・香港などの有識者グループが中国との”取り引き”に反対する公開書簡  (Tablet)

(2018.2.13 Tablet  James Roberts)

 香港を中心とするカトリックの有識者15人のグループが12日、世界の司教たちに宛てた公開書簡を発表し、その中で、バチカンが近日中に中国の共産主義政権と”取り引き”に合意するとの見通しが出ていることを取り上げ、話し合われているような合意は中国におけるカトリック教会の分裂をもたらす、として反対を表明した。

 教皇庁はこれまで数年にわたって中国政府と話し合いを続けていたが、当面の最大の懸案である中国国内での司教の任命について合意目前と伝えられている。合意の内容として予想されているのは、バチカンが教皇から破門されていた中国政府任命の7人の司教を公認するというもの。

 15人のグループは大学教授、研究者、人権活動家、弁護士などで構成され、公開書簡で「中国政府は司教の選定に何らの役割も果たすべきではない」とし、「7人の”違法”な司教たちの道徳的な清廉さに疑問がある」とも指摘。「もしも、彼らが公式な司教として公認された場合、中国のカトリック信徒たちは困惑と苦痛の中に落とされ、中国のカトリック教会に分裂がもたらされるだろう」と警告している。

 公開書簡はさらに、中国政府が今月から実施した規制によって、中国における宗教活動の政府による監視がさらに強化されたことも取り上げている。中国の習近平主席は昨年10月の中国共産党大会での基調演説で「中国における宗教活動は”中国に順応した形”で行われねばならず、社会主義社会に適合するように共産党の指導を受けねばならない」と言明しており、新規制もその方針に従ったものだ。

 一方、教皇に忠誠を誓う「地下教会」の二人の司教はすでに、バチカンから、中国政府任命の司教たちに席を譲るように求められており、ニューヨーク・タイムス紙によれば、そのうちの一人、福建省のJoseph Guo Xijin司教はこれに黙従する考えという。もう一人、広東省の88歳になる司教は退任したかどうか定かでない。

 バチカンと中国のこの”取り引き”については、前香港教区長の86歳の陳日君・枢機卿が「バチカンは中国の教会を”売り払おう”としている」と強く非難している。香港では先週末に聖ボナベンツラ教会に200人以上の信徒が集まり、この”取り引き”へ懸念の声をあげる徹夜の祈りを行っている。

 (翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

(Tabletはイギリスのイエズス会が発行する世界的権威のカトリック誌です。「カトリック・あい」は許可を得て翻訳、掲載しています。 “The Tablet: The International Catholic News Weekly. Reproduced with permission of the Publisher”   The Tablet ‘s website address http://www.thetablet.co.uk)

 

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2018年2月22日