・教皇の来年元旦の世界平和メッセージのテーマ「AI(人工知能)と平和」でバチカン総合人間開発省が声明

People taking photos and videos of Pope Francis at the weekly General AudiencePeople taking photos and videos of Pope Francis at the weekly General Audience  (AFP or licensors)

 バチカンの総合人間開発省が8日、声明を発表し、来年2024年元旦の「世界平和の日」に教皇フランシスコが出されるメッセージが「AI(人工知能)と平和」となることを明らかにする共に、「破壊的な可能性と、プラスの効果をもつAIの新技術の意味についてのオープンな対話」を呼びかける教皇の意向を強調している。

 AIについては、最近、それが持つ潜在的な大きな可能性と共に、情報の恣意的な摂取、改ざん、公共の安全や福祉を脅かす懸念が強まっており、教皇のメッセージのテーマが、AIのプラス面を強調しているように受け取られかねない、との懸念から、メッセージ発出の5か月も前に、異例の声明を出したもの、と見られる。(この項、「カトリック・あい」)

 声明では「AIの分野での目覚ましい進歩」と、それが「人間の活動、個人生活、社会生活、政治、経済に与える影響が急速に増大している」とし、教皇は元旦のメッセージで、「破壊的な可能性とプラスの効果という相反する潜在性を備えたAIなどの新技術の意味についてのオープンな対話」を呼びかけ、「最も脆弱で排除された人々を犠牲にして、そのような機器の製造と使用に暴力と差別の論理が根付かないように」十分な配慮が必要であると強調することにされている、と述べた。

 さらに声明は、「AIを人類に奉仕させ、私たちの共通の家の保護に役立てることを目的とし、AIの概念と利用を責任ある方法で方向付ける必要性」についても触れ、その目的は、倫理的な配慮」を「教育と法律」の分野にまで広げなければ達成できない」と強調している。

 そして、「個人の尊厳の保護と、人類家族全体に実質的に開かれた友愛への配慮」が、「世界の正義と平和の促進に貢献するための技術開発にとって不可欠な条件である」と述べて、生命は締めくくられている。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 カトリック教会は 毎年1月1日、聖母マリアの祝日を「世界平和の日」とすることが、 1967 年に教皇パウロ 6 世によって定められ、平和構築の取り組みに関連して重要な主題について考えるようすべての人々に奨励する教皇からのメッセージが発出されることになっている。今年のメッセージで、教皇フランシスコは、「誰も一人では救われない。 共に新型コロナウイルス感染症と闘い、平和の道を一緒に歩み始めよう」だった。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

このエントリーをはてなブックマークに追加
2023年8月9日