・シノドス最終週:最終文書作成日程-22日の草案もとに検討を重ね、27日のパラグラフごとの投票で決定

(2018.10.22 VaticanNews  Russell Pollitt, SJ)

 3日から始まった「若者シノドス」は22日、最終週に入り、討議の成果をまとめた最終文書の第一次草案がまとめられた。23日朝の全体会議に提出され、23、24の両日の司教たちはじめ出席者の検討に委ねられる。検討結果をもとに25日に修正案が作られ、26日の全体会議でシノドスの新たな評議会のメンバーを選出し、彼らの手で練り直された最終案が、27日の全体会議に提示され、パラグラフごとの投票に付され、3分の2以上の支持を得た内容によって最終文書が完成する。

*「若者たちに赦しを乞わねばならない」と司教

 トルコのパオロ・ビゼッティ司教は、若者たちが今いる世界について言及し、「私たちは、若者たちが働き、自己を表現し、才能を使うことのできる生き生きした世界を用意して来なかった」とし、「たくさんの可能性を彼らから奪うような世界を作ったこと」について謝罪せねばならない、と語った。

 また、このシノドスの議論を通じて自分が痛感したのは、富んでいる世界にある教会と貧しい場所にある教会に大きな差がある、ということで、「貧しい地域に住む若者たち、特に8歳から10歳の子供たちにとって、絶望的な状況に置かれている中で、(注-召命の道を)選べない場合、信仰と識別について語ることは極めて難しい」と指摘した。

*「私たちは教会を変えねばならない」とサレジオ会総長

 また、サレジオ会のアンゲル・フェルナンデス・アルティメ総長は「私たちは変えなければならない。真剣に変革に取り組み、今よりもよい教会にしなければなりません」と述べ、「若者たちは、教会が信仰を証しする勇気のある証人になるように求めています」「その願いが向けられているのは、聖職者だけでなく、すべての大人です」と訴えた。

 ギニアのカトリック・スカウトの会員、エンリエッタ・カマラさんは、自身の改宗の体験について語った。彼女の家族はイスラム教徒だったが、カトリック・スカウトに入り、その活動を通して、カトリックに改宗することを選んだ。

 「仲間たちからたくさんの助けをもらいました。何の偏見もなく受け入れてもらい、若者たちと教会でつながることはとても意義のある経験になっています」と述べ、「母は今でも私がカトリックに改宗したことを喜んではくれませんが、スカウトの助けを受けているのです」と語った。

*「父性も母性も、姿が見えない」と若者たち

 ビゼッティ司教とアルティメ総長は、母性と父性が世界で見つからなくなっている、と指摘。

 アルティメ総長は「そうしたことで苦しめられている若者たちに出会っており、以前と変わらない暮らしをしているはずの家族の中にも、子供たちが必要としている『親』の存在がなくなっているケースがしばしばみられるようになっています」と語った。さらに、「教会のビジョンには弱さがある。教会は小教区だけでなく、学校、保護施設など、さまざまな場所に存在し、そのような場で、教会は、真に成熟した、健全な母性、父性をもって、若者たちに奉仕し、助けることができるのです」と述べた。

 *「若者たちを取り戻すために、地域別のシノドスを開くべきだ」

 米国のフランク・J・カッジアーノ司教は「シノドスはこれまで普遍的なレベルから物事を見て働いてきたが、各国、各地域の現地の教会のレベルで考える必要が生まれています」との認識を示し、「Synodality(協働制)はもう終わった、のではなく、現地において具体化されなばなりません」と強調した。

 そして、自分にとっての大きな問題は「自分の教区で協働制をどの様に進めていくか」である、とし、「若者たちを自分の教区の仲間に引き込み、彼らが一緒になって、前に進む道を見つけることができるようにしたい。教区レベルのシノドスあるいは会議が、世界レベルのシノドスの成果を前に進める手段の一つになる」と提案した。

 また司教は「若者たちが、新技術を使って-具体的には、実際の宣教の領域とすべき”デジタル大陸”の”専門家”として-教会に貢献できる」と述べ、今回のシノドスで、若者たちはその用意ができていることを示しており、「彼らが新たなエネルギーと力を教会で発揮することを期待したい。若者たちは、若者たちを最もよく宣教することができるのです」と訴えた。

 さらに、聖職者による性的虐待については「犯罪であり、罪。教会にはそのようなことについて、議論の余地は全くありません」とし、「私たちが信頼性と信用を作り直すと誓約していることを、若者たちに知ってもらう必要があります。信用を無くすと、取り戻すのは極めて困難です。一歩一歩やるしかない。将来にわたって、決意をもって取り組まねばならない課題です」

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2018年10月23日