(2017.3.1 Tablet)
「500年後の今こそ、教派分裂を終わりにする時です」。スイス人の著名な神学者がタブレット誌に胸の内を語った。 長年にわたりエキュメニュカルな相互理解を推進してきたハンス・キュングは、ドイツのカトリックとプロテスタント教会が、宗教改革500年を記念して発表した「共同宣言(“Common Word)」文書を批判した。それは「重要な問題に関して両教会の上層部の間に存在する膠着状態」に真剣に対処できていないからだという。 本誌と米・NCR誌が独占的に入手した手紙の中でキュングは、「宗教改革から500年が過ぎた今こそ、教派分裂を終わりにする時だ」と宣言している。
2016年9月、ドイツのプロテスタント教会(福音ルター教会)議長のハインリッヒ・ベッドフォード=ストローム師と、ドイツ司教協議会会長のラインハルト・マルクス枢機卿は、「過去の記憶を修復し、キリストを証しする(Healing Memories – Bearing Witness to Christ)」と題した「共同宣言(Common Word)」を発表した。5世紀にわたる非難と攻撃の応酬のあと、ドイツの二大教会は、宗教改革500周年の記念日を「イエス・キリストの祝日」とする宣言を行ったとキュングは伝える。
キュングによれば、教皇フランシスコがローマで二大教会の指導者に会ったとき、教皇は「既に和解した相違点」について話し、宗教改革がキリスト教徒に与えた霊的、神学的な賜物について深く認識していると述べ、「未だ残る障壁を克服するために」出来ることは何でもしたいと語ったという。「われわれエキュメニズムに関わってきたキリスト者は、長い間、アクション(行動)を待ち続けてきました。残念ながら『共同宣言』は、重要な問題に関して両教会の上層部の間に存在する膠着状態に触れていない上に、既に多くのプロテスタント、カトリックの両教会共同体において、長期にわたりエキュメニズムが実践されている事実を無視しています」とキュングは言う。
またキュングは、これらの障壁を乗り越えようというバチカンの決意の強さについて、いささか懐疑的である。「わたしたちは、これまでにも度々バチカンが反省と和解の意図を示す宣言を行うのを聞いてきました」。
キュングは、タブレット誌とNCR誌に語った。「そのような共同体にとっては、互いの司牧活動や聖体拝領を相互に認め合うことなどはもはや問題にもなりません。このような共同体と比べ、教会の指導者たちは遙かに遅れをとっているのです。もしも、指導者たちが『未だに残る障壁を克服する』ことを真剣に捉えないなら、神と信者たちの前で、その責任を一身に負うことになるでしょう」。 教会はマルティン・ルター師の復権を考えるべきであり、また、宗教改革の時代に宣言されたすべての破門を取り消すこと、プロテスタントとイギリス聖公会の聖職者、そして「‘聖餐’の分かち合い」を認めることを考慮すべきである、とキュングは言う。
単に宗教改革500周年を祝うばかりで、分裂に真の終止符を打たないならば、更に罪を重ねることになるとキュングは主張する。「願わくは、神学者たちや草の根レベルのキリスト者たち、キリスト者共同体、そして心ある多くの男女の力によって、ためらいや怖れを抱きがちな教会指導者たち…ローマや世界各地にいる指導者たちが、この歴史的好機を逃すことなく、目を覚ますよう助けてやってほしいのです。さもないと、更に多くの人たちが教会を離れ、更に多くの共同体やグループが恣意的な裁きを行うようになるでしょう」とハンス・キュングは警告する。「今日の世界においては、キリスト教が真に分裂を乗り越えて和解した姿を示すことによって、初めて、人々の信頼を勝ち取ることができるのです」。
(「学び合いの会」海外ニュースより転載)
*Tabletは、イギリスのイエズス会が発行する世界的に権威のあるカトリック週刊誌です。「カトリック・あい」は発行者から許可を得て、日本語に翻訳、転載しています。
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