・フランシスコ教皇が設置した「女性叙階の是非」検討委員会が報告書を発表ー認めることを否定しつつ「現時点での判断は不可能」

(2025.12.4  Vatican News)

     故フランシスコ教皇が女性助祭の是非を検討するために2020年に設置した委員会が4日、報告書を公表、「聖職叙階の段階として理解される助祭職」を女性に認めることを否定しつつも、「現時点で確定的な判断を下すことは不可能」との見解を明らかにした。

 委員会の委員長はジュゼッペ・ペトロッキ枢機卿(イタリアのラクイラ教区名誉大司教)が務め、2月に検討作業を終え、報告書を9月に教皇レオ14世に提出、同教皇の要請により公表することになった者。

 委員会は2021年の最初の作業会合で、「教会は時代や地域、形態を異にしながら、女性に対して助祭/助祭女(ディアコネス)の称号を認めてきたが、これに単一の明確な意味を付与したことはない」と認定。2021年の神学的議論では「聖職叙階の秘跡神学の枠組みにおける助祭職の体系的研究は、女性の助祭叙階が聖職叙階に関するカトリック教義と両立し得るか否かの疑問を提起する」との結論が全会一致で得られた。委員会はまた「男女の相乗効果に寄与し得る新たな奉仕職」の創設を全会一致で支持した。

 さらに2022年の2回目の作業会合で、「聖職叙階の一段階としての女性助祭職への道を開く可能性」を排除しつつ、「現時点では、最終的な判断を下さないこと」を明記した声明を賛成7票、反対1票で決定。

 今年2月の最終作業会合では、昨年秋の世界代表司教会議(シノドス)総会が希望者からの意見提出を認めたのを受け、提出された意見を含め全資料を検討した結果、「多数の意見が提出されたものの、文書を送付した個人・団体は22件で、代表する国も少なかった。したがって、資料は豊富で一部は巧みに論じられているものの、シノドスの声、ましてや神の民全体の声とは見なせない」と判断した。

 報告書は賛否両論を要約しており、女性の助祭職を認めることを支持する意見は、助祭叙階(司祭・司教叙階と同様)を男性のみに限定するカトリック・正教会の伝統が、「神の像としての男女の平等な状態」、「この聖書的根拠に基づく両性の平等な尊厳」に矛盾する、と指摘。「もはやユダヤ人もギリシャ人も、奴隷も自由人も、男も女もない。みな、キリスト・イエスにあって『一つ』なのです」(ガラテヤの信徒への手紙3章28節)という信仰告白、および「あらゆる制度的・運営的職務への両性平等なアクセスを促進する社会動向に反するものだ」と主張している。

 これに対して、認めることを反対する意見は、 「キリストの男性性、ひいては聖職を受ける者の男性性は、偶然のものではなく、秘跡的アイデンティティの不可欠な部分であり、キリストにおける救いの神聖な秩序を保つものだ。この現実を変えることは、単なる『奉仕の調整』ではなく、『救いの婚礼的意味の断絶』となる」と主張。この段落は採決にかけられ、この形で確認することに賛成5票、反対5票で拮抗した。

 結果、9対1の賛成多数で、「共同体の奉仕のために設立された職務への女性のアクセスが拡大され(…)、洗礼を受けた者、特に女性のディアコニア(奉仕)に対する教会としての適切な認識が保証されること。このような認識は、女性が依然として性別による差別の状況に苦しんでいる場所において、特に預言的なしるしとなるであろう」との希望表明が決まった。

 ペトロッキ枢機卿は報告書の結論で、二つの神学的立場の間に「激しい弁証法」が存在することを強調。第一の立場は「助祭の叙階は司祭職ではなく、奉仕職のため」と主張。「この要素は、女性助祭の叙階への道を開くであろう」としている。

 これに対し第二の立場は「聖職叙階の秘跡の統一性、およびそれを構成する三段階の婚姻的意味を主張し、女性助祭の可能性を否定する。また、聖職叙階の第一段階への女性の参入が承認されれば、他の段階からの排除は説明不能となる」と指摘している。

 このような議論の現状から、枢機卿は、継続的な研究において「助祭職そのもの、すなわちその秘跡的アイデンティティと教会的使命に焦点を当てた厳密かつ広範な批判的検証」を行い、「現在完全に定義されていない構造的・司牧的側面を明確化すること」が不可欠、と述べている。世界の教会の現状では、助祭職が「ほぼ存在しない」大陸もあれば、その職務がしばしば「平信徒の奉仕活動や典礼における奉仕者の役割と重複する」形で活動している大陸もある。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2025年12月4日