・ロンドン巨額不正資金運用で元教皇側近の枢機卿に、バチカン裁判所が禁固5年半と罰金、公職追放の有罪判決

(2023.12.16  Vatican News  Salvatore Cernuzio)

 ロンドンの不動産等に対するバチカン資金の巨額不正投資をめぐるバチカンでの裁判が結審し、ジュゼッペ・ピナトーネ裁判長は16日、教皇フランシスコの元側近アンジェロ・ベッチュウ枢機卿(写真右)に対し、横領の罪により禁固Cardinal sentenced to five and a half years in jail in Vatican ‘trial of the century’5年6か月の実刑、公職からの永久追放、そして8千ユーロの罰金の判決を言い渡したのを含めて被告10人に対する有罪判決を下した。

 他の被告に対して、バチカン国務省の元財務顧問、エンリコ・クラーソおよび同省の元職員、ファブリツィオ・ティラバッシが、それぞれ禁固7年の実刑と公職禁止、罰金1万ユーロ、金融業のラファエレ・ミンチオーネには禁固5年6か月の実刑と公職禁止、罰金8000ユーロ、バチカンの財務監督の長だったルネ・ブリュルハルトと財務情報部門の責任者のトンマーゾ・ディ・ルッツァはそれぞれ罰金1750ユーロの有罪判決。

 また、金融・不動産ブローカーのジャンルイジ・トルツィは懲役6年と公職禁止と罰金6000ユーロおよび刑法に基づく1年間の特別監査、事業家のチェチーリア・マローニャは懲役3年9か月と同期間の公職禁止および経営する会社に罰金4万ユーロ、弁護士のニコラ・スキラーチェは懲役1年10か月、信仰猶予5年のそれぞれ有罪判決が出された。

 罪状は、被告たちが2013年から2014年に、国務省の当時の金融財産の約3分の1に相当する2億50万ドルを違法に投資し、横領したもので、当時のバチカン国務長官代理だったベッチウ枢機卿の指示により、上記の被告たちもそれぞれの立場から共謀したが、その程度の軽重から、判決内容に差が出た。

 ティラバッシはそれより以前、2004年から2009年にかけてスイスの銀行から支払われた150万ドル以上を資金洗浄して着服したことについても有罪とされた。ロンドンの不動産物件の所有権を持つ会社による金融取引で、国務省が行った不明朗な返済に関してもトルツィとトスキラーチェを詐欺、トルツイがティラパッシと共謀した恐喝と資金洗浄で竿れぞれ有罪とされた。

 ベッチュウ枢機卿に関しては、さらに、「アフリカで誘拐された修道女たちの解放を促進」するという虚偽の名目で、マローニャへ5万7000ユーロを国務省の会計から支出したことも有罪に。さらに、彼の兄であるアントニーノ・ベッチュが会長を務める協同組合のために、サルジニア島オゼリア教区のカリタス名義の口座に合計12万5000ユーロを二度にわたって振り込んだことで横領罪に有罪とされた。

 なお有罪判決を受けた被告たちのうち、多くの被告弁護士は、判決を不服として控訴する意向を示している。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二・南條衛)

 

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2023年12月17日