Metropolitan Anthony Sevryuk of Volokolamsk, head of the Russian Orthodox Patriarchate of Moscow’s Department for External Church Relations, meets with Vatican Secretary of State Cardinal Pietro Parolin at the Vatican on June 16, 2023. (Credit: Moscow Patriarchate/Department for External Church Relations.)
(2023.6.17 Crux Senior Correspondenty Elise Ann Alle)

ローマ発 – 教皇フランシスコのウクライナ問題担当特使がモスクワ訪問の実現に取り組んでいる中で、ロシア正教会の事実上のナンバーツーが今週バチカンを訪問し、退院直後の教皇はじめ、パロリン国務長官、ギャラガー外務局長と会談した。
ロシア正教モスクワ総主教庁対外教会関係局が、ヴォロコラムスク府主教アンソニー・セヴリュクが「モスクワと全ロシアのキリル総主教猊下の祝福」を受けてローマを公式訪問する、と発表しのは、訪問開始当日の15日だった。
モスクワ総主教庁の対外関係部門の責任者であるセヴリュク主教は、ロシア正教会で2番目に高い地位にある。プーチン大統領による対ウクライナ軍事侵略を含めて、ロシア正教の指導者、キリル総主教と同様の姿勢を取っている人物と、広く信じられている。
セヴリュク主教のバチカン訪問は、教皇フランシスコとキリル総主教との二度目の会談の開催と、ウクライナ問題担当特使のマッテオ・ズッピ枢機卿のモスクワ訪問のそれぞれ実現に向けた調整が進められる最中で行われた。
教皇とキリル総主教は2016年にハバナで歴史的な初の会談をもち、昨年夏にはエルサレムで再び会談する予定だったが、その直前の昨年2月のロシアによるウクライナ軍事侵攻が始まり、これをキリル総主教が支持する立場をとったことなどから、バチカンが会談中止を決め、実現しなかった。
この後、昨年9月、宗教間首脳会議のためカザフスタンを訪れていた教皇とセブリュク主教の間で短い会談が行われ、その際、主教は、教皇と総主教の2回目の会談実現のためには「適切な方法を見つける必要がある」と述べていた。
今回のセヴリュク主教のバチカン訪問では、まず15日にバチカン国務省のポール・ギャラガー外務局長と会談。バチカンは会談そのものも含めて声明を出さなかったが、 モスクワ総主教庁は、二人が「ロシア正教会とローマ・カトリック教会の関係に関する現在の議題に関する多くの問題」について話し合った、とだけ説明していた。
同日には、セヴリュク主教はまた、カトリック教会におけるいわゆる「新しい運動」の一つで、イタリア司教協議会の会長、ズッピ枢機卿もメンバーとなっている「サンテジディオ共同体」の代表者らとも会談した。
翌16日には、2017年にモスクワを訪問した経験のあるパロリン国務長官と会談。モスクワ総主教庁は、「温かい雰囲気の中で、両者の間の幅広い時事的問題について話し合った」と発表したが、その他の詳細はがバチカン側からも含めて、明らかにされていない。
同日午後には、この日の朝、術後の治療を終えてジェメッリ病院から退院されたばかりの教皇が、主教と会見され、主教はキリル総主教の代理として「表敬の挨拶と、早期回復への希望」を教皇に伝え、「思い出に残る贈り物」を交換した、とモスクワ総主教庁は発表している。
ズッピ枢機卿は最近、多くの関係者が次期教皇の最有力候補と見なすようになっていると言われ、1992年のモザンビーク和平協定実現で重要な役割を果たすなど、外交面で実績を上げている。この6月5、6日には、教皇の特使として、ウクライナの首都キエフを訪問、ゼレンスキー大統領やその他の政府、宗教関係の高官らと会談している。
バチカンは、セヴリュク主教と、教皇はじめバチカン高官との会談について、現段階で発表していないが、中心的に話し合われたのは、教皇の特使としてのズッピ枢機卿のモスクワ訪問について、と見られる。6月初めのキエフ訪問の後、ズッピ枢機卿は、自身の特使としての任務は「和平実現に向けた調停」ではなく、「紛争が和平への道を見出すことができるように関心と親密さを表明し、耳を傾けること」だと述べた。ゼレンスキー大統領も5月にバチカンで教皇と会見した後、バチカンの調停の役割を明確に否定している。
ズッピ枢機卿のモスクワ訪問の予定や議題など詳細はまだ発表されておらず、枢機卿自身もこの問題に関する情報提供に慎重な姿勢を取っているが、ロシア訪問の計画が進行中であることは認めている。13日にローマで行われた新刊発表の際に、記者団に対して、 「(和平実現に向けた)作業は進んでいる。今後いくつかの詳細を明らかにする必要があるが、訪問の次の段階はモスクワです」と述べた。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。Crux is dedicated to smart, wired and independent reporting on the Vatican and worldwide Catholic Church. That kind of reporting doesn’t come cheap, and we need your support. You can help Crux by giving a small amount monthly, or with a onetime gift. Please remember, Crux is a for-profit organization, so contributions are not tax-deductible.