湖ではカルメル山教会の信徒3名が付属学校運営で実刑判決を受け、臨汾では黄金燭台教会の信徒10名が最長9年2ヶ月の刑を宣告された。臨汾契約教会の李傑牧師と韓暁東牧師は3年8ヶ月の刑を宣告された。牧師への嫌がらせとして出国禁止令が出される例もある。オンライン検閲も強化され、キリスト教アプリ開発者の拘束、賛美歌動画の強制削除、市民にオンライン宗教活動を通報するよう促す報奨金告知の発行などが行われた。

 

 

【法輪功などへの弾圧、外国人も拘束】

 

 共産党は、法輪功運動への弾圧に多大な資源を投入し続けている。河北省の左洪涛を含む拘禁中の死亡事例や、食品検査官の高暁英がネット活動で科された7年の長期刑などを、報告書は挙げている。健康状態が深刻なにもかかわらず3年半の刑を宣告された80代の女性、趙英の事例は、弾圧の厳しさを示す例として強調されている。

 報告書は「邪教」と分類された団体について詳細に論じている。

 この用語はしばしば「カルト」と訳されるが、実際には「異端の教えを広める集団」を意味する。報告書は、中国共産党が22の宗教団体を「邪教」と指定し、迫害を継続している、と指摘。中でも全能神教会(CAG)は主要な標的であり続けている。

 報告書は、2024年に中国政府・共産党によって開始された3年間の「厳しい戦い」キャンペーンを含む、長期かつ全国的な弾圧を記述している。このキャンペーンは、以前の「総力戦」に続くものだ。キャンペーン初年度における逮捕件数は50%以上増加した。調査結果は、全能神教会への弾圧が中央で調整され、持続的かつエスカレートしていることを裏付けている。

 報告書は外国人が関与した事例も挙げている。広東省では警察が一元道集会を急襲し、台湾人3名を含む複数の参加者を拘束した。厦門では、統一教会のルー・ジアチェンとその夫チャン・ピシアンが自宅で礼拝を行っていたところを当局に拘束された。夫婦は「邪教を組織・利用して法執行を妨害した」容疑で刑事拘留され、厦門公安局拘置所に収容された。チャンは2025年2月に保釈されたが、ルーは依然として拘束中である。これらの事例は、中国の反邪教政策が国境を越えて及ぼす影響と、外国人信者に対するリスクを浮き彫りにしている。

 

 

【新疆ウイグル自治区での”ジェノサイド”も続いている】

 

 報告書の15章、「新疆ウイグル自治区」では、ジェノサイド及び人道に対する罪を構成する全ての政策が継続中だ、と結論付けている。

 報告書は、50万人以上のトルコ系ムスリムが依然として、正式または司法外の手続きで拘束されている可能性が高いこと、文化伝承を断絶することを明確な目的として寄宿学校が拡大を続けていることを示す研究を引用。

 強制不妊手術や強制的な人口管理措置は継続されいるが、公式データはますます不透明になっている。強制労働プログラムは2024年と2025年にかけて拡大し、土地の強制譲渡も伴っている。ラマダン期間中の制限の実施や、断食時間中の強制労働や、断食していないことを証明するために住民が食事の様子を撮影するよう要求される事例が含まれている。

 独立したハッジ巡礼(イスラム教の聖地旬ライ)は依然として禁止されている。禁を破った歴史家トゥルスンジャン・ヘジムへの終身刑や実業家エリジャン・イスマイルへの18年の刑期など、長期刑の事例が多数示され、また、カンボジアからのアブドゥレキップ・ラフマンの強制送還や海外活動家の親族への判決など、継続的な越境弾圧についても記述されている。

 

 

【チベット自治区-チベット仏教の僧侶と尼僧の集団追放、信徒の逮捕、チベット文化の抹殺の動き】

 

 チベット自治区では、(チベット仏教ゲルク派の最高指導者である)ダライ・ラマとの交渉に向けた進展がなく、転生プロセスに対する国家統制が続いていると報告している。国家宗教事務局は寺院に対する政治的要件を強化する改正措置を発表した。

 (チベット仏教の聖地の一つ)ラルン・ガルでは集団追放が続き、2024年末には約1000人の僧侶と尼僧が強制退去させられた。チベット人はダライ・ラマの教えを所持・共有したとして拘束された。僧侶ジャンパ・チョーペルは、微信(WeChat)で法王の演説を共有した罪で1年6か月の判決を受けた。(チベット仏教の高僧)フンカル・ドルジェ・リンポチェのベトナムでの不審な失踪と死亡が発生したが、その後この事件に関する公的な議論が制限された。

 チベット語教育は深刻な後退を余儀なくされている。数百人の見習い僧が僧院学校から排除され、国営寄宿学校へ移送された。青海省のラギャ・ガンジョン・シェリグ・ノルブリン学校は30年の運営を経て閉鎖された。

 学校閉鎖に関する情報共有、チベット語コンテンツのライブ配信、言語権利団体への参加を理由にチベット人が拘束された事例。これには拷問による死亡が疑われるチベット族自治州ポンコー村のゴンポ・ナムギャル村長の事例も含まれる。チベット自治区へのアクセスは依然として厳しく制限され、米国政府関係者は入域を拒否され、自治区外のチベット族が住む地域でも、外国人訪問者が監視対象となっている。2025年1月のディンリ地震後、当局は移動を制限し、救援物資を没収し、死傷者情報を共有した個人を処罰した。砂採掘による被害を暴露した環境告発者ツォンゴン・ツェリンの投獄と判決についても詳述されている。

 

*年次報告書の全文は→https://www.cecc.gov/publications/annual-reports/2025-annual-report

 

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

*Bitter Winter(https://jp.bitterwinter.org )は、中国における信教の自由 と人権 について報道するオンライン・メディアとして2018年5月に創刊。イタリアのトリノを拠点とする新興宗教研究センター(CESNUR)が、毎日4か国語でニュースを発信中。世界各国の研究者、ジャーナリスト、人権活動家が連携し、中国における、あらゆる宗教に対する迫害に関するニュース、公的文書、証言を公表し、弱者の声を伝えている。中国全土の数百人の記者ネットワークにより生の声を届け, 中国の現状や、宗教の状況を毎日報告しており、多くの場合、他では目にしないような写真や動画も送信している。中国で迫害を受けている宗教的マイノリティや宗教団体から直接報告を受けることもある。編集長のマッシモ・イントロヴィーニャ(Massimo Introvigne)は教皇庁立グレゴリアン大学で学んだ宗教研究で著名な学者。ー「カトリック・あい」はBitterWinterの承認を受けて記事を転載しています。

 

2026年1月6日

・中国の広西チワン族自治区で、警察が刺激性ガスで抗議の女性たちを排除、寺院を破壊(Bitter Winter)

(2026.1.2 Bitter Winter   Liang Changpu)

The police demolish Longfu Temple. Screenshot.

  2024年に合法的に再建された賀州市の龍福寺が、地元村民の抗議と抵抗にもかかわらず破壊された。(写真右:警察が龍福寺を破壊した)

 12月23日、広西チワン族自治区賀州市中山興隆寨で、中国共産党は再び「宗教管理」に対する独自の解釈を示した—「存在すれば破壊し、村民が抵抗すれば催涙ガスを放ち、撮影者がいれば逮捕する」だ。

 今回の標的は龍福寺だった。この質素な民間信仰の祠は、数十年にわたる放置の後、村民が自らの貯金で再建したものだ。寺は代々この地に建ち、地元住民でさえいつ建立されたか覚えていないほど古い。しかし現代中国では、「長寿こそが災い」となる。

 村民の報告によれば、地方政府は警察、消防、医療スタッフを含む100人以上の要員を派遣し、「強制撤去作戦」を実行した。これほどの規模の部隊が地震被災者の救助や化学物質漏洩の封じ込めに動員されたと誤解するかもしれない。しかし実際には、高齢の農民たちが数百元ずつ寄付して再建した村の寺を破壊するために動員されたのだ。

 龍福寺は崩壊状態にあった2024年、村民が貯金を出し合って再建に着手し、2025年4月に完成させた。当時、政府は異議を唱えなかった。警告も通知もなく、役所の”雷雲が垂れ込める”気配すらなかった。

 ところが突然、当局は寺院を「違法建築」と宣言し、「環状道路に近すぎる」と主張した。再建工事中はずっと「問題なし」とされていたというその環状道路にだ。

 村人たちは呆然とした。ある高齢の住民はネットでこう綴った。「寺は、子供の頃からここにあった。今や私は老い、ようやく昨年再建できた。皆が可能な限りの寄付をしたのだ」。だが中国では、懐古の情は取り壊し命令の盾にはならない。

 解体班が到着した時、村人たちは中国共産党員が軍事パレードで示すような戦術的明晰さで組織化された。男たちは寺院の外で第一防衛線を形成した。女たちは内部にバリケードを築き、入口を守った。それは民話から抜け出したような光景だった―ただし英雄は無防備な村民であり、悪役は防御盾を携えていた。

 衝突はほぼ即座に発生した。警棒と盾を振るう警察隊が前進し、村民は地面に叩きつけられた。少なくとも4人の村民が逮捕された。動画には警察の打撃で倒れる人影が映っている。中国で「安定維持」がしばしば一般市民の生活を不安定化させることを痛烈に物語る光景だ。

The women barricaded inside the temple are attacked with irritant gas. Screenshots.

 寺院内部では女性たちが、警察が繰り返し押し破ろうとする扉を必死に支えた。暴力で突破できないと、警官たちは人質事件で使う戦術に訴えた。正体不明の刺激性ガスを寺院内に放ったのだ。

(写真左:寺院内に立てこもった女性たちが刺激性ガスで攻撃された)

 白い煙が堂内を満たした。女性たちはむせび、よろめいて後退した。扉は崩れ落ちた。寺は崩れ落ちた。そしてそれと共に、中国の民俗遺産がまた一つ消え去った。

 数時間のうちに龍福寺は瓦礫と化した。破壊を見守る村民が苦々しく叫んだ。「建てた時は何の問題もなかった。今になって違法だと言う。苦労して再建した寺が、一瞬で消えた」。

 公式の説明―環状道路に近すぎる―は、悲劇的でなければ滑稽に思える。中国には龍福寺よりはるかに道路に近い建物が数多く存在する。だがそれらの建物は開発業者の所有物であって、神々のものではない。

 真の理由はイデオロギーにある。中国では大規模な抵抗事件が相次いでおり、2025年12月だけで30件以上の衝突が記録されている。中国共産党は神経を尖らせている。経済モデルは躓き、失業率は上昇し、民衆の怒りは沸騰寸前だ。

 こうした状況下では、村民が再建した小さな寺院さえ脅威となる。道路を塞ぐからではなく、党が制御できないものを象徴しているからだ。「信仰、共同体、記憶」である。

 民間信仰は特に危険視される。分散型で深く根付き、プロパガンダだけでは根絶できないからだ。寺院はブルドーザーで壊せても、人々の心に生きる物語や儀式、祖先の記憶は壊せないのだ。だから党は、理解できないものに直面すると常に取る行動を取る。破壊するのだ。

龍福寺の解体は孤立した事件ではない。教会、モスク、祠堂、民間寺院を標的とした全国的な運動の一環だ。その論理は単純だ。「人を集めるものは管理すべきであり、管理できないものは排除すべきだ」という。

 広西、海南、広東をはじめ、各地で寺院が次々と破壊されている。手段は様々だ—法的理由、行政命令、ブルドーザー、催涙ガス—だが目的は同じだ。「党自身の信仰」と競合するいかなる信仰も許さない、だだ。

Police confront angry villagers while the demolition proceeds. Screenshot.

 こうした破壊の背景には深い不安が潜んでいる。中国共産党は自らのイデオロギー的物語がもはや、誰をも説得できないことを知っている—それを繰り返すために金をもらっている者たちでさえもだ。体制が自らの物語への自信を失う時、どんなに小さな異論であれ、あらゆる反論を恐れ始める。

 退職者たちが再建した村の祠が脅威となる。郷土の神がライバルとなる。儀式が反乱となる。だから党は、わずかな村民を潰すために百人の兵を送る。女性たちが守る寺に催涙ガスを放つ。人々が愛するものを破壊しておきながら、「なぜ抵抗されるのか」と不思議がる。

 龍福寺は消えた。だがその破壊の物語は中山をはるかに超えて広がるだろう。それは中国共産党と宗教の関係を定義づける不正の記録—恐怖、暴力、そして文化的な記憶の執拗な抹消—の膨れ上がるアーカイブに加わるのだ。興隆寨の村民たちは一度、寺を再建した。再び建てるかもしれない。たとえそれが叶わなくとも、今やその寺は別の場所に生きている—インターネット上で、証言の中で、崩壊を目撃した人々の怒りの内に。

 中国共産党は建物を破壊できる。だが人間が意味を求める欲求を破壊することはできない。

 

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

*Bitter Winter(https://jp.bitterwinter.org )は、中国における信教の自由 と人権 について報道するオンライン・メディアとして2018年5月に創刊。イタリアのトリノを拠点とする新興宗教研究センター(CESNUR)が、毎日4か国語でニュースを発信中。世界各国の研究者、ジャーナリスト、人権活動家が連携し、中国における、あらゆる宗教に対する迫害に関するニュース、公的文書、証言を公表し、弱者の声を伝えている。中国全土の数百人の記者ネットワークにより生の声を届け, 中国の現状や、宗教の状況を毎日報告しており、多くの場合、他では目にしないような写真や動画も送信している。中国で迫害を受けている宗教的マイノリティや宗教団体から直接報告を受けることもある。編集長のマッシモ・イントロヴィーニャ(Massimo Introvigne)は教皇庁立グレゴリアン大学で学んだ宗教研究で著名な学者。ー「カトリック・あい」はBitterWinterの承認を受けて記事を転載します。

 

2026年1月3日

・降誕祭直前に、中国・浙江省温州で警官を大量動員しキリスト教徒を標的にした”作戦”、100人以上拘束(Bitter Winter)

(2025.12.22 Bitter Winter  

 家庭教会と宗教的象徴の撤去に抵抗した者たちに対する新たな大規模な弾圧だ。

(警察が婁陽鎮に入る様子=12月13日、現地のキリスト教徒が撮影)

 12月13日から18日にかけて、浙江省温州市の泰順県婁陽鎮で、キリスト教徒のコPolice entering Yayáng Town on 13 December. Photo by local Christians.ミュニティを標的とした大規模な警察作戦が行われた。

 以下に、住民の証言、オンライン上の報告、公開された通知から、異例の警察の大量動員、集団拘束、組織的な広報活動を含む一連の出来事を再構成した。

 住民によれば、杭州や平陽など複数都市から警察部隊が13日に瀾陽に進入した。目撃者は、入口の検問所、主要道路の巡回、住宅地での捜索が行われた、と証言。

 最初の2日間で100人以上のキリスト教徒が自宅や職場から連行され、16日と17日にも追加拘束が行われ、拘束された人は延べ100人を大きく超えた。この作戦に関する情報は厳しく制限され、住民によればオンラインでの情報共有の試みは即座に削除されている。

12月15日夜の予期せぬ花火大会がなければ、警察行動の規模はこの地域外ではほとんど知られなかったかもしれない。午後8時頃、雅陽政府庁舎前の広場から大規模な花火ショーが打ち上げられた。このイベントは複数の角度から撮影され、公式メッセージを宣伝するアカウントによってオンラインで拡散された。

祭事や公休日とは無関係だったため、即座に注目を浴びた。動画に添えられたキャプションは地方自治を称賛し、当局への忠誠を促す内容だった。視聴者が花火の目的を疑問視する中、住民たちは前数日間に起きた警察の活動を説明し始めた。祝賀の意図で打ち上げられた花火は、意図せず継続中の拘束を広く知らしめる結果となった。

(12月15日の”花火大会”=地元キリスト教徒による撮影)

The fireworks show of December 15. Photo by local Christians.

この期間中に当局は、地元のキリスト教徒コミュニティで著名な58歳の林恩昭(リン・エンジャオ)氏と54歳の林恩慈(リン・エンツィ)氏の両名の指名手配書を掲示した

手配書は二人を「犯罪グループの主犯格」と断定し、情報提供への報奨金を提示したが、具体的な容疑は明記されなかった。別の公告では住民に対し、「不正行為の証拠を提供するように」呼びかけている。

現地事情に詳しいとする人は、オンライン上で「この2人は長年家庭教会で活動し、教会資産をめぐる対立や宗教的シンボルの撤去への抵抗など、以前から当局との紛争に関わってきた」と説明している。

現地取材とネット上の証言によれば、12月の”作戦”は国家宗教政策の実施を巡り、地元キリスト教徒と当局の間に数か月続いた緊張状態に端を発したもの。

住民たちは、「教会への国家シンボル設置や、政治教育キャンペーン実施を巡る対立」と説明した。複数の関係者が2025年6月の事件-地元当局者が早朝にキリスト教集会場所に侵入し、旗竿を設置したこと—で、不信感が強まったと伝えられている。

こうした対立は、より広範な紛争を背景に発生している。過去10年間、Yayangの町のキリスト教徒の団体は教会建物からの十字架撤去運動を巡り幾度も衝突しており、関係者は、「彼らの集団的組織化が、今回の警察の行動の一因になっている」と指摘している。

 12月18日、大半の拘束が実施された後、地元当局は「犯罪活動に対する動員集会」と称する”公開会議”を開いた。武装警察が立ち会い、当局者は「公共の安全」を強調する演説を行った。拘束された個人や告発を裏付ける証拠に関する詳細な情報は提供されなかった。この”会議”は、宗教団体に対する標的型の行動ではなく、より広範なキャンペーンの一環として作戦を位置付ける意図があったように受け取られている。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

*Bitter Winter(https://jp.bitterwinter.org )は、中国における信教の自由 と人権 について報道するオンライン・メディアとして2018年5月に創刊。イタリアのトリノを拠点とする新興宗教研究センター(CESNUR)が、毎日4か国語でニュースを発信中。世界各国の研究者、ジャーナリスト、人権活動家が連携し、中国における、あらゆる宗教に対する迫害に関するニュース、公的文書、証言を公表し、弱者の声を伝えている。中国全土の数百人の記者ネットワークにより生の声を届け, 中国の現状や、宗教の状況を毎日報告しており、多くの場合、他では目にしないような写真や動画も送信している。中国で迫害を受けている宗教的マイノリティや宗教団体から直接報告を受けることもある。編集長のマッシモ・イントロヴィーニャ(Massimo Introvigne)は教皇庁立グレゴリアン大学で学んだ宗教研究で著名な学者。ー「カトリック・あい」はBitterWinterの承認を受けて記事を転載します。

 

2025年12月23日

改・カトリック教徒の香港民主派メディア王に、国家安全維持法違反の有罪判決、教会からはコメントなし

(2025.12.15  Crux   Kanis LeungAssociated Press)

 ジミー・ライ氏の”香港国家安全維持法裁判”の判決を待つ人々(2025.12.15、香港・西九龍裁判所前で=写真提供:チャ・ロンヘイ/AP)Former Hong Kong pro-democracy media mogul Jimmy Lai, a Catholic, convicted in landmark national security trial

 香港発—中国政府への批判を続けた元香港メディアの大物で民主派のジミー・ライ氏が15日、香港・西九龍裁判所から香港国家安全維持法違反で有罪判決を受けた。量刑はこれから決められるが終身刑となる可能性もある。

 判決を聞いたライ氏は唇を噛み締め、家族に向かってうなずいた後、警備員に法廷から連れ出された。ライ氏の妻と息子、そして香港カトリック教会の元教区長、陳日君(ジョセフ・ゼン)枢機卿が傍聴席から見守ったが、”現役”の香港教区長、スティーブン周枢機卿らの姿はなかった。

(「カトリック・あい」追加=国際人権団体は今回の判決を強く非難、米英の首脳も重大な関心を示している。17日付けの読売新聞朝刊によると、トランプ米大統領は「非常に残念だ」と述べ、習・中国主席に釈放を要請していたことを明らかにし、ルビオ国務長官も声明で「言論の自由を守ろうとする人々を沈黙させるために法律を使っている」と強く非難、「人道的見地から触法を強く求める」と述べた。だが、教区開設80周年を祝う行事を続けている香港のカトリック教会からは何のコメントも出されていない。)

 今回の判決は、中国政府・共産党の外交関係にとっても試練となる。ドナルド・トランプ米大統領は、この件について中国に対して問題提起したことを明らかにし、キア・スターマー英首相は、「英国籍のライ氏の釈放を確実にすることを英政府の優先課題としている」と述べた。

 15日の判決で、香港政府が選任した3人の裁判官は、78歳のカトリック信者であるライ氏に対し、「外国勢力と結託して国家安全を脅かし、反逆的な記事の出版を謀議するという、香港国家安全維持法違反行為をした」として、検察側の主張を全面的に認め、有罪を言い渡した。ライ氏は、検察側の主張する全ての罪状について無罪を主張していた。

 ライ氏は2020年8月、2019年の大規模な反政府デモを受けて中国政府が制定した香港国家安全維持法に違反したとして逮捕された。5年間の拘禁期間の大半を独房で過ごしたライ氏は、既に複数の軽微な罪で有罪判決を受けており、15日、出廷した際、衰弱し痩せ細った様子が見られた。

 陪審員なしで行われたライ氏の裁判は、1997年に中国に返還された旧英国植民地における報道の自由と司法の独立のバロメーターとして、米国、英国、欧州連合(EU)、政治オブザーバーらから注視されていた。

裁判長はライ氏が「長年、北京に対する陰謀を企てていた」と述べた

 855ページに及ぶ判決文を読み上げたトー・エスター裁判官は、ライ氏が「香港市民を支援する」という口実で、中国政府打倒を米国に「絶えず要請」していた、と指摘した。

 ライ氏の弁護団は裁判で、香港国家安全維持法施行前には(外国の関係者たちに)制裁を求めたが、法順守のため要求を取り下げている(ので法違反には当たらない)、と主張していたが、裁判長は、ライ氏が中国共産党政権を不安定化させる意図を「より控えめな形で継続した」と、これを退けた。

 さらに、ライ氏が「陰謀の首謀者であること、また本人の証言が時に矛盾し信頼性に欠けること」を認定したとし、「証拠から合理的に推測できる唯一の結論は、国家安全維持法施行の前後を問わず、本人の唯一の意図は、中国と香港の人々を犠牲にしてでも、与党である共産党の転覆を図ることだった…これが陰謀と分離主義的な出版物の究極の目的だった」と断定した。

ライ氏は終身刑の可能性も

 現在は廃刊となった民主化支持紙「アップル・デイリー」の創業者であるライ氏の量刑は、後日、言い渡されるとされているが、共謀罪の最高刑は終身刑だ。ライ氏の減刑を求める公判は、新年の来月12日に開始かれる予定とされている。香港政府と中国政府を厳しく批判していた「アップル・デイリー」は、警察が編集部を捜索し、上級記者らを逮捕、当局が資産を凍結したため、2021年に閉鎖、廃刊を余儀なくされた。

 156日間にわたるライ氏の裁判で、検察側は、ライ氏が「アップル・デイリー」の上級幹部らと共謀し、外国勢力に香港や中国に対する制裁や封鎖、その他の敵対的活動を要請した、と非難。さらに、2019年7月の抗議活動最盛期に同氏がマイク・ペンス前米副大統領やマイク・ポンペオ前国務長官と会談した事実を挙げ、ライ氏が実際にこうした要請を行った、と主張した。また、「アップル・デイリー」の記事を含む161点の出版物や、ソーシャルメディアの投稿、テキストメッセージを証拠として法廷に提出した。

 これに対して、ライ氏は52日間にわたり、これに反論する証言を続け、2020年6月に国家安全維持法が施行された後は外国に(香港や中国に対する)制裁を求めていない、したがって同法に違反した事実はない、と主張した。また、ライ氏の弁護団は表現の自由(を侵すような検察側の主張は認められない)と主張した。

長期裁判で懸念される健康状態

 裁判が進むにつれ、ライの健康状態は悪化しているようだ。8月には、ライ氏の弁護団が法廷で、彼が動悸を訴えている、と述べた。15日の判決後、パン・ロバート弁護士は、「弁護団は、判決文の内容を精査しているが、ライ氏の精神状態は良好だ」と説明。判決前、娘のクレア氏はAP通信に対し、「父は衰弱しており、爪や歯が抜け落ちている… 数か月にわたって感染症に苦しみ、慢性的な腰痛、糖尿病、心臓疾患、高血圧にも悩まされています。精神的には頑強ですが、体は衰えている」と訴えた。

 香港政府は、ライ氏が心臓の問題を訴えたのを受けた健康診断で「異常は見つからなかった」と発表。今月に入り、「ライ氏に提供された医療サービスは適切だった」と付け加えた。また、香港警察の国家保安部、リー・スティーブ警視長は、ライ氏の健康悪化に関する情報を否定した。

 判決後、香港政府のリー・ジョン行政長官は、ライ氏が「国家の根本的利益を損なった。その意図は悪質だ」と改めて批判し、スティーブ警視長も「ライ氏の有罪判決は正義が実現した証しだ」と言明。北京では中国外務省の郭家驊報道官が、「特定の国々」による「香港司法への誹謗中傷に中国が断固反対する。香港の法制度を尊重すべきだ」と批判した。

 15日の夜明け前、数十人の住民が法廷席を確保するため裁判所外に列を作った。元アップルデイリー社員の張(タン)氏は「午前5時にここに来ました。ライ氏の健康状態に関する報道を受けてその様子を知りたいと思った」とし、「判決日は、先週金曜日に発表されたばかり。裁判所が手続きが急いでいる、と感じる。少なくともこの事件は、間もなく終結するでしょう」と述べた。

 国際メディア監視団体「国境なき記者団」やアムネスティ・インターナショナルを含む人権団体は、15日の有罪判決を批判。「国境なき記者団」のティボー・ブルタン事務局長は「裁判にかけられたのは個人ではなく、報道の自由そのものだ。この判決によって、それは粉砕された」と強く非難した。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。
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2025年12月16日

・中国が自国の法律で台湾の国会議員を犯罪者に―民主主義の正当性を否定(Bitter Winter )

(2025.12.11 Bitter Winter    )

 中国当局がこのほど、台湾の立法委員(国会議員)、沈保陽氏に対する捜査を開始したとする発表は、共産党政権が国境を越えて異論を弾圧するため、国内法制度を国際的な”武器”として活用する意思を浮き彫りにしている。実際の捜査は、中央直轄の重慶市公安局によるもので、”台湾独立分離主義者”を対象にした新たな国内規制を域外で適用する初のケースだ。”有罪”となれば、終身刑や死刑に相当する厳しい刑罰が科される。

 中華民国立法院(一院制議会)の現職議員で民主進歩党所属の沈氏は、台湾の非営利市民防衛・安全保障教育団体「クマアカデミー(Kuma Academy)」の共同創設者でもある。同団体は偽情報とハイブリッド戦争への対策として、市民向けに様々なテーマの訓練を提供している。沈氏は、台湾の民主制度—独自の憲法、司法、市民的自由を有する制度—の枠内で活動している。

 にもかかわらず、中国当局は、彼を自国の法律の対象として扱うことで、自らの権限が台湾海峡を越え、自らが統治しない領域にまで及ぶと主張している。これは中国による台湾への政治的戦争を急激にエスカレートさせるものであり、中国政府・共産党への批判や学術活動、市民教育を、拡大解釈した「国家安全保障」の名の下に”犯罪行為”と再定義する動きだ。

 中国による沈氏への追及は、国内法執行と地政学的強制の境界線を曖昧にすることを目的とした法的威嚇のパターンに沿っている。このため、国際人権団体、Human Rights Watchは声明で、この動きを「基本的人権の明白な侵害」と断じている。こうした反応は、中国共産党が海外での言論を監視するために裁判所や警察を利用することに対する、国際世論の懸念の高まりを反映している。

 沈氏の容疑はクマ・アカデミーでの活動に起因しており、この問題は台湾が中国の影響工作にますます脆弱になっている状況と直接結びついている。中国政府・共産党にとって、こうした動きは「台湾島は自国領土の一部だ」とする「一つの中国原則」への思想的反対を意味する。したがって、沈氏の市民活動は「分離主義活動」と再定義され、中国当局はクマ・アカデミーを「台湾独立分離主義組織」と決めつけた。

 こうした捜査手法は、中国政府・共産党が単発的な制裁や威嚇的発言に頼るのではなく、”正式”な司法措置を通じて弾圧を制度化している実態を示す点で重大だ。法的に規定することで、台湾人に対する域外捜査を常態化させ、単発的な政治的報復ではなく国家政策の手段として位置付けようとしている。

 近年、複数の台湾市民が沈氏と同様の容疑で中国本土で厳しい判決を受けている。2024年8月、活動家の楊志遠氏が「分離主義」の罪で懲役9年の判決を受けた。そのわずか数か月後、2025年2月には、台北に拠点を置き中国の政治に関する書籍を出版していた出版社経営者の李彦和氏が「分裂扇動罪」で3年の刑を宣告された。両者とも中国本土を旅行中に拘束されており、台湾人が本土に足を踏み入れる際のリスクを如実に示している。

 この二件と比べて沈氏の事件が特異なのは、中国の国内法が純粋に域外適用された点だ。楊氏や李氏と異なり、沈氏は中国本土に足を踏み入れたことがない。にもかかわらず、中国の検察当局は中華民国国(台湾)における彼の政治的・市民的活動に対して管轄権を主張している。法律専門家によれば、このような行為は、国際規範に違反し、主権的管轄権の境界を侵食するものだ。だが、中国政府・共産党の論理によれば、台湾の政治家、活動家、一般有権者であれ、台湾の民主主義を支持する発言をした者は理論上、中国法に基づく刑事訴追の対象となり得る。

 中国当局が刑事法規を海峡両岸の威嚇手段として用いるのは、法廷戦術(法制度を政治的目的達成に利用する戦略)という広範な戦略の一環だ。独立性を欠くと長年批判されてきた中国共産党の司法機構は、今や国家のプロパガンダと強制の延長として機能している。この文脈において「分離主義」は、「刑事訴追」というより「政治的レッテル」として機能し、体制が異議や国民的アイデンティティを「犯罪行為」と分類することを可能にするものだ。

 中国の最新の司法ガイドラインは象徴的脅威を超えている。資産凍結、家族制裁、渡航禁止を認可し、処罰を「頑固な台湾独立分子」と指定された者の親族や関係者にまで拡大している。申氏の父親の事業は、息子が制裁リストに載った後に標的とされた、と報じられており、報復の集団的性質を浮き彫りにしている。これは連座制による罪が相手に「恐怖」を与えることで、服従を強制する権威主義(専制独裁主義)的慣行を想起させる戦術だ。

 中国共産党の意図は明白である。台湾の合法的な民主的機関への参加さえもが厳しい報復を招きうることを示すことで、中華民国内の政治的多様性を阻害することだ。クマアカデミーのような市民団体への関与を犯罪化することで、台湾のアイデンティティ表現の全てが「自分たちの手の届く範囲にあること」を示している。

 台湾の2300万人の市民にとって、シェン氏への捜査は冷酷な警告だ。北京の「国家統一」概念が、いかなる管轄権・主権・個人の権利の概念をも凌駕することを示唆している。

 いわゆる分離主義者への弾圧は、香港における国家安全保障弾圧と類似している。香港では、広範な法律に基づき、平和的な政治活動を行った地元活動家やジャーナリストが起訴された。かつて特別な地位にあった香港では、包括的な安全保障法の導入―2020年6月30日の国家安全法と2024年3月23日の国家安全保障条例―により、市民社会は事実上解体された。台湾は今、遠隔からの同様の強制モデルに巻き込まれる脅威に直面している。

 中国の法律の適用範囲を中華民国(台湾)の個人にまで拡大することで、北京は実質的に「自治を犯罪化」している。台湾の民主主義システム全体―立法府、政党、市民団体―は、中華民国が中華人民共和国とは別個の存在であるという前提に立っている。その区別を違法扱いすることは、台湾の民主主義そのものを違法と宣言することに他ならない。その影響は法的象徴性を超え、公的生活に携わる者たちに絶え間ない監視と不安の雰囲気を生み出し、北京による台湾への心理戦を強化する。

 非本土市民に対する権限行使は、国際法上の管轄権の越境という重大な問題を提起する。法学者らは、「刑法は通常、国家の領域内または海外の自国民に適用される」とし、こうした戦術が「越境抑圧」という広範なパターンの一部だ、と強調する。独裁国家が批判者を黙らせるため、強制手段を国境を越えて拡大する現象だ。

 共産党政権による域外管轄権の行使は、ウイグル活動家、亡命香港活動家、海外華人反体制派をめぐる事例ですでに非難を浴びている。今回、台湾の政治家がこの枠組みに組み込まれたことは、北京の法的戦争が如何に世界的かつ体系的になったかを浮き彫りにする。さらに、これらの行動の影響は個別の事例をはるかに超える。軍事演習や外交的孤立化キャンペーンで既に緊張している両岸関係を不安定化させる恐れがある。

 台湾の民選代表を中国の法律で犯罪者として扱うことで、中国政府・共産党は事実上、台湾島の民主的政府の正当性を否定している。この姿勢は対立のリスクを高めると同時に、対話の展望を損なっている。プーマ・シェンに対する捜査は単なる国内法問題ではない。台湾の自治そのものを問う権威の政治的宣言だ。「分離主義」法を管轄外の個人に適用することで、台湾の民主主義を単なる政治的ライバルではなく、「自らの支配に対する存亡の脅威」と見なしていることを示している。

 そのメッセージは明白だ。台湾の民主的プロセスへの参加、国民的アイデンティティの表明、市民教育の提唱—これら全てが「中国に対する犯罪」と見なすことができる、ということだ。民主主義国家の市民を追及するために法制度を武器化することで、中国政府・共産党は”越境抑圧戦術”を深化させ、専制独裁主義的支配の限界を再定義している。起訴状一枚一枚が、その証左である。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

*Bitter Winter(https://jp.bitterwinter.org )は、中国における信教の自由 と人権 について報道するオンライン・メディアとして2018年5月に創刊。イタリアのトリノを拠点とする新興宗教研究センター(CESNUR)が、毎日4か国語でニュースを発信中。世界各国の研究者、ジャーナリスト、人権活動家が連携し、中国における、あらゆる宗教に対する迫害に関するニュース、公的文書、証言を公表し、弱者の声を伝えている。中国全土の数百人の記者ネットワークにより生の声を届け, 中国の現状や、宗教の状況を毎日報告しており、多くの場合、他では目にしないような写真や動画も送信している。中国で迫害を受けている宗教的マイノリティや宗教団体から直接報告を受けることもある。編集長のマッシモ・イントロヴィーニャ(Massimo Introvigne)は教皇庁立グレゴリアン大学で学んだ宗教研究で著名な学者。ー「カトリック・あい」はBitterWinterの承認を受けて記事を転載します。

2025年12月13日

・中国当局、チベット仏教の指導者で教育者ドルジェ・テンジンを拘束、学校を閉鎖(Bitter Winter)

(2025.12.10 Bitter Winter  /News China)

 チベットの宗教とアイデンティティを消し去ろうとする中国当局が4日、中国青海省のゴロクチベット族自治州にある数少ない独立したチベット語学校の責任者を拘束、学校を閉鎖に追い込んだ。

(写真は、チョグル・ドルジェ・テンジン=出典:Voice of  Tibet)

 当局が拘束したのは、高名なチベット仏教僧侶で教育者、同自治州ミンタンのオセル・テチョク・リン寺とミンタン民族職業学校の責任者であるチョグル・ドルジェ・テンジン師。

 1967年ミンタン生まれのドルジェ・テンジン師は、第7代チョジェ・ダンパ・イェシン・ノルブ法王をはじめとする著名な高僧たちから仏教哲学を学び、セルタールのラルン・ガル五科学仏教学院でケンポ(仏教学博士)の称号を取得し、仏教教義の三蔵を専門とした。宗教指導者と教育者という二重の役割から、文化保存の強力な擁護者であり、中国政府・共産党が排除しようとしているタイプの人物だ。

 独立系放送局チベットの声(VoT)によれば、逮捕は透明性なく行われた。警察、秘密警察、国家安全保障局のいずれが関与したかは不明であり、公式な説明もなされていない。師の現在の所在は明らかにされていない。

 ドルジェ・テンジン師が設立した学校は地域で唯一無二の存在だった。2007年にゴロク地区人民政府の正式認可を得て設立されたミンタン民族職業学校は2010年に開校し、チベット語教育と職業訓練を組み合わせた珍しいカリキュラムを提供していた。生徒たちはチベット語と中国語、数学、英語、書道、政治、体育に加え、チベット医学、裁縫、タンカ絵画、歌と踊り、観光ガイドといった専門科目を学んだ。2015年から2018年にかけ、同校は文化・職業訓練の拠点として認知されるようになった。

 しかしチベット文化と言語を重視する姿勢は、北京の同化政策と対立するものとなり、当局は以前から独立したチベット系学校を警戒しており、特にチベットの子どもを家族から引き離し、中国語のみの教育に浸らせる強制寄宿学校を推進する中でその傾向は強まった。ドルジェ・テンジン師が拘束された後、生徒は帰宅を命じられ、学校は閉鎖を余儀なくされた。当局は生徒に対し政府運営の教育機関への転校を圧迫している。

 ドルジェ・テンジン師拘束は孤立した事件ではなく、より広範な動きの一部だ。中国当局は「発展」や「安全」を名目に、チベット語学校を体系的に解体し、僧院を閉鎖し、文化指導者を犯罪者扱いしてきた。ミンタン学校の閉鎖はチベット全域で繰り返される弾圧を反映しており、教育は文化抹殺との闘いの最前線となっている。

 チベットの子どもたちを国営寄宿学校へ強制的に送り込むことで、北京は次世代が自らの言語、伝統、宗教的遺産から疎外されたまま成長することを保証している。ドルジェ・テンジンのような教育者の拘束は明確なメッセージを発している。国家の管理外でチベットのアイデンティティを守ろうとする試みは、いかなるものであれ罰せられるというのだ。

 ドルジェ・テンジン師の拘束は、中国によるチベット仏教徒への継続的な弾圧を象徴している。彼の学校はゴロクにおける文化的生存の命綱だった。その閉鎖と彼の拘束は、チベット人を同化させ、その独自のアイデンティティを消し去ろうとする北京の執拗なキャンペーンにおける新たな一歩を記すものだ。

 

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

*Bitter Winter(https://jp.bitterwinter.org )は、中国における信教の自由 と人権 について報道するオンライン・メディアとして2018年5月に創刊。イタリアのトリノを拠点とする新興宗教研究センター(CESNUR)が、毎日4か国語でニュースを発信中。世界各国の研究者、ジャーナリスト、人権活動家が連携し、中国における、あらゆる宗教に対する迫害に関するニュース、公的文書、証言を公表し、弱者の声を伝えている。中国全土の数百人の記者ネットワークにより生の声を届け, 中国の現状や、宗教の状況を毎日報告しており、多くの場合、他では目にしないような写真や動画も送信している。中国で迫害を受けている宗教的マイノリティや宗教団体から直接報告を受けることもある。編集長のマッシモ・イントロヴィーニャ(Massimo Introvigne)は教皇庁立グレゴリアン大学で学んだ宗教研究で著名な学者。ー「カトリック・あい」はBitterWinterの承認を受けて記事を転載します。

2025年12月11日

・中国で教区司教の交替実施、前任は名誉司教ーバチカンは「中国当局の共同の歩みの一歩」と評価したが…

(2025.12.6 Vatican News)

 中国で5日、フランシスコ李建林師の司教叙階式が行われた。李師の司教叙階は、今年8月11日に、教皇レオ14世がバチカンと中国の司教任命に関する暫定合意に従って、新郷教区(中国河南省)の司教の候補資格を承認、前任のヨゼフ張偉柱司教の辞表を受理した後に実施されたものである。

 バチカンの報道局長は6日声明を発表し、退任した張司教が名誉司教としての尊厳が認められた、との現地からの報に満足の意が表明された。この措置はバチカンと中国当局との対話の結果であり、教区組織の共同歩みにおける新たな重要な一歩を象徴するものだ」と評価した。

 

 

中国カトリック教会の公式サイトは、新司教叙階の教皇の承認も、前任の「名誉司教」にも触れず

(2025.12.6 カトリック・あい)

 

 一方、中国のカトリック教会公式サイト(中国政府・共産党が承認)の「中国天主教」は5日から6日にかけて、このことを報じたが、司教叙階についてはバチカンと中国政府の暫定合意により、教皇と中国側の承認が必要だが、教皇の承認については、いっさい触れず、「中国カトリック司教団の承認」のみが示されている。また、張司教については、「河南省カトリック教区の同意と中国カトリック司教会議の承認を得て、カトリック新郷教区は張衛珠司教の退任式を挙行した」とのみ報じ、「名誉司教」については触れていない。

 具体的な報道の内容は全文以下の通り。

 5日付けで、「5日、カトリック新郷教区の李建林司教の叙階式が河南省新郷市衛輝市南門里カトリック教会で行われた。祝聖式典は、中国カトリック愛国協会主席、中国カトリック司教団副主席、北京教区の李山主教が主礼を務め、鄭州教区の王躍勝主教、安陽教区の張銀林主教、南陽教区の靳禄崗主教が補祭を務めた。中国カトリック司教団事務局長の楊宇神父が司教団の承認書を朗読した。河南省内の20人以上の神父、修道女、修道士、信徒代表など200名以上が叙階式に参加した」と伝えた。

また、6日付けで、「河南省カトリック教区の同意と中国カトリック司教会議の承認を得て、カトリック新郷教区は張衛珠司教の退任式を挙行した。式典は、焦作市カトリック教区事務委員会の呉永恒事務総長神父が主宰。中国カトリック司教会議の楊宇事務総長神父が、中国カトリック司教会議の承認文書を読み上げた。張衛竹退任司教は、愛国心とカトリックへの献身を表明し、教会の独立自治の原則を堅持し、わが国のカトリックの中国化の方向を堅持し、現代社会主義国家の全面的建設と中華民族の偉大な復興の全面的推進に貢献するとの決意を表明した。河南省カトリック教区副主席兼事務総長である新郷教区の李建林司教も演説を行った。式典には、中国天主教愛国協会とその代表団、河南天主教愛国協会とその支部の代表、新郷教区のすべての司祭、修道女、教区民を含む20人以上が出席した」としている。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2025年12月7日

・AIで、国内で異論が表面化する前に潰す、海外へ中国の”物語”を効果的に宣伝ー中国共産党が”デジタル統制”の新段階へ移行(Bitter Winter)

Xi Jinping speaks at the 23rd collective study session. Screenshot.

( 2025.12.5 Bitter Winter  胡子墨)

(Xi Jinping speaks at the 23rd collective study session. Screenshot.)

 中国共産党中央政治局が11月28日、第23回集団学習会を開催した。表向きは「インターネット生態系のガバナンス強化」について議論したことになっており、CCTV(中国中央テレビ)が報じた公式発表も、「秩序」「指導」「国際協力」といったおなじみの専門用語で表現されてた。

 だが、この官僚的な表現の下には、冷徹な指令が潜んでいる。党はAI(人工知能)を”フロンティア産業”から習体制存続のための「基盤条件」へと格上げしたのだ。中国のサイバー弾圧を分析するインドの専門家、マノジ・ケワルラマニ氏は習近平・中国共産党主席のこの学習会での演説を「極めて重要」と評している。

 28日の学習会では、習主席が、中国におけるデジタル独裁主義の次段階に向けた包括的戦略を明らかにした。AIは「監視ツール」かつ「プロパガンダ増幅装置」として統治に組み込まれる。

 習主席は、「オンライン環境の統治は、国家の発展・安全保障及び人民の核心的利益に関わる『サイバー強国』建設における重要任務」と強調。先見性・精密性・体系性・協調性を備えた統治メカニズムの改善を強く指示した。この表現は「事後対応型検閲」から「予測制御」への転換を示唆したものだ。AIには、党幹部たちが「世論をより深く理解する」ことを可能にし、異論が表面化する前に予測する役割が明示的に課せられている。

 党は「機先を制する抑圧」のための体制を構築しようとしているのだ。国家インターネット情報弁公室と治安機関には、キーワードのフィルタリングだけでなく、人々の感情の傾向をマッピングし、「危険因子」を特定し、抗議行動へ転化する前に”中和”する「AI駆動型の監視体制」の整備を加速することが期待されている。

 習氏の「利益の連鎖を断つ」という呼びかけも新たな試みだ。党指導部は現在、「インターネット上の混乱」―噂、”センセーショナル”な報道、反体制的意見―を「イデオロギー型」ではなく「利益追求型」と位置付け、「利益の連鎖」を「産業チェーン」と同一視することで、デジタルコンテンツの経済的基盤への取り締まりを表明している。「インフルエンサー管理」や「トラフィック最適化」を担うMCN(マルチチャンネル・ネットワーク)は、より厳格な指導が必要、と明示的に指摘された。

 政治的正しさよりも繋がりを優先するプラットフォーム・アルゴリズムは、「不安定化の要因」と見なされている。党が標的としているのは個人だけでなく、注目度から利益を得る「企業収益化」という生態系全体であり、バイラル性(情報やコンテンツがウイルスのように人から人へ、SNSなどを介して爆発的かつ急速に拡散していく)のビジネスモデルを事実上犯罪化している。

 この方針は「政治的・経済的統制の融合」を体現しており、オンライン上の独立した声を支える利益誘導の仕組みを解体するものだ。

 中国政法大学の石建中教授は党中央政治局会議の模様を報告した。同教授の報告は、党が「抑圧」を「学術的正当性の衣で覆い隠す手法」浮き彫りにした。インターネット統治を法制度の精緻化問題と位置付けることで、自らの指令を権威主義的ではなく技術官僚的なものとして提示しているのだ。

 習氏は国際サイバー空間に関する発言で、学習会での演説を締めくくった。

 中国は「国際ルール策定に積極的に参加し、各国と手を携えてサイバー犯罪と闘い、サイバー空間における運命共同体の構築を推進すべきだ」と訴えたが、真の重点は「中国の”物語”を効果的に発信すること」に置かれていた。「グローバルなコミュニケーションプラットフォームを構築する能力を強化するように」と促し、インターネットを活用して中国の声を世界に広め、「信頼でき、愛され、尊敬されるイメージ」を投影すべきだ、と強調した。実際には、国内ではAIを活用して異論を抑圧し、国際的にはプロパガンダを増幅させていくのだ。

 今回の学習会は、党のデジタル統制へのアプローチが明確に進化したことを示している。党は規制を超えて、AIを統治に全面的に統合する段階へと移行している。これは「予測型検閲」、「アルゴリズムによる抑圧」、「利益追求型エコシステムの解体」、そして「海外へのプロパガンダ拡大」を意味します。

 中国国内の人々にとって、このメッセージは明白だ。「異論は沈黙させられるだけでなく、息づく前に予測され、消し去られる」のだ。

 

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

*Bitter Winter(https://jp.bitterwinter.org )は、中国における信教の自由 と人権 について報道するオンライン・メディアとして2018年5月に創刊。イタリアのトリノを拠点とする新興宗教研究センター(CESNUR)が、毎日4か国語でニュースを発信中。世界各国の研究者、ジャーナリスト、人権活動家が連携し、中国における、あらゆる宗教に対する迫害に関するニュース、公的文書、証言を公表し、弱者の声を伝えている。中国全土の数百人の記者ネットワークにより生の声を届け, 中国の現状や、宗教の状況を毎日報告しており、多くの場合、他では目にしないような写真や動画も送信している。中国で迫害を受けている宗教的マイノリティや宗教団体から直接報告を受けることもある。編集長のマッシモ・イントロヴィーニャ(Massimo Introvigne)は教皇庁立グレゴリアン大学で学んだ宗教研究で著名な学者。ー「カトリック・あい」はBitterWinterの承認を受けて記事を転載します。
2025年12月7日

・中国人キリスト教徒が訴える「共産党支配下では宗教的自由は存在しない」(Bitter Winter)

(2025.12.4  Bitter Winter  )

The Constitution of the People’s Republic of China. From X.

(写真右:中華人民共和国憲法。Xより)

中国における「信仰の自由」の二面性:憲法上の約束と現実の迫害

 中国では、宗教の自由はしばしば調和のとれた理想として描かれる。中国憲法第36条は明示的に「国民は宗教信仰の自由を有する」と規定している。

 しかしこの条項の直後に「国家は正常な宗教活動を保護する」との但し書きが続く。「正常」という言葉は政府が振るう両刃の剣となり、何が合法で何が違法かを恣意的に定義する手段となっている。

 近年では、家庭教会から「邪教」とレッテルを貼られた集団に至るまで、純粋な信仰を追求する無数の信者が監視、逮捕、投獄に直面している。これは単なる信仰の違いの問題ではなく、権力による魂の操作である。

 歴史を振り返ると、中国の宗教情勢は1949年以降劇的な変化を遂げた。海外の宣教団体や現地のキリスト教組織によって設立されたキリスト教団体は、従来これらの団体や現地信者によって自律的に運営されていた。

 しかしこれらは国際的つながりを強制的に断ち切られ、国が設立した中国キリスト教協会と中国キリスト教愛国運動委員会の統一管理下に置かれた。この「三自」運動に属さない教会は違法とされ、文化大革命期には完全に禁止された。教会は破壊または転用され、信徒は地下に潜ることを余儀なくされた。

 改革開放後、宗教活動は徐々に許可されるようになったが、家庭教会は法的なグレーゾーンに留まり、頻繁に弾圧に直面した。プロテスタント、仏教、道教、イスラム教、カトリックの公式に認められた五つの宗教は、それぞれ対応する国家管理の協会に加盟し、国家の監督下に置かれなければならない。

 登録されていない集会、例えば賃貸アパートでの礼拝や祈り・聖書勉強会は、最悪の場合、解散させられるだけでなく、罰金、拘留、さらには投獄のリスクがある。

 2018年の「宗教事務条例」改正により規制はさらに強化され、全ての宗教活動は当局が認可した場所に限定され、学校・地域・オンラインプラットフォームでの

 普及が禁止された。多くの家庭教会のウェイボーアカウント、WeChatグループ、SNSアカウントが閉鎖され、街頭伝道や公園での説教も禁止されている。より政治的な意味合いを持つのが「宗教の中国化」政策だ。これは信仰を社会主義的価値観に結びつけるもので、教会は国旗を掲揚し、革命歌を歌い、指導者の肖像を掲示し、牧師には説教で公式演説を引用することさえ要求される。

(写真下:北京にある三自教会系の広済キリスト教会)

The Three-Self-affiliated Kuangjie Christian Church in Beijing. Credits.

 山東省、浙江省、安徽省などでは数百の教会の十字架が撤去された。当局はこれを「違法建築物の是正」と呼んだが、信者たちは信仰の強制的な再教育と認識している。

 特に懸念されるのは、政府が「邪教」を定義している点だ。これは「邪悪なカルト」と訳されることが多いが、実際には「異端の教えを広める組織」を意味する。

 中国刑法第300条によれば、組織化や「邪教を利用して法執行を妨害する」行為は刑事罰の対象となる。しかし「邪教」の基準は公安・宗教管理当局の裁量で曖昧に解釈され、「法執行妨害」とは「邪教」活動へのあらゆる関与を指す。

 典型的には、未登録団体、「歪曲された」教義、緊密な組織構造、あるいは「公共秩序の撹乱」の疑いが該当する。2025年現在、公安部門は活動中の邪教団体を公にリスト化しており、法輪功全能神教会叫びの教会地方教会)などが含まれる。

 これらの団体は海外では合法的に登録されている場合が多い。例えば地方教会は北米と台湾に公式の支部を持つが、中国国内では「脅威」と見なされる。信者は聖書を読む集まりに参加しただけで、取り調べ、自白の強要、逮捕、判決に直面する可能性がある。全能神教会は米国や欧州で自由に資料や映像を出版しているが、中国の信者は頻繁に逮捕されている。

 最近の出来事は迫害の組織性をさらに浮き彫りにしている。2025年10月9日、当局は北京シオン教会を標的とした一斉摘発を実施し、北京・上海・山東など各地で信者を逮捕した。シオン教会創設者の金明里牧師と協力者は広西チワン族自治区北海市で拘束され、教会設備は没収された。本稿執筆時点で約23名の信徒が拘束されたままである。

 2007年に設立されたシオン教会は、政治的干渉を受けずに信者が自由に神を礼拝できる環境づくりに尽力してきた。2018年、北京当局は突然シオン教会を閉鎖し、財産を没収、数百人の信者を脅迫と迫害に晒した。金牧師も7年間中国出国を禁止され、米国にいる家族と引き離された。

 それにもかかわらず、同教会は2018年の1,500人の会員から、現在では10,000人以上に成長し、40都市に100以上の集会場所を持つまでになった。この作戦は、China Aid協会の創設者であるボブ・フー牧師によって、「40年間における、中国の都市部の独立家庭教会に対する最大の計画的迫害」と評されている。

 国際社会はこうした行動を強く非難している。マルコ・ルビオ米国務長官は指導者の釈放と宗教の自由の保証を求め、マイク・ペンス前副大統領も公に支持を表明した。対照的に、米国憲法は宗教の自由を保護しており、信者は監視や逮捕を恐れる必要がない。しかし、中国では信仰がリスクとなっている。党に従わないと自由を奪われる可能性があるのだ。

 我々は、こうした沈黙の犠牲者たちに世界が注目するよう強く求める。宗教の自由は、紙の上の空虚な約束ではなく、信者が安全に行使できる権利でなければならない。こうした迫害を止めるには、継続的な情報公開によってのみ可能となる。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

2025年12月6日

・中国政府が米国との取引材料に使うレア・アースの大半は、彼らが弾圧するウイグル人の故郷にある(Bitter Winter)

 

 中国がウイグル族に対するジェノサイドを実行しているのは、レアアースなどの戦略資源を恒久的に掌握するためだ、とウイグル人ジャーナリストが米国政府に訴える。

(写真右:新疆レアメタル国家鉱山、福源。ウェイボーより)

Xinjiang Rare Metal National Mine Park, Fuyun County. From Weibo.

 想像してみてほしい。あなたの貴重な財産が、あなたの目の前で、あなたの許可なく、二人の間で取引されている。その一人はあなたの所有物を盗んだ泥棒だ。同時に、もう一人はあなたの近所に住む著名人で、あなたが正当な所有者であることをよく知っている。どう感じるだろうか?

 当然、あなたは泥棒の厚かましさを軽蔑し、有力者の無関心に深く失望するだろう。米中両国が1週間以上にわたりレアアース資源を巡って論争を続けている間、私はまさに同じ感情を抱いていた。

 争点となっている17種の希土類金属のうち、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、イットリウム(Y)などは東トルキスタン(中国名:新疆)産だ。

 さらに重要なのは、我々の故郷が中国のグローバル経済力の主要な源泉であることだ。例えば、中国の石炭の40%、石油の22%、天然ガスの20%がここから産出されている。東トルキスタンはまた、中国の「一帯一路」構想の戦略的起点でもある。

 しかし、この土地の正当な所有者であるウイグル人に属するこれらの資源は、本人たちに何の利益ももたらさない。それどころか、災厄を招いている。中国が資源の豊かさを認識すればするほど、この地域が分離する可能性を恐れるのだ。

 過去30年間、いわゆる「反テロ」キャンペーンが波状的にこの地域を襲い、最終的には強制収容所が建設された。300万人以上のウイグル人が8年以上にわたり拘束されている——すべては我々の土地に眠る資源が原因だ。ウイグル民族は、これほどの悲劇をもたらした資源を敵の手中に残すことを望まない。だからこそ、この力を取り戻すため、長年にわたり休むことなく闘ってきた。この闘いは、民族のアイデンティティを守る形をとることが多く、時には中国の残虐な行為に力ずくで抵抗することもある。独立闘争の代償は、我々にとって非常に重い。

 我々の民は米国のような強国との協力を望み、その協力を通じて、故郷から奪われた資源の利用における将来の権利と分配について協議・交渉したいと考えている。残念ながら、米国がこれまで我々の民に提供してきた支援は人道支援に限定されている。レアアース危機は、ウイグル問題が米国にとって単なる人道問題ではなく、戦略的課題であり、パートナーシップと影響力のカードであることを改めて証明した。

 米国は中国に希土類を乞う代わりに、これらの資源の主要産出地である東トルキスタンに対する中国の植民地支配を放棄するよう圧力をかけるべきだ。ロシアやイランへの支援を控えるよう中国に助言するよりも、中国が東トルキスタンから略奪する資源を剥奪するよう取り組むべきである。国際貿易法の遵守を中国に求める前に、アメリカは進行中のウイグル人虐殺の終結を要求すべきだ。ウイグル問題は中国の弱みである。中国を抑制することは、アメリカの責任であるだけでなく、世界的な関心事でもある。中国の拡大を阻止し、不正、腐敗、独裁が世界中に広がるのを防ぎ、世界平和を守るためである。

 中国は、ウイグル人に対する虐殺を行っているが、その目的は、希土類などの戦略的資源を永続的に支配下に置き、この分野において米国に対する永遠の優位性を維持することにある。

(写真下:東トルキスタン(新疆)産の希土類鉱物。クレジット)

Rare earth minerals from East Turkestan (Ch. Xinjiang). Credits.

 プロのビジネスマンであるドナルド・トランプ大統領は、この計算ができると私は確信している。彼は中国の弱点を認識し、ウイグル問題の戦略的価値を理解することができるだろう。

 パナマ運河やグリーンランドの問題で大胆な姿勢を見せたように、ウイグル問題でも同様の勇気を見せることができると私は確信している。私はトランプ政権に対し、東トルキスタンの独立を米国の外交政策の議題に含め、ウイグル人組織と直接対話を行うよう要請する。

 シリアのウイグル武装勢力は、強い意志力、実際の作戦能力、そして最も重要なこととして、我が国の独立闘争の代表としての正当性を備えている。米国政府は早急に彼らと会談し、協力計画と要請に耳を傾けてもらいたい。

 この呼びかけは過度に「現実主義」的な政治家には魅力的に聞こえないかもしれない。しかし真実の力を信じ、歴史の正しい流れを信頼し、戦略的先見性を持つ者にとって、これは最も合理的な要請である。今日耳を貸さない者は、中国が世界を完全に支配した時、必ず後悔するだろう。

 最後に、世界の全ての政治家に申し上げる。国際貿易と政治において、盗人ではなく正当な所有者と対話することは、賢明であり、戦略的であり、道徳的であり、法にかなうのだ。

 *筆者の東トルキスタン(中国名:新疆)出身。故郷の中国化に反対する活動家。1995年、自身のジャーナリズム活動が「中国当局とのトラブル」を招いたため中国を離れ、現在はワシントンD.C.に在住。台北タイムズやグローバル・ボイスに発表される彼の評論は、進行中のウイグル人”虐殺”を強く批判し続けている。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

*Bitter Winter(https://jp.bitterwinter.org )は、中国における信教の自由 と人権 について報道するオンライン・メディアとして2018年5月に創刊。イタリアのトリノを拠点とする新興宗教研究センター(CESNUR)が、毎日4か国語でニュースを発信中。世界各国の研究者、ジャーナリスト、人権活動家が連携し、中国における、あらゆる宗教に対する迫害に関するニュース、公的文書、証言を公表し、弱者の声を伝えている。中国全土の数百人の記者ネットワークにより生の声を届け, 中国の現状や、宗教の状況を毎日報告しており、多くの場合、他では目にしないような写真や動画も送信している。中国で迫害を受けている宗教的マイノリティや宗教団体から直接報告を受けることもある。編集長のマッシモ・イントロヴィーニャ(Massimo Introvigne)は教皇庁立グレゴリアン大学で学んだ宗教研究で著名な学者。ー「カトリック・あい」はBitterWinterの承認を受けて記事を転載します。
2025年11月1日

・「世界の24か国で宗教的迫害、38か国で宗教上の差別がされ、その数は増加傾向」-国際司牧援助団体が信教の自由で報告書

Aid to the Church in Need releases its 2025 Religious Freedom in the World ReportAid to the Church in Need releases its 2025 Religious Freedom in the World Report 
2025年10月23日

・中国が「民族統一と進歩促進法」を立法へ、少数民族や宗教団体への習近平思想と社会主義的価値観の徹底狙う(BitterWinter )

(2025.10.8 Bitter Winter  胡子墨

(写真右は、中国の民族団結を訴える古い宣伝ポスター。出典:Chineseposters.net。)

An old propaganda poster on the unity of all nationalities in China. Source: Chineseposters.net.

 2025年9月、中国の全国人民代表大会常務委員会は「民族団結促進法」草案を発表した。これは共産党の「民族調和構想」を法制化する包括的立法案であり、批判派によれば強制同化に危険なほど近づいている。また、宗教団体が「国家主義的な『一つの中国』神話を強制的に普及させるべき機関」として、はっきりと示されている。

 現在パブリックコメント募集中(形だけの手続きで、実質的な意味はほとんどない)のこの法案は、「強固な中華民族共同体意識を醸成する」手段として位置づけられている。しかし、統一をうたる言葉の裏には、幼稚園から宗教団体まで、地方政府から一般企業に至るまで、思想統制の緻密な構造が潜んでいる。

 草案は全7章61条で構成され、第2条は民族団結の指針として習近平思想と「社会主義中核的価値観」を明記。「偉大な祖国」「中華民族」「中華文化」「中国共産党」「中国特色社会主義」への認識強化を要求している。「民族団結は幼稚園を含む全教育段階で教えるべきだ。学校は党の民族統一論を反映した国家認定教科書を使用しなければならない」と。

 第20条は全民族の家庭に対し、子供に民族団結の精神を教育し「中国共産党を愛する」よう教えるよう促し、事実上家庭内への思想的監視を拡大している。

 第44条は宗教団体に対し、精神的な教義を党のイデオロギーに合わせる形で、「中国化された宗教と民族団結を推進する」よう要求する。

 第60条は「宗教的過激主義」が犯罪であることを、再確認する。

 第10条は「宗教、人権その他の口実」に基づいて”民族団結”に反対する者を脅威にさらす。

 第19条は、オンラインプラットフォームを含む全てのメディアに対し、”民族の団結と進歩”を促進する義務を課す。

 第31条は、AIやビッグデータなどの現代技術を活用し、党が承認した物語を拡散するよう奨励する。

 第56条は、”民族団結”を損なう個人に対する罰則を導入し、これには「デマ」の拡散や異議表明も含まれる。

 第61条は、”民族団結”への干渉とみなされる外国人及び外国組織の起訴を認める。

Museification of ethnic minorities: a religious book of the Ersu minority on display at the Museum of Ethnic Cultures, Minzu University, Beijing. Credits.

(写真左は、少数民族の博物館化:北京民族大学民族文化博物館に展示されたエルス族の宗教書)

 国際人権団体のHuman Rights Watchは、この法律が「少数民族に対するイデオロギー的統制を強化し、平和的な表現や文化的自律性を犯罪化する危険性がある」と警告。法律の曖昧な表現が異論を封じ、少数派の声を罰するために利用されるおそれがある、と警告している。

チベットの人々の人権問題を扱うInternational Campaign for Tibet は過去に、チベット自治区における類似規制が「既にチベットの文化的・宗教的アイデンティティを侵食している」と指摘していた。

この法案の特徴は、その”包括的な野心”にあり、個人から国家への垂直統合と、分野横断的な水平浸透によって、多元主義の余地をほとんど残さないイデオロギー強制の網を構築を狙っていることだ。

「精神的な故郷の共有」や「共通の運命」への強調は、多様性が単一の物語に適合する場合にのみ許容されるという、ナショナリズム的神話構築の言語を想起させる。

家族生活(第20条)や就学前教育(第15条)への法の介入は、「疑問を持つ前に心を形成する」という”予防的戦略”を示している。民族統一を監視・促進するための現代的監視ツール(第31条)の使用は、デジタル権威主義への警鐘を鳴らす。AIが行動を追跡し、信念を強制する世界だ。

中国の「民族統一と進歩促進法」草案は、イデオロギー操作の青写真となる政策文書である。調和を謳いながらも、その仕組みは均質化を示唆している。統一の名のもとに、保護すると主張する多様性そのものを消し去る危険性をはらんでいる。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

*Bitter Winter(https://jp.bitterwinter.org )は、中国における信教の自由 と人権 について報道するオンライン・メディアとして2018年5月に創刊。イタリアのトリノを拠点とする新興宗教研究センター(CESNUR)が、毎日4か国語でニュースを発信中。世界各国の研究者、ジャーナリスト、人権活動家が連携し、中国における、あらゆる宗教に対する迫害に関するニュース、公的文書、証言を公表し、弱者の声を伝えている。中国全土の数百人の記者ネットワークにより生の声を届け, 中国の現状や、宗教の状況を毎日報告しており、多くの場合、他では目にしないような写真や動画も送信している。中国で迫害を受けている宗教的マイノリティや宗教団体から直接報告を受けることもある。編集長のマッシモ・イントロヴィーニャ(Massimo Introvigne)は教皇庁立グレゴリアン大学で学んだ宗教研究で著名な学者。ー「カトリック・あい」はBitterWinterの承認を受けて記事を転載します。
2025年10月9日