(2026.1.12 カトリック・あい)
10付けの英国のカトリック系メディア・サイトCollege of Cardinals Report がローマ発で報じたところによると、 1月7日から8日にかけてバチカンで開かれた枢機卿臨時会議での自由討議で、香港の名誉司教、陳日君・枢機卿は2023,2024年に開かれた「シノダリティ(共働性)に関するシノドス(世界代表司教会議)」を痛烈に批判。その過程を「鉄壁の操作」と断じ、聖霊への継続的な言及は「滑稽であり、冒涜に等しい」と警告した。
レオ14世教皇と集まった170人の枢機卿たちの面前で非公開で行われたこの発言で、93歳の香港名誉司教は、自分に割り当てられた3分間を使い、2021年から2024年までの3年間にわたって行われた「シノダリティに関するシノドス」の最終文書に付随するフランシスコ教皇の付記文書 について言及した。
レオ14世教皇は当初、枢機卿らに4つの議題が取り上げられると伝えていたが、会議場に着くと、枢機卿たちは、時間の制約から2つだけを選ぶよう求められた。彼らは「シノドス(世界代表司教会議)とシノダリティ(共働性)」と、(教皇フランシスコの2013年の使徒的勧告)「『福音の喜び』(Evangelii Gaudium)に照らした教会の使命」を今回の会議の議題に選んだ。
陳枢機卿の発言の核心は、「シノダリティのプロセスには、単に欠陥があっただけでなく、司教たちの『真の審議の自由と使徒の後継者としての正当な権威』が奪われる形で厳しく管理されていた」という主張。枢機卿はまた、「『霊的な言葉』が道具として使われている」と見られる点を鋭く非難し、「聖霊への絶え間ない訴えが、あたかも聖霊が教会の二千年にわたる伝統に反することを期待できるかのように、あらかじめ決められた結果を正当化するために利用された」と述べた。
さらに、「最終文書に、矛盾した地位—教導的でありながら、厳密には規範的ではなく、権威はあるが地域ごとの異なる解釈を許容する—を与えることで、このプロセスは教義上の不整合と教会の分裂を招く危険性をはらんでいる」とし、「この手法は、英国国教会の分裂を招いた道筋をたどり、正教会とのエキュメニカル対話におけるカトリックの信頼性を損なう」と警告。正教会にとって「共働性」とは常に、司教たちが一致して行動し、「イエス・キリストと共に歩む」という真の権威を意味してきたからだ、と説明した。
そして陳枢機卿は、「教皇フランシスコは『シノドス』という言葉を利用したが、パウロ6世によって設立された世界代表司教会議という制度を消滅させた」と結論づけた。
なお、臨時枢機卿会議の開幕に先立ち、陳枢機卿は教皇レオ14世による私的謁見を受けている。
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以下は、陳日君枢機卿から提供された臨時枢機卿会議における本人の発言全文。枢機卿の厚意により掲載する。
「教皇フランシスコの付随文書について」
教皇はこの最終文書によって、ここ数年(2021-2024年)に「聴取」(神の民への)と「識別」(司教団による?)を通じて発展してきたものを教会に返還する、と言われたが。
*質問:
教皇は神の民全体に耳を傾けることができたのか?
出席した一般信徒は神の民を代表していたのか?
司教団によって選出された司教たちは、必ずや「論争」と「判断」から成るはずの識別作業を遂行できたのか?
この過程の鉄壁の操作は司教たちの尊厳に対する侮辱であり、聖霊への絶え間ない言及は滑稽でほとんど冒涜的だ(彼らは聖霊からの驚きを期待している。どんな驚きか? 聖霊が教会の二千年にわたる伝統の中で霊感を与えたものを否定するということか?)。
教皇は「司教団を迂回して、直接神の民の声に耳を傾ける」と言い、これを「階層的奉仕を理解するための適切な解釈枠組み」と呼ぶのか?
教皇は、この文書が教導権 であり、「教会は文書に記された内容と整合性のある選択を行う義務を負う」と述べる。しかし同時に「厳密な規範ではない… その適用には様々な媒介が必要だ」とも述べる。「教会は、文書に含まれる権威ある提案を、それぞれの文脈で実施するよう求められている」。「教会の教えと実践の統一は確かに必要だが、それは教えのいくつかの側面を解釈する様々な方法を排除しない」。「各国や地域は、自らの文化に適合し、伝統やニーズに配慮した解決策を模索できる」。
*質問:
聖霊は、矛盾する解釈が生じないことを保証するのか(特に文書内の多くの曖昧で意図的な表現を考慮すれば)?
この「試行錯誤」(例えば「新たな奉仕形態の創造的活性化」)の結果は、シノドス事務局やローマ教皇庁の判断に委ねられるのか?これらは、各教会の異なる状況を判断する上で、司教たちよりも有能なのだろうか?
もし司教たちが自らをより有能だと考えるなら、解釈や選択の相違は、私たちの教会を英国国教会共同体に見られるのと同じ分裂(亀裂)へと導かないだろうか?
*エキュメニズムに関する見解
英国国教会共同体の劇的な分裂を踏まえ、我々はカンタベリー大主教(世界英国国教徒の約10%しか残っていない)と結ぶのか、それともグローバル・アングリカン・フューチャー会議(約80%を維持)と結ぶのか?
そして正教会とは?彼らの司教たちは決してベルゴリオ流の「シノダリティ」を受け入れない。彼らにとってシノダリティとは「司教会議の重要性」を意味する。教皇ベルゴリオはこの言葉シノド を悪用したが、パウロ6世が設立した制度である司教会議を消滅させたのである。
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なお、1月10日付けのカトリック系ウエブニュースCNAによると、枢機卿会議終了後の8日にバチカンで記者会見した バチカン報道局長と3人の枢機卿は、会議における陳枢機卿の発言について一切言及せず、公式声明では、2日間の会議中に教皇フランシスコに対する批判はなかった、とされた。ただし、記者会見に出たスティーブン・ブリズリン枢機卿は、出席した枢機卿たちの意見の「相違」を認め、「一部の枢機卿は『シノダリティ(共働性)』の概念をさらに明確化することを望んでいる」と述べている。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
*The College of Cardinals Reportは、 次の教皇選挙および将来を視野に、枢機卿団のメンバーが互いをより深く知ることを目的としたウェブサイト。運営主体は、バチカン記者のエドワード・ペンティン(著書に『次期教皇:有力枢機卿候補19人』=Sophia Institute Press=がある)と、ダイアン・モンターニャが主導するSophia Institute Press(英マンチェスター)、フランスのカトリック系雑誌Cardinals Magazine。
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