People wave a flag of the People’s Republic of China as Pope Francis greets the faithful upon his arrival for a general audience at St. Peter’s Square, Vatican City, 15 June 2016. (Phoo by EPA/ANGELO CARCONI/MaxPPP)
(2024.5.14 La_Croix Loup Besmond de Senneville)
バチカンは5月21日に教皇庁立ウルバノ大学で国際シンポジウムを開くことになり、中国政府・共産党の承認を得てカトリック上海教区長の司教も参加する予定だ。
バチカンと中国政府の関係は、通常、バチカンの”壁の裏”で慎重に議論される問題だったが、新たな展開として、バチカン国務省は5月2日にバチカンと中国の関係に関するハイレベルのシンポジウムを行うことを決めた。10日、このことを密かにオンラインに掲載したが、現在に至るまで、バチカンはこれについてまだ正式発表はしていない。
このシンポジウムは”The 100 Years of the Plenary Council of China: Between History and the Present”と題され、数名の中国高官が出席する重要な政治イベントであり、中国のカトリック教会から上海教区長のジョセフ沈斌(シェンビン)司教が参加する。沈斌司教は2023年4月に中国政府・共産党がバチカンの同意を得ないまま、一方的に上海教区長に任命したため、2018年にバチカンと中国が結んだ司教任命に関する暫定合意に違反する行為だと批判の声もバチカンの関係者からでたが、バチカンはこの人事を追認するかたちで”宥和”を図っていた。
また、中国政府代表として、宗教監督の重要人物、の鄭暁君・中国社会科学院世界宗教研究所所長が参加する。彼女は中国宗教協会の会長でもあり、 2 つの組織は、国内に存在するすべての宗教に「中国の国民的特徴」を与えることを目的とした宗教の「中国化」運動で主導的な役割を果たしている。 この運動は1950年代に毛沢東政権によって始められ、毛沢東政権はバチカンとの国交を断絶した。 今も、中国化を推進する国家主席の習近平氏にとって重要な原動力だ。
鄭暁君が上級会員である中国社会科学院は、中国の宗教に関する学術研究を監督するために1964年に設立された。 この研究所は、自らを「マルクス主義の宗教的観点」に取り組むための基礎的思想を提供しており、「マルクス主義の宗教的見解に関する研究室」が設けられていることは注目に値する。
バチカンと中国の関係に詳しいあるカトリック情報筋は、「このレベルの中国高官がバチカン主催の公的行事に参加するのは前例がない」と語った。 このシンポジウムは、教皇庁立大学、つまりバチカンの「領土内」で開催されるため、政治的重要性はさらに大きく、 「このことは、些細なこととして片づけるものではない」と指摘している。
また、バチカンは、この会議中に教皇フランシスコのビデオメッセージを放映する予定だ。 教皇は中国についてめったに言及されないが、昨年9月に、モンゴルの首都ウランバートルを訪問した際、中国のカトリック教徒に対し「善良な国民」であるよう強く求める発言をしており、これを「バチカンが中国の内政に干渉しないとこと中国政府・共産党に伝えようとしたもの」と受け止める関係者もいた。
5月21日のシンポジウムでは、バチカンのピエトロ・パロリン国務長官・枢機卿が午前の部の締めくくりの演説をし、午後の部の締めくくりにはルイス・アントニオ・タグレ福音宣教省次官・枢機卿が演説を予定している。 二人は物議を醸している中国との司教任命に関する暫定合意の責任者であり、福音宣教省は、中国を含む世界中の教会に対する福音宣教の取り組みを監督する責任を持つ。
La Croixが入手した情報によると、このシンポジウムは、中国とバチカンの関係に関する「重要な発表」につながる可能性もある。 ローマでは、中国政府とバチカンの連絡事務所が開設されるのではないかとのうわさも出ている。 もしこのニュースが確認されれば、中国とカトリック教会の指導者らとの関係において重要な出来事となるだろう。
(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)
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