(2016.11.19 イネス・サン・マーチン CRUX バチカン特派員)
ローマ発―教皇フランシスコは19日、新たに17人を枢機卿団に加える式にあたって、彼らの教会のリーダーとしての心構えを厳しく説いた。増大する”分裂と排他”の文化に囲まれる中にあって、教皇は新枢機卿たちに対して、分裂を引き起こす”ウイルス”が彼らの思考と行動に影響を与えるのを許してはならない、内部抗争は教会の普遍性を歪めるからだ、と力説した。
そして、「私たちは『分裂と排除』が大安売りされ、争いを解決する唯一に道だ、と考えられる時代に生きています」としたうえで、「移民や難民のような”よそ者”とされる人々が敵視され、脅威とされている。遠い地からやってくる、風俗習慣が違う、肌の色が違うという理由で、異なる信仰を持っているという理由で、敵、と決めつけかれているのです」「そして私たちはそれをはっきりと理解せずに、違いに根を持つ反目が敵対、脅威そして暴力に転じていくのです」「その結果、”反目と暴力の伝染病”によって傷はどんどん深くなる。それは、声をあげられず、無関心の病理によって黙らされる無力な人々に甚大な被害を与えるのです!」と強く指摘した。
教皇のこうした言葉は、カトリック教会内部の反目をはるかに超えて発せられていたが、それにも関わらず、彼が率いているカトリック教会内部の緊張状態を念頭に置いて、受け止められるのは避けがたい、と言えるだろう。ごく最近、教皇が4月に公表した家庭問題を扱った使徒的勧告「愛の喜び」をめぐって、司教たちの間で激しいやりとりがあり、さらに保守派枢機卿の小グループが教皇に”修正”を迫る考えをほのめかしている。
「膨れ上がる反目によって、なんと多くの不確実性と苦しみが人々の間で、そして私たちの間で振り撒かれているのでしょうか。そうです、私たちの間でです。そして私たちの共同体、司祭、集まりの中でも」と厳しく非難し、「分裂と反目のウイルスは私たちの考え、感じ、そして行動する仕方にしみわたってしまっている」としたうえで、教皇自身と同じように新たに枢機卿になった人々にも、そのウイルスに感染しないという保証はない、と警告し、教会の豊かさ、普遍性に反する分裂を起こす傾きを「心の中に持ってはならなりません」と注意を与えた。
200人を超えるカトリック教会の最高位である枢機卿は南北両極を除く全世界から選ばれているが、19日に正式就任し新枢機卿17人の出身は米国3人を含めて11か国。「私たちは違った土地の出であり、伝統、肌の色、社会的な背景を持っており、異なる考えをし、多様なやり方で信仰を表わします」「それが私たちを互いに敵にすることはない。最も偉大な豊かさの一つなのです」と教会の普遍性の素晴らしさを強調した。
さらに、神は、弟子たちに、そして「私たち」に歩むべき道を示されたとし、それは「いつくしみ深くありなさい。あなたの父がいつくしみ深いように」だ、と念を押した。そして、いつくしみへの招きは、四つの訓戒とともにある。それは日々の状況の中で使徒達のなすべきことを作り、形にし、使徒としての道が感じられるようにするもの―愛し、善をなし、祝福し、祈ること―であり、この四つは「私たちの友、近しい人々、好意を持つ人々、好みや習慣で共通する人々」には、たやすく実行できるが、イエスは「敵を愛しなさい。あなたを嫌う人に善をなしなさい。あなたに悪態をつく人を祝福しなさい。あなたを虐げる人のために祈りなさい」と言われた。「この四つの訓戒は、私たちが対向者あるいは敵対者と考える人々に、たやすく実行できるものではありません。まず、するのは、除外し、疑う、呪うことでしょう。悪者あつかいし、彼らを除外することを”聖なる”正当化しようとすることもしばしばです」。神の心の中には「敵はいない」。なぜなら、彼には息子たち、娘たちがいるだけだから。「私たちは、壁を立て、障害を作り、人々にレッテルを貼っている」と自省を込めて語った。
最後に、新枢機卿たちが目指すべき目標は、「赦しと和解」の人となるために「神の民とともに」努力を重ねることだ、と述べ、「困難に出会ったら、『イエスとの友情から生まれる力、光、慰めを持たず、支えてくれる信仰共同体を持たず、人生の意味も目標も持たずに日々をおくっている兄弟姉妹が数多いという現実を思い起こすようにしなさい」と強く促した。