伝統に厳格なカトリック関係団体も性的虐待を隠蔽ースウェ―デン・テレビが報じる(CRUX)

  • 2017.4.5 Crux バチカン特派員  Inés San Martín)

     バチカンから破門され、現在カトリック教会への復帰に向けた交渉中の「聖ピオ十世会」が、少なくとも同会に関係する3人の聖職者が性的虐待で訴えられたことを知っていたにもかかわらず、隠蔽していた-とスウェーデン・テレビが5日夜の報道番組で報じた

     同テレビによると、3人は現職の司祭。もう1人は聖ピオ十世会がアイダホで運営する教会でボランティアをしていた元学生で、7人の少年に対する性的虐待罪で終身刑の判決を受け、現在服役中だ。彼らは30年以上の期間にわたって、フランス、ドイツ、オーストラリア、アイルランド、米国、英国で少なくとも12人の幼児に対し、性的な虐待をした。

     「聖ピオ十世会」は、1970年フランスマルセル・ルフェーブル大司教によって創立された。教皇の許可を得ない司教叙階を行ったことから創立者ら6名が教皇庁から破門されたが、2009年に破門を取り消され、教皇庁との関係修復に向けて現在交渉中。同会は創立以来、第2バチカン公会議 (1962-65)で始まったカトリック教会の改革の波の「避難所」として一部の信徒から支持される一方、公会議で実施が決められた教会一致運動、宗教間対話、信教自由、典礼改革などを受け入れようとしない同会に批判的な多くの信徒からは「教会改革の流れに逆行する危い存在」と見られてきた。

     同会に対して、最近の歴代教皇は、カトリック教会に戻ってくるよう働きかけを続けており、ごく最近では教皇フランシスコのもとで新たな復帰のための条件が検討されていた。今回の問題表面化で、そうした復帰へ動きに影響が出るかどうかはまだ不明だが、同会が聖職者の性的虐待に対して断固として戦う姿勢を見せることが、復帰の重要なカギとなるに違いない。

     バチカンは、今回のケースも含めて、聖職者による性的虐待の隠蔽工作にかかわった司祭、司教に対して「いっさい妥協せず、厳しい処分をする」という方針を明確にしている。スウェーデン・テレビの報道で3人の司祭のうちの1人から性的虐待を受けたとされた男性が匿名を条件にCruxのインタビューに応じ、「聖ピオ十世会と復帰交渉をしているバチカンの担当部署の人と会うことができたら、『あなた方はこの事件のことをすべて知っていたはずだ。無責任で偽善的だ』と言いたい」と語った。その部署とは、教皇庁教理省だ。同省は、聖ピオ十世会のカトリック教会への復帰問題を扱っているが、聖職者による性的虐待問題処理も担当している。だが、同会に対するバチカンの影響力は極端に限られている。バチカンの権威を認めていないからだ。

    (翻訳・海老澤猛)

     

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2017年4月12日