(2017.10.30 Tablet Christopher Lamb)
バチカンの前教理省長官、ゲルハルト・ミュラー枢機卿が、教皇フランシスコが昨春の使徒的勧告‶ Amoris Laetitia(家庭における)愛の喜び”で示した離婚・再婚者に聖体拝領の道を開く方針を支持していることが明らかになった。
ミュラー枢機卿は今年7月に、教皇から教理省長官を解任され、 使徒的勧告で教皇が示したこの方針を批判する高位聖職者のリーダー格と見なされていたが、枢機卿は、このほど刊行された 同勧告に関する本に「Amoris Laetitiaの諸批判に対する有効的な対応」と題する巻頭言を寄せ、「離婚の後、再婚している人々に対して‶酌量の余地〟があり得る」 と述べたものだ。
この本の著者は、神学者で前々教皇、ヨハネ・パウロ二世の腹心の友だったロッコ・バッティリオーネ教授。欧州委員会の委員候補になった際、同性愛者に対する見方で批判を浴びて注目されたこともあるが、Amoris Laetitiaについては、司祭や学者の保守派から批判が強まる中で、その内容を支持する立場を鮮明にしている。
ミュラー枢機卿は批判陣営のリーダー格ともみなされ、批判的な発言がこれまで目立っていたが、この本の巻頭言では「不規則的な男女の同居」にある一定の要素は、この二人が「是非の判断の全体的な評価において、倫理的な価値をもって神の前に立つことができることを意味する」とした。これは事実上、再婚したキリスト教徒が―最初の結婚の無効を認めるための公開の裁定に至ることなく、新たな結びつきが神の目に正しいということを―確信される手段として、“internal forum(非公開の裁定)”を主張したものだ。
巻頭言では「このように言うことができる。それは、最初の二人の関係が、教会において結婚の形をとってなされたものの秘跡として正当でないこと、そして、現在の関係、子供たちに恵まれ、現在の相手との長く円熟した関係が神の前に真の結婚であることを心底から確信しているキリスト教徒がいる、ということだ」「おそらく、このことは教会法的に証明することはできないだろう」とも書かれている。
ただし、枢機卿は、をヨハネ・パウロ二世の教えとのつながりの中で読むことができる、とし、離婚して再婚したカトリック信者に対して“situation ethics(状況倫理=決まったルールを杓子定規に当てはめるのでなく、状況に応じて倫理上の適切な判断を下すやりかた)”を主張しているわけではない。代わりに、 “subjective conscience(主観的良心)”が「諸関心と特定の諸状況を考慮する中」で「自然の道徳律の客観的な基準」と一致することが可能、と主張している。この考え方は、Amoris Laetitiaの元となった2015年の「家庭」をテーマとする全世界司教会議(シノドス)でドイツの司教団が展開した「正義は具体的な状況に‶適合〟させる必要がある」との聖トマス・アクィナスの言葉をもとにした主張でもある。
枢機卿はまた、Amoris Laetitiaが出されて以来の教会内での賛否の論争を振り返り、「自分は、賛否両陣営の間に立って、第三の道を見出そうとしている」とし、「神学者たちの一方に、以前は教皇の教導権に異議を唱えていたが、今は教皇の言葉を何でも支持する‶進歩派‶を自認する人々がおり、また一方には、教導権に厳格に従うことを義務のように感じ、現在は、それを学生が論文をまとめるように学問的手法で関係の文書を研究している人々がいる」と述べて、両極端の動きを暗に批判している。
(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)
