・「バチカンは、ロシア政府・軍による『組織的な戦争犯罪』に目を背けない」国務省のギャラガー外務局長が講演

バチカンの外務局長、ポール・リチャード・ギャラガー大司教バチカンの外務局長、ポール・リチャード・ギャラガー大司教  (AFP or licensors)

(2023.7.13 バチカン放送)

 バチカン国務省のギャラガー外務局長・大司教は13日、創刊30年を迎えるイタリアの国際政治雑誌「Limes」の「ウクライナ」特集号を紹介する催しで講演し、教皇フランシスコの平和をあきらめない姿勢について語った。

 外務局長はこの講演で、特にロシアによるウクライナ軍事侵略に対する教皇とバチカンの姿勢について説明。

 「教皇はこの現実を前にしてもあきらめることなく、確固として平和を信じ、すべての人を平和を織り成し、作り出す人となるように招いておられます」とし、教皇の言葉や態度を「無駄な平和主義」と解釈することは、教皇の持つビジョンと意向に適っていない、と強調した。

 そして、「教皇を動かしているのは、『対話と平和を可能にしたい』という強い思いであり、『教会は”政治的言語”ではなく、”イエスの言語”を用いて対応する』という原則に基づくもの、と指摘。「当然ながら、バチカンは、ロシア政府・軍による『組織的な戦争犯罪』に目を背けない。『侵略した国』を『侵略されている国』と同列に扱うことは、バチカンの意図するところではない」と言明した。

 さらに、教皇の態度と言葉は、「単なる『平和のレトリック』ではない。力強く勇気ある『平和の預言』だ」と強調。具体的に、駐ウクライナ・バチカン大使は戦争が始まっても首都キーウから離れず、教皇は支援援助省長官クライェフスキ枢機卿を繰り返しウクライナに派遣し、苦しむ人々に「寄り添いと慈愛の抱擁」をもたらしていることなどを挙げた。

 最後に外務局長は、ロシアの軍事侵略がもたらしているウクライナの惨状がこれ以上進まないように、一刻も早く停止するよう関係国指導者たちに呼び掛け、「あらゆる戦争は、いかなるものでも、どこにおいても、常に、人類の敗北だ」という教皇フランシスコの言葉を引用して、講演を終えた。

(編集「カトリック・あい」)

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2023年7月14日