Cardinal George Pell arrives at Melbourne Magistrates Court July 26 with his lawyers Paul Galbally (right) and Robert Richter. (Credit: AP.)
豪ビクトリア州警察当局から「複数の歴史的性的暴行」に関係した容疑で訴追された同国カトリック教会トップでバチカンの財政改革責任者のペル枢機卿が26日、メルボルンの裁判所に初めて出廷した。次回裁判は10月6日に予定されている。
枢機卿の初陳述は26日の現地時間午前10時から6分間行われたが、短時間で終わったのは、この日の目的が検察側による弁護側に対する証拠の開示時期、枢機卿の次回出廷時期を確定することに限られていたためだ。
このため、この日は、枢機卿に弁明の機会が与えらえなかったが、枢機卿の弁護士、ロバート・リッチャー氏はこの日の法廷で、枢機卿は訴追に対して争う、と説明。「疑惑を避けるために、ペル枢機卿は、訴追を受けているすべての罪状を否認しており、推定無罪を堅持することを明確にしたい」と陳述した。
枢機卿に対する容疑の詳細はまだ明らかにされていないが、メルボルンを所轄するビクトリア州警察のスポークスマンは「枢機卿は、『多数の告訴』をもとにした『歴史的な性的暴行』で訴追を受けている」と説明している。
これに対し、枢機卿はこれまで、自身の無実を強く主張してきた。訴追が明らかになった先月29日にバチカンで行った記者会見で、「私は、これらの訴追容疑に対して、無実だ。これは誤りだ。性的暴行という発想全体が私に嫌悪感を催させる」とし、「訴追のニュースで、私の(無罪を勝ち取る)決意は強められた。法廷は私に汚名をそそぐ機会を与え、私はローマでの仕事に復帰する。出廷の日を待ち望んでいる」と言明していた。
今回の事態に対して、教皇フランシスコは、枢機卿がバチカンの経済評議会議長の職を一時離れることを認めたが、その際にバチカンから発表された声明で、教皇フランシスコがこのような容疑による訴追を「遺憾」に思い、枢機卿のこれまでの誠実さと高潔さを讃える一方で、豪州の司法制度を尊重することを誓っていた。
ペル枢機卿は豪バララート市出身。1970年代から80年代にかけてメルボルン大司教区で司祭を務め、87年にメルボルン補佐司教となったが、容疑とされているのはこの時期だ。その後、97年にメルボルン大司教、2001年にシドニー大司教となり、2014年、現在のバチカンの経済評議会議長に抜擢されていた。
26日の裁判所での短時間の聞き取り調査は今後の日程を確定するためのもので、裁判を進めるに足る容疑があるかの判断をするものではなかったが、次回以降、その方向で進むことになる。豪州の性的犯罪取締法によれば、訴訟手続き開始から3か月以内に罪状認否に進むとされているが、裁判所の判断で延ばすこともできる。
豪州での裁判に詳しい関係者によると、罪状認否まで進めば95%は公判が行われることになる、という。とくにマスコミなどで注目を浴びているケースではそうなる確率が高くなるようだ。公判が始まった場合、今回のケースでは判決までに一年、あるいはそれ以上かかる可能性がある、という。
26日の聞き取り調査には、1970年代に枢機卿とは別の修道士による性的虐待を受けた男性も出席し、自分は今回の告訴について、訴えを十分に尊重してほしい、と語り、また現地の新聞に対して、「虐待を受けた被害者は、この日をずっと待っていたのです」と述べた。豪州における聖職者による性的虐待被害者のための活動をしているクリッシー・フォスター女史も出席したが、彼女の二人の娘は司祭から性的虐待を受け、うち一人は自殺、もう一人はアルコール依存症になり、酔って歩いていて車にひかれて重傷を負っている、という。
こうした一方で、枢機卿の無罪を主張する支援者もこの日、裁判所の外に集まり、「私たちの家庭を助けてくれたことに感謝」「メディアによる裁判に反対」などと文書を読み上げていた。
メディアの報道合戦も激しくなっており、ある聖職者による性的虐待の被害者は、「このような騒ぎが、被害者の過去の辛い思い出をかきたてることになるのではないか」と心配している。
(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)
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