グラシアス枢機卿は先月、2月の会議についてCruxに懸念を次のように語っていた。「会議は見掛け倒しのようなものにはできない。成功しようと教会にとって悲惨なものになろうと。(教皇は)半年後、あるいは2年後にまた会議を招集することはなさいません。誰も真剣に受け止めていない。この会議はとても重要なのです」。人々が2月の会議について心配する必要があるのか、との問いには「そうです。心配せねばならない」と答えていた。
また、今回の準備委員会の人選について、関係者の中には、なぜ、バチカンの弱者保護委員会を率いてきたボストン大司教のショーン・オマリー枢機卿が委員に指名されなかったのか、疑問を持つ向きもある。これについて、キュピック枢機卿は、「オマリー枢機卿と弱者保護委員会は、聖職者や男女の一般信徒たちとともに、準備作業で専門的知識と経験を生かしていただく」と説明している。
またキュピック枢機卿は、2015年に教皇が米国を訪問された際、性的虐待の被害者たちとお会いになり、「あなた方が苦しまれた虐待に対する私の嘆きは、筆舌に尽くしがたい。あなた方は、いつも私たちの保護、配慮、愛を受けるべき、神の大切な子供たちです。あなた方の純真さが、あなた方が信頼していた人々によって汚されたことを、深く悲しんでいます」とお話しになったことを挙げ、「教皇は、米国における私たちの苦しみをよく理解してくださっています」と述べた。
また、2月の会議が全世界の教会にとってこの問題と向き合うものとなることを強調し、「世界規模の会議を招集することで、教皇は、この問題が全世界的課題であると理解されており、教会として、敏感に反応し、説明責任を果たし、隠し事のない透明性を確保する体制を確立する共同の誓約を強固なものとすることを希望されています」と強調。
さらに「教皇は、子供たちの保護と被害に遭った人々への寄り添いを、全ての神の民の最優先事項、私たちが果たすべき使命の中心課題と考えている、と繰り返し表明されています」と付け加えた。
また、枢機卿は、全世界の司教協議会の会長たちをローマに招集するにあたって、教皇は、過去の過ちについての広範な理解とともに、全世界的な問題解決が進むように願っておられる、とし、「そのことが意味するのは、まず第一に求められるのは、全教会の指導者たちが、被害者たちに与えた聖職者による性的虐待の衝撃を完全に、直接に理解すること。次に、二度と繰り返されないように、私たちの過ちを名を挙げて、責任を明らかにすること。そして、当然のこととして、過ちが繰り返されないために、現地、地域、国、そして世界のすべての段階で、教会が責任を果たすことが求められます」。「そのために、私たちは具体的に果たすべき責任について、明確に定義し、敏感な対応、透明性、説明責任の体制を、とくに司教レベルで確立する必要があります」と、2月の会議が目指すべき方向を具体的に示した。
枢機卿はまた、世界中のカトリック信徒たちが2月の会議に具体的な成果を期待していることを認識している、としつつ、性的虐待問題と完全に取り組むためには、教会が根底から変容することが必要になるだろう、とも指摘。
「教皇フランシスコは、文化の変容を呼び掛けておられます。それは、聖職者の職務への取り組み方の見直しです。なぜなら、聖職者による弱者に対する性的虐待は、犯罪であることに加えて、私たちの聖職者の職務の腐敗でもあるからです。それが、2月の会議がなぜ、教会改革の長期の誓約の一環として理解すべきか、の理由です。一回の会議ですべての課題が解決することはないでしょう」としたうえで、枢機卿は、2月の会議を、ローマ中心の取り組みでなく、全世界の教会の参加が求められる(注:教会変革の)プロセスの始まりとも見る必要がある、として、最後にこう念を押した。
「2月の会議は、世界規模の教会変革の始まりです。それは、継続が求められる、地域、国、そして教区レベルの主体的取り組みのプロセスを含む変革です」。
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