(2017.1.13 TABLET クリストファー・ラム) 時として「カニ歩き」のようであり、よろめいてもいるが、教皇フランシスコのカトリック教会の中に、一般信徒の声を聴き、反応する公式の仕組みが正しい方向に動き始めた。それは、2018年秋に開く「若者たちと召命」をテーマにする全世界司教会議(シノドス)の準備文書を13日に発表した、バチカンのシノドス事務局である。
事務局は、 教皇が教会の中で対話と声を聴くというプロセスがとられるための仕組みとして考えられた。そして、13日の準備文書発表の中で、世界の若者たちが彼らの考えをインターネットを使って直接、バチカンに伝える、というオンライン・アンケートの実施を明らかにした。このようなことは今までなかったことだ。会見した事務局長のロレンツォ・バルディッセーリ枢機卿は、両脇に、21歳と24歳の若者代表を座らせるという演出をしたが、このことは、世界の司教たちがただ「若者たちが教会に行かない」と嘆いてはいられない、積極的に若者たちの考えを聴こう、という姿勢を明確にしたものだ。
オンラインによるアンケートに合わせて、別の質問状を世界各国・地域の司教協議会に送り、回答をまとめて、事務局に報告する、という2014年、2015年のシノドス開催にあたってのやり方も行う予定だ。これらの手段で吸い上げられた全世界の一般信徒の声は来年2018年秋のシノドスの議論のもとになる作業文書に生かされることになる。
だが、問題もある。オンライン・アンケートによって、本当に全世界の若者の声を吸い上げることができるのか、という問題だ。アンケートは今年5月に発出される予定だが、現時点ではイタリア語のドメイン www.sinodogiovani2018.va でしかアクセスできない。
一方で、質問内容は、地域別にそれぞれの実情に合わせる形で、異なった部分もある。南北アメリカに対しては「暴力の影響」、欧州には「選挙権を奪われた若者たち」、アジアは「各国、各地の文化と教会の教えをどのように調和させているか」、という具合だ。
だが、質問全体の基調をなしたのは最初の質問「教会はどのような形で若者たちが実際に置かれている状況を聞いていますか」だ。準備文書の姿勢は、若者たちに「間違っている場所」で指導者のような言い方をするのでなく、彼らが「今いるところ」で会おうとする、つまり、司教たちはじめ聖職者に対して、「受け売りの答え」を予定するような枠組みを越え、「現代世界の変化が激しく不確実な現実の中で生きている若者たちに寄り添う」ことに努めるよう求めている、と準備文書は強調している。
教会はこれまでの硬直的な態度を捨て、若者たち、若者たちが住む世界から学ぶべきだ、とも述べている。彼らの世界がデジタルの世界であることが多いことから、準備文書は、インターネットなどによるニューメディアとそれが次の世代である若者たちに与えている圧倒的な影響を理解するよう求め、さらに、NEETs(教育、雇用、訓練)で若者たちが直面している不安を特に重視している。
教会の中には、50歳未満を若者としている場合もあるが、シノドスは若者の現実的な年齢的な範囲を16歳から29歳を中心に考えている。
この準備書面は完璧でないものの、教会を〝協働性〟の教会とするという教皇の目標へ、さらに一歩踏み出した、とは言えるだろう。指導者たちは聴き、そして仕えるようにする、という目標だ。教皇フランシスコの下で、シノドスは司教たちが周期的に集まる会合以上のものとなり、カトリック信徒誰もが巻き込まれていく可能性のあるプロセスなのだ。(南條俊二訳)
*Tabletは、イギリスのイエズス会が発行する世界的に権威のあるカトリック週刊誌です。「カトリック・あい」は発行者から許可を得て、日本語に翻訳、転載しています。
“The Tablet : The International Catholic News Weekly. Reproduced with permission of the Publisher” and that you quote our website address http://www.thetablet.co.uk
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